豆腐の実力
素材を選ばない柔軟さと和・洋・中すべての料理に変身できる多様性。コレステロール値の低下、老化防止、更年期症状の軽減、美容やダイエットにもいいなど、豆腐はまるでスーパーマンのような存在。知ってるようで知らない豆腐のすばらしさや、毎日の食卓に生かせるレシピを、シリーズでお届けします。
奈良時代から長い長い間日本人に愛され続けてきた豆腐を、先人の知恵に感謝しつつ、おいしくいただきましょう!
今回は豆腐の材料についてご紹介します。
豆腐1 丁には、なんと大豆380粒!
「1丁380粒」。豆腐は昔からこういわれています。これだけの大豆を食べることを考えれば、1丁の豆腐がいかに食べやすく、栄養価に優れた食品であるかわかります。
豆腐の8~9割は水分。残りの1~2割に大豆380粒分の栄養価がぎゅっと詰まっているのです。ちなみに、豆腐は1丁300~400gと地方やメーカーによって違いがあります。最近はひと家族当たりの人数が減っていることから、少量化の傾向にあるようです。
天然にがり使用・消泡剤不使用
天然にがりは、「粗製海水塩化マグネシウム」と記載されています。豆腐の凝固剤として使用したときに限り、「にがり」とのみ表示可
硫酸カルシウム・消泡剤使用
硫酸カルシウムは工業的に作られた凝固剤。消泡剤は使用していても表示義務がないので、表示されていない場合もあります
知ってるようで知らない、豆腐のお話は、次ページにも。
① 豆腐の凝固剤どんな種類があるの?
豆乳を固めるためには、凝固剤が必要。①天然にがり(粗製海水塩化マグネシウム)、②にがり(塩化マグネシウム)、③硫酸カルシウム、④グルコノデルタラクトン、⑤塩化カルシウム、⑥硫酸マグネシウムの6種類。①は海水から塩を作る過程でできるもので、主成分は塩化マグネシウム。あとの5種類は工業的に作られたもの。それぞれ特質があり、豆腐によって、製造者が使い分けています。
② おいしい豆腐作りに、天然にがりが必要なわけ
海水から塩を精製するときにとれるのが、天然にがり。主成分は塩化マグネシウムです。「苦汁」と書くとおり、とても苦いものです。パッケージに「粗製海水塩化マグネシウム」と表示されることも。豆乳を固める役割を果たしますが、にがりの成分によって、寄せ方(固まらせ方)が微妙に異なるため、高い技術が要求され、大量に作るときには敬遠されがち。
しかし、大豆の甘味と風味を引き出し、味わいのある仕上がりになるので、こだわりの豆腐作りには、欠かせません。微量のミネラル分を含んでおり、健康にもよいとされています。
「天然にがり」「粗製海水塩化マグネシウム」「塩化マグネシウム含有物」と表示されているのが、天然にがり。マグネシウム、カリウム、カルシウムなどのミネラルを含む。「塩化マグネシウム」と表示されている場合は、精製にがり。写真は、家庭で豆腐を作る時の市販の天然にがり
③ 豆腐の消泡剤って?
大豆を煮る過程で出る泡を消し、口当たりよくなめらかにするために加える添加物。油脂系消泡剤、グリセリン脂肪酸エステル、シリコン樹脂などで表示義務がないため、無表示のものも。最近は消泡剤不使用の豆腐も多くなりました。
④ 豆腐パックの中の水は何?
豆腐を作る際に使う水と同じ場合が多いそう。運搬時のクッションと雑菌を防ぐ空気遮断の役目があります。中の水は捨て新しい水につけてから使いましょう。
パッケージに書かれている原材料名をよく見て、品質のよい、納得できるものを買いましょう
次回は豆腐の栄養についてご紹介します。お楽しみに。