困ったときには口に流し込めば、元気モリモリ! 可愛いオリーブを助けて、ポパイは今日もハッピーに♡ というのが、アメリカにおける
ほうれん草
のイメージでしたよね。(古いですが、アワエイジ世代ならわかるかも? 笑)
そのころから、ほうれん草は「栄養価の高い野菜」と、たくさん食べることを奨められていたわけです。日本でもおひたしで、イタリアンなら炒め煮で毎日の食卓でもよく見かける、優秀で日常的な野菜。
そんな普段着の野菜・ほうれん草を、見た目にも華やかに美味しく食べるには?
トリプル美食を提唱する杉本さんの提案は、「生、または、ほとんど生」で食べる食べ方。
栄養価満点のほうれん草を、フレッシュなまま、美味しく美しく食べる杉本流のレシピをどうぞ!
生食用のほうれん草で、もりもりサラダを食べましょう!
ニューヨークのファーマーズマーケットには今、いろいろなほうれん草が出てきています。
普通のほうれん草、赤茎(赤軸)ほうれん草、葉っぱも茎もやわらかいベビースピナッチなど、種類もいろいろあって目移りするほどです。
上から、普通のほうれん草、赤茎(赤軸)ほうれん草、ベビースピナッチ。ベビースピナッチは、日本のサラダほうれん草に近い、葉っぱの柔らかいほうれん草です
ほうれん草は、肌と粘膜を健康に保つビタミンAと、肌細胞のターンオーバーを手助けする葉酸が豊富。利尿作用のあるカリウムも、特に多い食材です。つまり、美肌効果だけでなく、デトックス効果も期待できるんです!旬のうちに、ほうれん草をいろいろな料理に使いたいものですね。
普通のほうれん草は、生で食べるとえぐみが感じられることがあります。そのえぐみは、体内の結石の原因にもなる「シュウ酸」でもあるため、茹でることでお湯に流して食べるのが通常の食べ方でした。でも、最近の生食用のほうれん草は、シュウ酸の含有量が少ないとのこと。それでも、体質的に気になる方は、食べ過ぎないように気を付けてください。私自身はくたくたに煮ない方が好きなので、お浸しもごま和えもさっと茹でる程度で食べています。
ニューヨークでは、ほうれん草入りのスムージーや野菜ジュースをよく見かけます。一方、レストランでわりとよく見るのは、ほうれん草のクリーム煮やほうれん草とアーティチョークのディップです。でもこうしたお料理はチーズや生クリームを多く使うので、食べると体重が増えてしまいがちなのが残念です。
美容食の観点から私がほうれん草をよく使うのは、サラダです。
サラダにするなら、一番お勧めなのは、やっぱり柔らかいベビースピナッチ。もちろん、好きな具をなんでも混ぜていいのですが、黒いワイルドライスや黒米が手に入ったら、少し混ぜることをお勧めします。ほうれん草のグリーン、お米の黒、そしてトマトやピーマンの赤や黄色とのコントラストがとてもきれいなのです。お米はパッケージに書かれた指示に従って、茹でてくださいね。ドレッシングもお好みでいいと思いますが、私はオリーブオイルとバルサミコビネガーまたはアップルサイダービネガーに塩胡椒を加えることが多いです。
黒いライスが鮮やか色を引き締めて大人っぽい印象に。歯ごたえも加わって美味しさもアップ
こちらは、ひよこ豆を加えたほうれん草のサラダ。ひよこ豆は水煮の缶詰でもいいですが、私はいつもオーガニックの乾燥豆を買ってきて、圧力鍋で水煮します。そのほうが経済的で健康的です。圧力鍋に水に一晩浸しておいたひよこ豆とひたひたの水を入れて落し蓋をかぶせ(なければ穴を開けたアルミホイルで代用)、強火で茹で始めます。圧力鍋から蒸気が出始めたら火を弱めて3分加熱し、その後火を止めて10分蒸らしたら出来上がり。茹ですぎてしまったら、小分けにして冷凍しておくと、ちょっと使いたい時に便利ですよ。
このサラダには、千切りにして水にさらした紫たまねぎも加え、器に盛ってから、刻んだピーナッツを散らしました。ドレッシングはお好みでいいと思いますが、ここではタヒニという白ごまソースとレモン汁とオリーブオイルを1:1:3の割合で混ぜ、塩胡椒とクミンを少しずつ加えました。ひよこ豆が入る分、サラダだけでも結構おなかがいっぱいになります。
自宅で豆を水煮にして鮮やかな緑を添えるほうれん草を加えると、みずみずしい味わいのひよこ豆のサラダに
カリカリベーコンのほうれん草サラダやパスタなどは、「ほとんど生」で!
