「大人の学び直し」をしたい人がお得に利用できる
「リスキリング」や「大人の学び直し」に興味があるという人も多いでしょう。でも、「お金がかかるし…」と思っていないでしょうか。
そんな方に、ぜひチェックしていただきたいのが、「教育訓練給付制度」です。
国が社会人の学びをサポートする制度で、一定の受給要件を満たして、厚生労働大臣が指定した教育訓練を受講・修了すると、受講費用の一部が支給されるお得な制度なのです。
対象講座は実にさまざま。英会話、簿記、Webデザイン、プログラミング、インテリアコーディネーターなどの人気講座から、看護師、保育士、栄養士、社会保険労務士、税理士、弁理士、中小企業診断士、社会福祉士、気象予報士などの資格取得講座まで、約1万6000講座もあります。気になっていたジャンルの講座も対象かもしれません!
「対象の講座」は簡単に調べられます!
では、まずはどんな講座があるかを調べてみましょう。
「教育訓練給付制度 厚生労働大臣指定教育訓練講座 検索システム」から、講座・スクールを探せます。「フリーワード」で、気になる分野や資格の名前を入れて検索できるほか、「通学/通信/eラーニング」や地域などでも絞り込めます。ずらっと出てくる講座名を眺めていると、「挑戦してみようかな?」とやる気が沸いてくるかも?
「教育訓練給付制度」で受け取れるお金はいくらくらい?
受け取れるお金は、下記のように講座が3タイプに分かれていて、それぞれ異なります。特に、上のふたつは、この10月以降から始めた人には受け取れる金額がアップしています。
専門実践教育訓練給付
看護師、美容師、保育士、調理師、法科大学院など。最大で、受講費用の80%(年間上限64万円)を受け取れる。
特定一般教育訓練給付
税理士、大型自動車第一種・第二種免許など。最大で、受講費用の50%(上限25万円)を受け取れる。
一般教養訓練給付
英語検定、簿記検定、ITパスポートなど。受講費用の20%(上限10万円)を受け取れる。
では、ふたつのケースを見ていきましょう。
ケース1)
「専門実践教育訓練給付」対象の講座を2年間受講して、受講費用が半年ごとに40万円(×2年間)かかり、資格取得をして、受講前よりも賃金が5%以上上昇した場合。
→ 受講費用合計160万円に対して、合計で128万円受け取れます。
(内訳)受講費の50%(年間上限40万円)+資格取得・就職をして20%(年間上限16万円)+受講前より賃金が5%上昇して10%(年間上限8万円)で、合計128万円
ケース2)
「特定一般教育訓練給付」対象の講座を半年間受講して、受講費用が30万円かかり、資格取得・就職をした場合。
→ 受講費用30万円に対して、合計で15万円受け取れます。
(内訳)受講費の40%(年間上限20万円)+資格取得・就職をして10%(年間上限5万円)で、合計15万円
どんな人が、どのようにしたら受け取れる?
教育訓練給付制度は、雇用保険の加入条件(1年以上、または2年以上など)を満たせば、正規雇用・非正規雇用問わず利用できます。会社を退職した人でも、条件を満たして、離職日の翌日以降、1年以内に受講スタートできればOK。意外とハードルが低いので、気になった方は厚生労働省HPの「教育訓練給付制度」のページで確認するか、ハローワークで聞いてみることもおすすめです。
一点、 注意点があります。「専門実践教育訓練給付」と「特定一般教育訓練給付」では、講座を受講する前に、ハローワークに行って“訓練前キャリアコンサルティング”を受け、受給資格を確認するステップが必要です。事前にハローワークに行くことを忘れないようにしましょう。
大人の学び直しはいいことずくめ!
筆者は以前会社員時代、(当時の条件や給付額は少々違いましたが)仕事のあとに講座に通い、スキルアップをしながら教育訓練給付金を受け取ることができました。「学びたいけれど、お金がかかるな…」と躊躇している人には、うってつけの制度だと思います。
ちなみに筆者は現在、大学の通信課程で心理学を学んでいます。今はフリーランスで雇用保険に加入していないことと、厚生労働大臣指定講座には当てはまらないので、残念ながら給付金は受け取れませんが、大人になってから「学びたいものを自分で選んで学ぶこと」のすばらしさを感じています。一緒に学ぶ仲間は、年齢も置かれている環境も、学ぶ目的も、まったく違って面白いです。自分で「学ぼう」と思って始めたことなので、多少大変でも、なんとか乗り切れる気がします。
また、教育訓練給付金は、基本的には受講が終わってから支給されるので、「給付金を受け取るために、最後まで頑張ろう!」というモチベーションにもなると思います。
資格取得やキャリアアップにつながれば、年収アップにもつながりますし、副業をしたり、老後に少し働いて収入を得たりと、今後のお金のゆとりや安心感にもつながりそうです。
まずは、「検索システム」で、気になる分野の講座がないか、チェックしてみてはいかがでしょうか。
単に貯蓄額を増やすのではなく、潤いのある毎日のためのお金の使い方・貯め方・増やし方について女性誌やWEBなどで発信するほか、取材・執筆・監修・講演を行っている。現在は早稲田大学人間科学部(eスクール)にて心理学も学ぶ。著書に『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)、『お金の増やし方』(主婦の友社)など。
イラスト/平松昭子 文/西山美紀