【教えていただいた方】
1969年生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年に日本総合研究所に入社。在職中にFP資格を取得、98年に独立系FPとして転身。現在は、各種セミナーや講演、執筆、個人相談など幅広く活躍。CNJ認定 乳がん体験者コーディネーター、消費生活専門相談員資格取得。「がんとくらしを考える会」理事、城西国際大学経営情報学部非常勤講師なども務める。著書に『がんとお金の真実(リアル)』『親の介護は9割逃げよ』『病気にかかるお金がわかる本』(共著)『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか「自然に貯まる人」がやっている50の行動』『終活1年目の教科書』など多数。
皆さんは、ダイエットをしたことがありますか?
例えば「同窓会までにどうしても痩せたい」と無理な食事制限をして体調をくずしてしまったり、頑張っているのに結果が出なくて「もうやめる!」と挫折してしまったり…。
そんな経験をしたことがある方もいるのではないでしょうか。
実は、投資とダイエットにはいくつか共通点があるんですよ。
今回は、そのお話をしていきます。
◆投資もダイエットも、やめたくなるタイミングが3つある
当たり前のことですが、投資にはリスクがあるため、いつもうまくいくとは限りません。
これは、ダイエットがいつもうまくいくとは限らないのと同じです。
投資をしていると、「もうやめたい!」と思ってしまうタイミングが3つあります。
それはどんなときなのでしょうか?
順番に見ていきましょう。
【タイミング1】投資を始めたばかりの頃
多少の値動きでもつい気になってしまい、ちょっとでもマイナスになると「もうやめたい」と思ってしまう。あるいは、思うように増えなかった場合など。
【タイミング2】積み上げてきた利益が急激に減っていくタイミング
リーマン・ショックやコロナショックなどのような経済危機で利益が急激に減ってしまったときに、慌ててやめようとする。
【タイミング3】下落したのち、下落前の水準まで回復したとき
一度値が下がったもののその後上昇し、マイナス(損)がなくなった時点。再びマイナスになるのが怖くなり、「ここでやめてしまったほうがいいかも」となる。
思えばダイエットも、
「始めたばかりの頃はグラム単位の増減に一喜一憂し、あまり成果が感じられなくなるとやめてしまう」(タイミング1に類似)。
「せっかく痩せたのにリバウンドしてしまった。あんなつらい思いをしたのにこんなことになるなんて…やっていられない、と思ってやめてしまう」(タイミング2に類似)。
「一度痩せたがリバウンドし、その後なんとか再び痩せたけれど〝またリバウンドするのはうんざり〟と、ダイエット前に持っていた意欲をなくしてしまう」(タイミング3に類似)。
そんな行動をしてしまいがちですよね。
でも、投資もダイエットも、続けていくことに意味があります。
最初のうちはリターンが少ないと、「投資をする意味があるのかな」と不安になってしまいますが、それを乗り越えてコツコツ積み立てていくことで、リターンが大きくなる確率も高まります。
何度もお話ししているように、投資をするにはリスクが伴いますが、短期間で一喜一憂してすぐやめてしまうのはもったいないことで、続けてみることに意味があるのです。
◆ダイエットも投資も急激にハードなことをしてはだめ。じっくり長く続けるのがコツ
ダイエットと投資はほかにも共通して言えることがあります。
ダイエットは短期間に10㎏痩せるという高すぎる目標を掲げると挫折する可能性が高いように、投資もいきなり高額の運用を始めると、ちょっとした値動きが気になって続かないし、へたをすると大きな損失を被る可能性もあります。
じっくりゆっくりやっていくことが必要なので、多少の値動きがあっても気にならない額、ほったらかしておける額、つまり無理なく長く続けられる金額から始めるといいですね。
例えば最初は月1000円から始めて、投資をすることに慣れる。
そしてだんだん慣れてきて、もう少し増やしてもいいかなと思ったら金額を上げるのもおすすめです。
また、お給料が上がったら、昇給分はなかったものと考え、それを投資に回す、など自分のルールを決めてみるといいでしょう。
ほったらかし投資のいいところは、最初に銘柄を選定しておけばあとは「何を買うか」「いつ買うか」といった見極めに迫られないところ。
忙しい人やビギナーにも始めやすく、続けやすい方法です。
◆投資はある意味煮込み料理と同じ。食材を見極めて鍋に入れたら、あとは放っておくだけ!
これまで投資をダイエットになぞらえてお話ししましたが、実は投資はある料理とも共通点があります。
その料理とは、煮込み料理です。
初心者にぴったりの長期積立・分散投資は、料理でいうならビーフシチューやボルシチなどの煮込み料理のようなもの。
お鍋に吟味した好みの食材を入れて火にかければ、あとは放っておくだけでおいしい料理ができます。
その鍋に相当するのが、投資でいえば「NISA」なのです。
「NISA」という利益に税金がかからない特別な鍋を国が希望者に配り、その鍋をそれぞれが活用しておいしい煮込み料理を作るのです。
鍋に入れる具材は国産食材なのか、輸入食材なのか、何にするのかはそれぞれの自由です。
自分が食材にかけられる予算や、焦げたり味つけに失敗しても許せる範囲(リスク許容度)を見極めて、自分の考えとマッチした食材(銘柄)を選び、いくつか入れることでおいしくなっていきます。
あとはひたすらほったらかして、じっくり煮込めばおいしい料理ができる(=リターンが得られる)ということ。
もちろん、投資について詳しくなれば、煮込み料理ではなく焼き肉のようにさっと焼いては取り出す、つまり短期間のトレードという投資法もありかもしれません。
ただし、売り時が難しいし、しょっちゅう見ていないといけないので初心者にはおすすめできないのです。
“まずは少額から始めて、長い目でじっくりゆっくり運用する”。
それが最終的にリターンを得られるポイントだということ、今回はぜひ覚えておいてくださいね。
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取材・文/倉澤真由美