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53歳パート主婦のモヤモヤ「姑の介護は嫁の仕事なの⁉」/人間関係、仕事、セックス…アラフィフの”モヤモヤ”を一刀両断!藤森かよこの「読むワクチン」

OurAge世代になると、大なり小なり、「介護」の問題が出てきます。自分だって体力も気力も衰えつつある年齢なのに介護を担うのはストレスです。まして家族の誰も、ねぎらってくれなかったら――。今回は「姑の世話は嫁がするのが当たり前なの?」というモヤモヤに、藤森かよこ先生が厳しくも優しい言葉のワクチンを打ってくれました。

言葉のワクチンを打ってくださった方(回答者)

藤森かよこ
藤森かよこさん
福山市立大学名誉教授、文筆家
公式サイトを見る

1953年愛知県名古屋市生まれ。南山大学大学院文学研究科英米文学専攻博士課程満期退学。岐阜市立女子短大、金城学院大学短大部、桃山学院大学、福山市立大学を経て、福山市立大学名誉教授。アメリカの国民的作家であり思想家のアイン・ランド研究の第一人者で、アイン・ランドの大ベストセラー『水源』『利己主義という気概』(ともにビジネス社)を翻訳。著書に『馬鹿ブス貧乏で生きるしかないあなたに愛をこめて書いたので読んでください。』『馬鹿ブス貧乏な私たちを待つろくでもない近未来を迎え撃つために書いたので読んでください。』『馬鹿ブス貧乏な私たちが生きる新世界無秩序の愛と性』(すべてKKベストセラーズ)、『優しいあなたが不幸になりやすいのは世界が悪いのではなく自業自得なのだよ』(大和出版)、『ニーチェのふんどし』(秀和システム)などがある。

 

<53歳パート主婦のモヤモヤ>

近所に暮らす姑の世話をしています。

デイサービスの送り迎え、日用品の買い物……。

だけど、姑からも、何ひとつやらない義姉からも、「ありがとう」と言われたことがありません。

夫も私をねぎらってくれたことがありません。

嫁がやって当たり前、と思われていることに腹が立ちます。

地方の嫁って、いまだにこんなものです。

 

<藤森かよこ先生があなたに打つ「本日の言葉のワクチン」>

 

不満を持ちながらも、姑の世話をちゃんとしているあなたは、家族を大事にしている人ですね。

 

姑から「ありがとう」を言われない、夫がねぎらってくれない、ということですが、感謝の気持ちをしっかり伝えてもらえれば、腹はあまり立たないということでしょうか。

まずはその点を考えてみてください。

 

そして、次に考えてみてほしいのが、あなたが身を粉にして姑の世話をしているのに、なぜ姑と義姉はお礼のひとつも言わないのか、夫からもねぎらわれるどころかそれが当たり前かのようにされているのか、ということ。

 

申し上げにくいですが、それはあなたが家族である彼らに「なめられた」からです。

 

きっとあなたは、黙って家族の面倒をよく見る、とてもいい「嫁」なんだと思います。

それがだんだん当たり前になって、都合のいい相手になって、無遠慮にもなめられたのではないでしょうか。

 

あなたがもし本気で、自分の自由を手に入れたい、やっていることをきちんと認められたいと思うなら、なめられないようにするのが肝要だと思います。

 

 

そうなるには、もっとあなたは自分中心に考え、行動すればいいのです。

家族にとって都合のいい嫁になる必要はないのです。

 

例えば、時々家出する、というのはいかがですか。

仮病を使うのもいいかもしれません。

噓も方便、というやつです。魂の4割を悪魔に売る。半分売ってしまうとそれはちょっと売りすぎですから、4割ぐらいにしておきましょう(笑)。

 

前回の「結婚して30年。私は夫の家政婦ではない」というイライラをお持ちの方とも共通しますが、手を抜くことを覚えるといいと思うんです。

 

冷たくなったと最初は家族に思われるかもしれませんが、気にしないでください。

無理にわからせようとすると、あなたもかえって疲れてしまいます。

 

また、家族に不満を持っている一方で、あなたは家族を大切に思っているだろうし、一人で生きていくのは寂しいという気持ちも持っているだろうと想像します。

 

家族っていちばん身近で大切だからこそ、本来「遠慮する相手」です。

 

無神経な言葉をかけたり、無遠慮に踏み込んだり、ぞんざいに扱っていい相手では決してない。

関係の深い身近な家族だからこそ、取り返しのつかないすれ違いは避けなければならないんです。

 

だけど、なぜか内弁慶と言ったらいいのか、家族にだけ無遠慮、というケースが多いんですよね。

ただ、残念ながら、相手に変わってほしいと願っても難しい。自分が変わるほうが早いです。

 

家族といっても、今回のモヤモヤの対象は姑や夫、義姉。もとは「他人」ですから、まだ諦めもつきやすい面もあります。

これが実の親だったら、理不尽な扱いを受けても(いわゆる毒親というやつです)、不満を持つこと自体躊躇して、泥沼になるかもしれません。

 

 

毒親への対処は心を鬼にして関係を断ち切るしかないんですが、相手が「他人」である姑なら、そこまで心理的負荷がかからないのが、不幸中の幸いです。

 

大事なのは、あなたが家族にとっていつも都合のいい存在じゃない、と伝わること。

そして、あなたが心身ともに休まること。

 

だから、魂の4割ぐらいを悪魔に売り渡し、「家族が困るのでは」といった優しい心配は捨て、家出や仮病で自分中心の時間をつくり、思い通りに過ごせばいいと思うんです。

 

あなたが不在の間の家族のことは、大丈夫、なんとかなりますって。

なんとかならなくても、あなたが責任を感じる必要はないです。

自分の幸福は自分で作るべきものです。

それをあなたに一方的に求める家族なんて、なんとかならなくても、全く構わないじゃないですか。

 

取材・文/中沢明子 写真/photoAC

 

 

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