赤茎ほうれん草も、ベビースピナッチ同様、生食向きなので、サラダに使うことが多いです。昔、細切りにしてカリカリに焼いたベーコンをオイルごとかけたほうれん草のサラダが一時流行ったこと、ご存知でしょうか。ほうれん草とベーコンは、とても相性がいいと思います。でも私は、ベーコンとほうれん草だけでは寂しいので、ここでは、スライスして塩水につけて色止めしたリンゴ、細切りにした生シイタケも混ぜ、上に刻んだピーナッツを散らし、最後にレモン汁を少し加えました。
お好みのオイルで、ベーコンをカリカリに炒めると、香ばしいサラダのできあがり。リンゴやピーナッツ、シイタケやレモンなどの香りのミックスも楽しめます
ほうれん草とベーコン入りのパスタもつくったことがありますが、簡単で美味しかったです。ここでは赤茎ほうれん草を使いましたが、普通のほうれん草でも大丈夫。フライパンか片手鍋に刻んだベーコンを入れて、弱火で油をじっくり出します。そこに刻んだニンニクを加え、茹でたパスタと食べやすい長さに切ったほうれん草を加えてさっと炒めます。最後に塩胡椒で味を整えます。ちなみに、普通のほうれん草や赤軸ほうれん草は泥がついていることが多いので、水をはった大きなボウルで何度か水を取り替えて、よく洗ってから使ってくださいね。
シンプルだけど、間違いなく美味しいほうれん草とベーコンのパスタには、ニンニクの香りを効かせて
鮮やかなグリーンを生かしてペーストにも!
ちょっと目先が変わっていてお洒落なほうれん草の使い方としては、アボカドとあわせたペースト状のソースはいかがでしょう。この場合は、普通のほうれん草かベビースピナッチがお勧め。ほうれん草を入れることで、とても鮮やかなグリーンのソースが出来上がります。
ほうれん草は、よく洗って水気をとってから、フードプロセッサーに入れます。全体を馴染ませるために、オリーブオイルも適量加えます。
玉ねぎも少し入れます。そうすると、翌日や翌々日でもペーストの色が変わりません。切りかけのアボカドも、たまねぎと一緒にタッパーで保存すると、色が変わるのを遅くすることができます。
アボカド一個分に対して、ほうれん草は「ひとつかみ」くらいで十分。たまねぎで、アボカドの変色を防ぐうえに旨みも増します
このソースをお魚の上にこのようにのせてみると、お洒落なアペタイザーの出来上がり。一口大に切ったタラに塩胡椒し、小麦粉をまぶし、オリーブオイルをひいて熱くしたフライパンで両面こんがりと中まで火が通るまで焼きました。お魚に塩胡椒する分、ソースには塩胡椒しませんでしたが、味が薄いと感じられればソースにも塩胡椒を加えてください。
白いタラにグリーンのペースト。がぜん食欲をそそります! お皿にもほうれん草を敷くのが盛りつけのポイント
ミートボールの上にのせても、お洒落な一品になります。下にトマトソースを敷くと、さらに鮮やかな色のコントラストが生まれます。おもてなし用に覚えておきたいアイデアですね。