雪国の知恵が詰まったグルメ探訪・今成漬物店~新潟県・六日町~
地域の気候風土から生まれた昔からの食文化、食の知恵を次世代に残していきたいと、始まった「A級グルメプロジェクト」。A級とは、高級食材ということはなく、本当に大切に残していきたいものという意味。そのプロジェクトのスタートの地である雪国観光圏を旅しました。
最初に立ち寄ったのは六日町の商店街。暖簾をくぐって小さなお店に入るとふんわりと粕漬けの香りが漂います。古くからこの地で粕漬けを作っている今成漬物店は103年前に創業。間口は小さいのですが、その奥には200年を超える蔵があり、そこで全て手作りで昔ながらの粕漬けをつくっています。
使うのは銘酒「八海山」の純米吟醸の酒粕のみ。これを蔵の中で半年から最長2年ほど寝かせます。「蔵の中は、年間を通じて温度が19℃ほどと一定なので、ゆっくりといい具合に熟成するんだよね」と秘密を教えてくれました。それに国産の塩と国産の砂糖、粕漬けにはそれだけしか使いません。
生漬(きづけ)、中漬(なかづけ)、本漬(ほんづけ)と3回漬け込みます。1回目は塩漬けで、それぞれの素材の持つシャキシャキとした食感を生み出すのはここが勝負。次の中漬はその塩を酒粕で抜くという贅沢な手法。素材の味わいが抜けないように水ではなく酒粕を使うのが今成漬物流。この日は2回目の中漬の作業中でした。
一番人気の錦糸瓜。本漬の樽をそっと開けて見せていただきました。そうめん南瓜などとも呼ばれる伝統野菜で、ほろほろと糸のようにほぐれていく食感が溜まらない美味しさ。「山家漬」はこの錦糸瓜と、越瓜(コシウリ)、巾着茄子などの魚沼の地野菜や、胡瓜、わらびの詰め合わせ。
女将さんがいらっしゃる時にお時間が許せば、蔵屋敷のご自宅で試食をさせてくださいます。(事前にお電話で予約)。歴史を刻んだ美しい場所で、江戸時代からの器でいただく粕漬けのお味は格別です。
口に入れた瞬間から広がる酒粕の風雅な香り、ほろほろと糸のようにほぐれていく錦糸瓜の食感、シャキシャキとした絶妙な歯ごたえが残るわらび、ぎゅっと味わいが凝縮した胡瓜、ジューシーな旨みが染み出す巾着茄子、パリパリと心地よい噛み心地の越瓜。どれもこれも美味しくて、いただいているうちに酒粕でほんのりいい気分。「あー。これと白いごはんがあったら、もう何もいりません」と、思わず叫んでしまいます。
今成漬物店
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