メキシコシティの美食レポートパート2のお題は、「セビーチェ」です!
セビーチェは、ペルーで生まれて中南米に広まった、生魚や貝に野菜を混ぜてマリネした料理。フレッシュな柑橘の果汁を使った爽やかさが特徴で、ニューヨークでもペルーやメキシコなど中南米料理のレストランでは定番メニューです。
魚介類(白身の魚、ホタテ、エビなど)と生の野菜類をふんだんに使い、ライムやレモンでマリネしたセビーチェの美味しさは、世界中で話題です! 緑が綺麗なワカモレに載せています
私はセビーチェが大好き! 特に夏はさっぱりしたセビーチェを食べたくなりますね! ニューヨークでもセビーチェを何度もつくり、私のお料理教室やお食事会でも紹介しています。(上の写真はその一例)
そんな大好きなセビーチェを、人気の本場、メキシコシティの人気店で試してみました。
思ったことは、値段の高い安いにかかわらず、盛り付けがとてもきれいだということ!
ビジュアルな美的感覚が優れていることは、メキシコシティにおびただしい数の美術館があることと関係しているかどうか定かでありませんが、とにかく見た目が美しく美味しい、そして栄養価もある、まさに私の「トリプル美食」のコンセプトにピッタリのセビーチェを堪能してきました!
こちらは、トルティーヤのクラスの主催者、ギャビーさんから勧められたシーフードレストラン、”Entremar”。前回のタコスの回でもご紹介した高級住宅地のポランコにあります。
壁に描かれた絵が、いかにもシーフードレストランって感じですね
ここのメニューには、2種類のセビーチェがありました。どっちにしようかなとウエイターさんに相談したところ、red clam(赤貝?)のセビーチェを勧められ、それをオーダー。
そうしたら、こんな風に大ぶりの貝殻に入って出てきたんです!これは、気分が上がりますよね!
貝の身は小さく切ってありました。あわせた野菜の彩りもきれい!
好みで、奥にあるサルサソースまたはライムをかけるように勧められました
お会計を頼んだら、ブルーとベージュの小さなかごにレシートが入れられてきて、中にはブルーと白のミントキャンディが入っていました!こうしたおもてなしも気が利いてますね!ちなみに、ここのお値段はニューヨークのレストラン並みでした。
かごをひっくり返したら可愛いミントキャンディが登場!思わず笑顔になりますね
グリーンが美しいメキシコシティ! セビーチェもグリーンでまとめて見た目も爽やかに
レストランの周辺は、とても閑静です。街路樹もきれいに手入れされていますが、実はポランコに限らず、メキシコシティは他の地域の街路樹もメンテナンスが行き届いていて、それも感心しました。
公園のシンボルツリーも南国らしいチョイス。丸く剪定された美しい街路樹は街のあちこちで見かけました
こちらは、前回のタコスの回でも登場した、最後の晩にディナーしたお店、Los Danzantesの「グリーン・セビーチェ」。
グリーンで統一され、高めに盛り付けられたセビーチェは、トッピングの白い花も可憐で素敵です!
私がセビーチェをつくる時はいつも、Entremarのセビーチェのようなカラフルなセビーチェだったのですが、こういうグリーンで統一したセビーチェもきれい!つくってみたい!と思いました。
使われている魚は白身魚ですが種類は不明。真似をするならタイやスズキなど、あるいはホタテでもいいかもしれません。(ニューヨークのファーマーズマーケットの魚屋さんでセビーチェにあうお勧めを聞くと、ホタテを勧められることがよくあります。)少し大きめにカットしてありました。
細かく切ったメキシコのハーブや緑の野菜と混ぜてセルクルで形をつくり、上にスライスしたアボカド数枚、何種類かのハーブをのせ、一番上にパクチーの白い花をのせています。
この小さな白いパクチーの花は、他のレストランの料理でも上にのせられているのを見ました。可愛く繊細なタッチを加えますね。ニューヨークのファーマーズマーケットでも、パクチーの花が販売されているのを見かけることがあります。
添えられたパープルのトルティーヤチップスは、パンチで開けた穴に串を刺してありました。この盛り付けもお洒落!
セビーチェとトルティーヤの美味しい出会いも!
