自然の緑に包まれた奈良県初瀬の古民家で、“冷えとり”食養生体験ができる「やまと薬膳」を前編、後編の二回でご紹介します。
「やまと薬膳」主宰
オオニシ恭子さん
Kyoko Onishi
フード*メディスナー©。食養料理研究家の桜沢リマ氏に学び、1981年に渡欧。以来32年にわたり、東洋的食養法を基本としながら欧州の素材と環境を取り入れた食養法「ヨーロッパ薬膳」の普及に努める。2013年1月より、奈良・初瀬の地に移住。心と体を整える食養生を考え、提案する「やまと薬膳」を主宰。
料理教室や各種オンライン講座などの詳細はホームページで。
土地の食材を使い、適応するのが、生きる基本
フード*メディスナー©とは、「食を通じて、心身のトラブルを改善するエキスパート」の意味。長くヨーロッパの地で東洋的食養法を広めていたことで知られる、オオニシ恭子さん。現在は奈良県・初瀬の古民家で、女性のための「ラクで、楽しい」食養生の知恵を精力的に提案しています。
緑に包まれた古民家「やまと薬膳」の外観。
「奈良にはなんとなく惹かれるものがあって終の棲家に選びましたが、いいところに来たと感じています。なんといっても食材のパワーが強い。体を温めてくれる大和いも、肥沃な土壌で育つ宇陀の金ごぼう、免疫力を高める働きのある大和橘など、女性の不調におすすめしたいものがたくさんだから」
オオニシ恭子さんが今気がかりなのが、体が冷えている女性が増えていること。料理教室などの講座に訪れる女性も、体温が35℃台の人が少なくないそう。
「冷えは万病のもと。血行が悪くなると、指先や足先、脳などの末端まで酸素や栄養が行き渡りません。また、女性にとって最も温かい場所でなければならない子宮のあたりが冷えていると、さまざまな不調につながります」
「調味料にも、陰(体を冷やす)と陽(体を温める)ものがあります」とオオニシ恭子さん。
そう話すオオニシ恭子さんが提唱する、冷えをとるためのお手当てとレシピ。今すぐ試してみたいものばかりです。
※レシピはこちらでご紹介しています。
古民家を改装したキッチンには、大和当帰など、女性の不調に効果的なさまざまな生薬が並びます。
「陳皮には、新陳代謝を刺激する効果があります」。
現在、79歳のオオニシ恭子さん。自身の食養生を長く実践しているおかげで、「風邪を引くこともほとんどない」というほど、医者いらず。オンライン講座をはじめ、食事の会、料理教室、商品開発など精力的に活動中。
それぞれの人の体調によって必要な食の傾向がわかるツールを考案中。
奈良県桜井市初瀬
☎0744-57-9038
撮影/福森公博 大段まちこ 取材・原文/井尾淳子