秋も半ばを迎えるころ、季節の美味しいものといえば、
栗!
和菓子や和食にも使われ、家で作るなら栗ご飯、という人も多いはず。そんな秋の代表的食材、「栗」に外国で出会い直したら……?
見て食べて美味しく体も喜ぶ「トリプル美食」を提案する杉本佳子さんは、ニューヨーク在住。最先端の食カルチャーの中で、再発見されたのが、秋の栗。中でもベスト・アンサーは「リゾット」! 見かけはモダン、でもやっぱりほっこりと暖かな味わいの栗のリゾットに、栗をあしらった秋のスープを添えても。
ひとヒネり、目先を変えた栗のレシピ、ぜひ、ご自宅で作ってみませんか?
まずは茹でてむき栗に。トッピングにすれば美味しいあしらいに
秋の代表的な味覚といえば、欠かせないものの1つに栗がありますね!
栗は、コラーゲンの生成に必要なビタミンCを豊富に含んでいます。しかも、栗のビタミンCは加熱しても壊れにくいとか。有難いですね! 栗は、ナトリウムを排出してむくみ解消に役立つカリウムも多く含んでいます。
先日、ファーマーズマーケットでオーガニックの栗を見かけました! アップステート、つまりニューヨーク州の中でもマンハッタンから北に行ったところで生産しているそうです。イガに入っている栗も売っていて、ディスプレイとして飾っておきたいくらい可愛い! コンテイナーに入っている栗は、1箱5ドルでした。栗といえば、皮をむくのが大変というイメージがありますので、アメリカ人でも手間暇かけて栗の皮をむく人がいるということなのだなと、ちょっと意外に思いました。
ツヤツヤした栗。日本のものと見た目はあまり変わりない
せっかくなので、私も1箱買ってきました。半日水につけておき、その後熱湯をわかした鍋の中に入れて、そのまま冷めるまで蓋をしておきました。熱湯に漬かっているあいだに、じんわりと火が通って、食べごろに。包丁で半分に切ってもいいことと、爪が長く伸びていないことが前提ですが、こうしておくと、包丁で半分に切った後は素手で皮をむくことができます。
むいたら、思わずそのまま口にポン! 栗の本来の味と食感を堪能するなら、そのまま食べるのが一番です。でも、やはり何か料理に使いたい! それも、できるだけ栗本来の味と食感を味わえる料理ということで、マッシュルームのスープをつくってトッピングに使ってみました。栗のスープをつくるとなると大量の栗が必要になりますが、これなら、剥きたての少量の栗を使いながら栗本来の味を楽しめますし、いかにも秋らしいスープになります。
マッシュルームのスープは、温めた鍋にバターかオリーブオイルを入れ、みじんぎりにした玉ねぎを入れて炒め、玉ねぎが透き通ってきたら、スライスしたマッシュルームを加えてさらに炒めます。マッシュルームがしんなりしてきたらひたひたの水を加え、ベイリーフの葉、塩胡椒を加えて煮込みます。お好みでニンニクやセロリ、エシャロットを刻んだのを入れてもいいですし、ベイリーフだけでなくタイムをちょっと入れてもいいと思います。十分煮込んだら火を止めて、スープが人肌程度まで冷めたらブレンダーでピューレ状にし、鍋に戻して温め直します。その時に、お好みでミルクやチーズを加えてもおいしいです。
暗めの色のスープも、栗のトッピングで急に見栄えのする一皿に変身!
オンシーズンの栗がいかに美味しいとはいえ、やはり栗は皮むきに時間がかかるので、通常は瓶詰めの水煮の栗を使うことが多いです。店頭で栗の瓶詰めが目に付きやすいのは、11月から12月にかけて。サンクスギビングデー(感謝祭)やクリスマスで使う人が多いのでしょう。私もサンクスギビングで七面鳥を焼きますが、そのおなかに詰める「スタッフィング」をつくるときは、瓶詰めの栗を使うことが多いです。
スープのトッピングやリゾットなどに手軽に使いたければ、瓶詰めの水煮も良いでしょう。ただ、ほっこりした食感は、やはり生から茹でたてのものが勝ります。
リゾットをおしゃれな一皿に。
私の一番のお勧めの栗を使った料理はリゾットです。10年くらい前にダウンタウンのイタリアンレストランで栗と生ハムのリゾットを食べてとってもおいしかったので、それ以来、その味を思い出しながら何度もつくっています。
スープを使わず素材の味だけで美味! 栗と生ハムのリゾット
フライパンを熱してオリーブオイルをしき、みじん切りにしたニンニクと玉ねぎを炒めます。セロリやエシャロットがあったら、それも加えていいと思います。ご飯は、リゾット用のお米「アーボリオライス」がお勧め。日本のお米でもいいのですが、リゾット用のお米を使った方が短時間で出来上がります。
野菜を炒めたら、そこにお米を加えて炒め、さらに生ハムを加えてさっと炒めます。
お水と、それより少ない量の白ワインをひたひたに入れてベイリーフも入れて蓋をし、15分から20分くらい弱火で煮込みます。生ハムが入るので私は塩を入れませんが、黒コショウは少し入れてもいいと思います。お米がだいたい柔らかくなったら、粗めに刻んだむき栗(または水煮の栗)と、おろしたパルメザンチーズを入れ、チーズが柔らかくなったら出来上がり。
日本に住んでいた時は栗を使ったご飯といえば栗ご飯しか思いつきませんでしたので、栗入りリゾットはニューヨーク生活で学んだ料理の1つといえます。
同じリゾットも盛り付けで変身!
同じ栗と生ハムのリゾットでも、合わせる野菜によって、味わいも見た目も変わります。栗は甘いので、塩気のある生ハム、そして苦みのある芽キャベツと相性がいいと思います。生ハム以外は、サラミも合うでしょう。
こちらは、芽キャベツとサラミを使ったリゾット。芽キャベツの緑が加わる分、ちょっと華やかになりますね。
作り方は、基本のリゾットと同じ。蓋をする前に、ザク切りにした芽キャベツを加えます。
おもてなし向けとして、生ハムと芽キャベツを入れたリゾットをつくって、セルクルで円柱型に整え、上に丸ごとの栗とスライスした青リンゴを飾ってみたこともあります。可愛い見た目に、思わず笑顔がこぼれます!
青リンゴの香りや酸味も加わり、爽やかなひと皿に
栗と生ハムのリゾットに、サツマイモを加えてみたこともあります。パセリを散らして彩りを加えました。炭水化物の足し算になってしまうので何度もつくっているわけではないのですが、ちょっとやみつきになりそうなくらい美味しかったことをよく覚えています。ちなみに、私はブイヨンや既成のスープストックをなるべく使わないようにしていますので、リゾットの時も何も使いません。それでも、使う素材がよければ味はちゃんと整うと思います。よろしければお試しくださいね。