足の悩みには、必ずと言っていいほど登場するのが爪のトラブル。見た目がよくないだけならまだしも、痛みを伴う「巻き爪」は一生繰り返すことも多く、大問題。
爪問題に果敢に取り組む、山口先生にお話を聞きました。
巻き爪の原因もアーチの崩れ?これを知らないと悪循環に
「巻き爪というと、足ではなく爪の病気だとか、深爪が原因だ、遺伝だなどと言われてきました。でも、どれも間違いだと思います。これもれっきとした足のトラブルなんです。
外反母趾などの骨の変形と同じように、骨格の構造の異常が原因。土踏まずのアーチの崩れから起きていることがほとんどです。その証拠にアーチを矯正するインソール(靴の中敷き)を使い続けると、巻き爪が治ってしまう人もいるんですよ」
と語るのは、自身が巻き爪だったことがきっかけで爪専門のドクターになった山口健一先生。靴職人やネイリストなど医療分野ではない方々の見解も取り入れながら、足のトラブルに向き合う「爪と皮膚の診療所」の院長です。
「何千人もの足を診てきた感覚からすると、クリニックを受診する方の9割は足のアーチが落ちています。巻き爪の患者さんも同様。だからインソールだけで治る人もいるんです。
ただ、爪のタイプや症状によってベストな治療法は違います。何度も再発する人は、その原因をきちんと突き止めること。実は、いちばん一般的なワイヤー矯正の再発率は非常に高く、「ワイヤー治療は完治させるものではなく、再発したらまた装着する」というのが現状です。ポイントは、どう長期間再発させないかにかかってきます。ワイヤー矯正に頻繁に高額な費用を払っている方や、根本治療を望む人にはNaOH法という手術をおすすめします。 昔と異なり手術療法は簡単になりました。15〜20分で終わるし痛みも少ない。オーバーサイズネイルと呼ばれる幅広すぎる爪などは、どうしても食い込んでしまうので、もれなく手術をすすめます。巻き爪治療のゴールは、自分で決める時代になったと思います」
【爪トラブルの本当の原因】
爪は内側へ巻きたがっているので、地面から正しく圧がかかっていなければ、端が巻いてきてしまいます。正しい圧とはなんでしょう?
体重が地面にかかるのに対し、地面からの圧が真っすぐかかり、爪は正常な形をキープ
運動不足、指に体重がかからない浮き指など、地面からの圧不足で爪が巻いてきます
扁平足、外反母趾などで指が変形していると、圧が偏り、爪の片側が巻いてしまう
つま先に圧のかかるスポーツや、先が狭い靴を履く人が、深爪をすると食い込んで傷に
巻き爪と混同しやすい、「陥入爪(かんにゅうそう)」とは?次ページに続きます。
「巻き爪」VS「陥入爪(かんにゅうそう)」
一般的に同じと思われがちですが、ふたつを見分けなければベストな治療にはつながりません。痛みにかかわらず両端が巻いているのが巻き爪。巻いてはいないが皮膚に食い込んで傷ができているのが陥入爪です
爪と皮膚の診療所形成外科・皮膚科
神奈川県横浜市青葉区青葉台2-11-14SGビル2F
045-532-6278
診療内容:形成外科・皮膚科(保険診療あり)
診療受付時間:9:00~12:30(月火木金土) 14:30~17:30(月火木金)
予約優先 休診日:水曜、日曜、祝日、土曜午後
次回は最新の巻き爪治療について、山口先生にうかがいます。
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子