タコスの皮、トルティーヤをトーストしたものを、「トスターダ」と言います。その上にいろいろな具をのせた食べ物があるのですが、Los Danzantesの近くにある、トスターダ専門レストランのTostadas Amatistaでは、セビーチェがのっているものをいただきました。
「フリーダカーロ美術館を見た後ランチするのにいいレストラン心当たりある?」とトルティーヤのクラスを主催しているギャビーさんに聞いたら、ここを勧められたんです。勧められなかったら入ることはなかったような、とっても庶民的な店構えでした。
コヨアカンという、ちょっとボヘミアンチックなエリアにあります
たくさんの種類のトスターダがメニューにのっていて、その中にセビーチェの文字が目に入ったので、オーダーしました。出てきたのはこちら。
こんもりと山のように盛られたセビーチェがトスターダの上に。具だくさんで、そのまま手では食べられないので、フォークとナイフが付いてきます
小さな面積の中にマグロ、海老、タコが入っているのが嬉しい! 海老とタコは火が通っていたと思います。マンゴー、キュウリ、ヒカマ(メキシコの根菜の一種)、紫たまねぎなどとミックスし、上にパクチーをトッピング。これも、とっても美味しかったです!
もう1種類、マグロとアボカドなどがのった、一番人気というトスターダとコーヒーも頼んで、全部で7ドル! 美味しくて見た目がきれいでお財布に優しい! 有難いですね!
おうちでも簡単に、美味しく、美しく作れるセビーチェをご紹介!
盛り付けがとっても勉強になった、メキシコシティのセビーチェ体験でしたが、味は、私が今までつくってきたセビーチェで「基本的には合ってたなぁ」という印象をもちました。
それを基本に具を変え、盛り付けを工夫したら、日本のご家庭でも美味しくて美しいセビーチェが食べられると思いますので、私の基本のセビーチェのレシピをご紹介したいと思います。
冒頭にご紹介したセビーチェ。とても簡単ですが、華やかで味わい豊かなひと皿に! ここではセルクルにつめたワカモレに載せ、黄色い食用の花を飾っています
材料(4人分)
・魚(真鯛やスズキなど、お刺身で食べられるような、白身の魚) 小2切れ、・セロリとミント 各1.5本、・黄色のパプリカとトマト 各小1個、・紫玉ねぎ 少々、・パクチー 10茎くらい、・レモン汁 1/4個分、・ライム汁 1/2個分(ライムの大きさによって加減してください)・塩、黒胡椒 少々、・オリーブオイル 大さじ2
作り方
1. 紫玉ねぎを粗みじんぎりにして水にさらし、セロリとピーマンは小さな角切り、トマトも小さく切っておく。さらした紫玉ねぎと切った野菜はざるにあげて、水きりする。
2 パクチーとミントはみじんぎりにする。
3 魚は切り身の場合は皮や骨があれば取り(刺身ならそのまま)、好みの大きさに切る(小さめのひと口サイズが基本)。
4 すべての材料をボウルに入れ、レモン汁、ライム汁、塩、胡椒、オリーブオイルを入れて全体を良く混ぜる。20分以上冷蔵庫でつけておいて、いただく。
とても簡単でしょう? そして、混ぜるだけで見かけも涼やかでキレイなので、盛り付けで映えるんです。
NYに戻って過去につくったセビーチェの写真を見たら、私も盛り付けに時々凝ってました!(笑) 以下、ぜひご参考に。
輪切りにしたキュウリの上にセビーチェをのせると、おしゃれなフィンガーフードにもなります。こちらのお魚はレモンソール(カレイの一種)を使っています。
お魚屋さんで、セビーチェにあうお魚を聞いてみるのも一案です。日本のキュウリはもう少し細めなので、輪切りでなく斜め切りなどにしても
丸いお皿やボウルもいいのですが、こうした細長いお皿に盛り付けると、お洒落度が増す感じがします。これは、ウミマスを使っています。
カラフルなのもグリーンで統一も、どちらもお洒落にまとまりますね!
いかがでしたでしょうか。セビーチェは新鮮な魚または貝と共に野菜がたくさんとれて、とってもヘルシー! 火を使わないので、暑い夏につくるにも最適です。まだ残暑厳しい中、サングリアも用意して、セビーチェつくって、夏の名残を楽しみたいですね!