乾物はスーパーフード その1・かんぴょうの巻
こんにちは! 野菜料理家の庄司いずみです。
野菜を愛している私ですが、乾物のことも愛しているのです!
野菜だけの料理が物足りないと思うなら、力いっぱいおすすめしたいのが、野菜と乾物を組み合わせること。
素材を乾燥させて作る乾物には栄養はもちろん、うまみ成分もギューッと詰まっているから、野菜料理に加えると、うまみやコクが一気に増します。
また、乾燥させた素材は歯ごたえも抜群。肉などとは違った満足感が生まれるので、野菜だけの料理がボリュームアップするメリットも。
そんないいことばかりの乾物料理ですが……。
扱い方が面倒と思われるせいか、あまり使わないという声もよく聞きます。
一年で乾物が一番売れるのは、実は年末年始。おせちの昆布巻きのためにかんぴょうを買ったり、お煮染めのために高野豆腐や干ししいたけを買ったものの、ちょっとしか使わずに残ってしまった。
そんな人もたくさんいそうです。
そこで今回は、おせちで使う乾物のうち、かんぴょうをクローズアップ! かんぴょうを毎日のごはんにカンタンに取り入れられるメニューをご紹介します。
かんぴょうは以前この連載でも、もどさず使うテクニック(https://ourage.jp/column/healthy_gohan/26219/)を紹介したことがありますが、パッケージに無漂白と書いてあるものなら、戻さなくてもいいのです。
少し黄ばんだ感じに見えますか? これが無漂白かんぴょうです。
真っ白なかんぴょうは二酸化硫黄で燻蒸して漂白しているため、そのままでは胃腸を刺激し、下痢や腹痛などの原因になることも。だから、しっかり戻さないと使えません。
塩もみして、時間をかけて茹でて……、と下ごしらえがちょっと面倒なので、「使うのはお正月だけ」になっている人も多いかも。
一方、無漂白のかんぴょうなら、この下ごしらえは不要。
洗って切って、そのまま煮たり、炒めたり。料理に気軽に取りかかれます。
お正月料理によく登場する昆布巻きなどでも洗っただけで、もどさずそのまま結べばOK。本当にラクチンです。
さらに! 今回は”乾物はスーパーフード”ということで、かんぴょうの栄養成分にも注目したいのですが、なんといってもすごいのは食物繊維の含有量です。
食物繊維といえばすぐに思い浮かぶごぼうですが、そのごぼうで100g中の食物繊維料は8.5g。ほうれん草だと3.5g、にんじんは2.4g。同じ乾物仲間、食物繊維の宝庫の切り干し大根で20.3g。
これに対し、かんぴょうはなんと……。
100g中なんと! 30.1gが食物繊維。驚くほどの含有量です。
さらに、体の余分な塩分を追い出してくれるカリウムは100g中1800mg。野菜の中でカリウムの多めのパセリが1000mg、大葉が500mgですが、これらはそんなにたくさん食べられるものではありません。
豊富な食物繊維でお腹の中からデトックスし、さらに水分を追い出してむくみも解消。かんぴょうは体をスッキリさせてくれる、女性に嬉しいスーパーフードなのです。
では、調理法は、ページへ!
昆布を巻いたり、油揚げの袋煮の口を縛ったり、あるいはかんぴょう巻きくらいしか思い浮かばないかもしれませんが、かんぴょうは味にクセがないので和洋中、何でもOK。実は万能選手なのです。
干ししいたけや昆布などダシとして使われる乾物や、切り干しのようにうまみの強い乾物にくらべると、味が頼りないと思われがちですが、実はダシがわりにも使えます。
写真はかんぴょうとプチトマトのスープ。
作り方はごくカンタンです。
5gほどの無漂白かんぴょうを洗ってざく切りにし、赤と黄色のプチトマト合わせて4~5個をざく切りに。これを1カップほどの水で3~4分煮込み、塩で味を整えれば出来上がり。
かんぴょういがダシにもなれば具材にもなるというわけですが、味つけは塩だけでも十分なうまみ。少しオリーブオイルとおろしにんにくを入れればコンソメスープ風の味になりますし、塩ではなく、味噌を溶きいれ、味噌汁にしても。
かんぴょうのうまみだけでは少し薄味なので、トマトやきのこ類など、うまみの多い材料と組み合わせるのがコツです。
洗っただけのかんぴょうをざく切りにしてカリッと素揚げするのもおすすめのテクニック。
コリコリむにむに、不思議な食感。食べ応えとうまみがすごいのです。
この揚げかんぴょうをベーコンに見立て、好みの生野菜と和えてサラダにしてもいいですよ。クレソンや玉ねぎなど、苦みのある野菜なら、酢と塩だけでシンプルに。
レタスやトマト、きゅうりなどで賑やかなサラダにし、フレンチドレッシングなどで仕上げてもいいですね。
揚げるひと手間が面倒なら茹でただけ、あるいは茹でてさっとソテーしただけのかんぴょうもサラダの具材に使えます。
洗ってざく切りにしたかんぴょうに片栗粉をまぶしつけて、油でサッと炒めると……。
なんと薄切り肉風に変身します。
これを野菜と炒め合わせるとおいしいですよ。ピーマンなどと炒めてチンジャオ風、写真のようにニラと炒めるとニラレバ風。
コリコリした食感で食べ応えがあるのに、肉よりグンと低カロリー。ダイエット中にもおすすめです。
おいしく食べてお腹スッキリ、むくみもとれる。
かんぴょうのスーパーフードぶりは本当にすごいのです。
お正月後に、買ったかんぴょうを持てあましてしまったら、ぜひぜひ毎日の食卓に取り入れてくださいね。
庄司いずみ ベジタブル・クッキング・スタジオ
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