ほぼ夏の盛りにしか食べられないからこそ、貴重な果物、
イチジク。
適度な甘みとねっとりした食感が特徴的で、香りも爽やか。そのまま食べても美味しいですが、これを料理に使いこなすと、グッと「気の利いた」一皿ができること、ご存じでしたか?
香りも味も強すぎないから、引き立て合う食材と合わせると、とても品のいい味わいが楽しめます。
ニューヨーク在住のファッション・ジャーナリストの杉本さんが提案するのは、とても手軽でいて、センスを感じさせるイチジクづかい。どれも一切火を使わないのも、この季節には嬉しいポイントです。
真夏の夜のワインのお伴に、早速取り入れてみては?
不老長寿の果物・イチジクは、フィンガーフードで手軽に新鮮に
「不老長寿の果物」と言われているフルーツがあります。なんだと思われますか? それはイチジク! 水溶性食物繊維を多く含んでいるのですが、それはすなわち便秘や食後の急激な血糖の上昇を防ぎ、コレステロールの吸収を抑制するなど、健康効果が高いことを意味します。イチジクは、ポリフェノールの一種であるアントシアニンも含んでいます。健康だけでなく、美容にも効果のあるフルーツなんです。
ニューヨークでは、イチジクは6月あたりに一番出回りますが、日本では8月ごろに出回るのがピークのようですね。
ニューヨークでは、このような小さなかごに入れられて売られているのが一般的です。今回は、生のイチジクを使って手軽にできてお洒落なフィンガーフードをご紹介しますね。
無造作に籠に盛られたイチジクたち。新鮮なものを買って、すぐ食べきるのが美味しくいただくコツ
以前、レストランでイチジクと生ハムを使ったオープンサンドイッチを食べた時、とっても美味しく、イチジクと生ハムの相性の良さを実感しました。ここでは、スライスしたバゲットの上にゴートチーズをのせ(クリームチーズやモッツレラチーズでもいいと思います)、イチジク、生ハム、トマトをのせ、上にバジルの葉っぱを飾っています。緑の葉っぱが加わると、一段ときれいですね!
ちょっとクセのあるゴートチーズは通好み。おもてなしの時は、お客さまに合わせてチーズを選びます
イチジクは基本、チーズと相性がいいものです。ここで使っているのは、マスカルポーネチーズ。
イチジクは半分にカットしただけで、大胆に使います。そこにキンカンをのせ、砕いたピスタッチオを散らし、煮詰めたバルサミコビネガーをかけました。キンカンの代わりに、プチトマトももちろん美味しいです。大きさによっては、半分に切ってのせた方が収まりがいいでしょう。もちろん、赤のプチトマトでもいいのですが、なんとなくここではオレンジ色のものがより合う気がします。
複雑な酸味と香りが絶妙なハーモニーを奏でる、見た目にもゴージャスなオードブル
思いがけない漢方食材とも相性良し。甘味も加わり滋味も倍増
せっかく買ってきたイチジク、食べてみたらちょっと甘みが足りない気がした経験はありませんか?そんな時のお勧め解決策は、クコの実を混ぜてジャム状にすることです。日本ではクコの実というと、中華がゆに入っているイメージが強いと思いますが、ニューヨークでは中華の素材とは限らず、美容と健康にいい食材として、ヘルシーなグルメフードストアでも売られています。英語では「ゴジベリー」と言います。乾燥したクコの実は、水にちょっと浸して柔らかく戻します。イチジク5個くらいに対しクコの実ひとつかみくらいの割合でフードプロセッサーに入れて、どろどろにします。クコの実を合わせることで、自然な甘みが加わります。ここでは縦半分に切ったイチジクの上に、クコの実を混ぜたソースをのせ、小さな丸いモッツレラチーズを置いて、最後にミントの葉をソースに刺しました。モッツレラチーズは、丸くカットしてあるものが手に入らなければ、四角くカットして使ってもいいと思います。余ったソースは、ヨーグルトにかけても美味しくいただけます。