40代、50代女性のほとんどが初期症状を発症しているという下肢静脈瘤。下肢静脈瘤が起こるメカニズム、最新の治療法、予防のポイントなどを引き続き阿保先生にうかがっていきます。
保険適用のレーザー治療も受けられる
現在、国内で行われている手術は何種類かありますが、北青山Dクリニックはいち早く、2005年からレーザー治療を採用しました。
「保険適用のレーザーを採用した2014年以来、重症になる前に来院する方が増えてきました。自費手術でなく
ても、保険内で完全にコントロールできる時代になってきました。静脈瘤は命にかかわる疾病でもなく、緊急治療しなければ手遅れになるものでもありません。静脈瘤とわかっても慌てないで。ただ、残念ながら徐々に進んでいく進行性の病気であるということは、きちんと知っておきましょう」
【下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)とは?】
下肢(脚)の筋肉ポンプが働かないと血液が心臓に戻れず、弁に負担がかかって壊れます。血液が逆流したり停滞した静脈は、伸びてふくれてこぶを形成します
動脈と静脈の違い
その役割の違いから、動脈は弾力性と強さがあり、静脈は薄くて伸びやすいのが
特徴。静脈内には血液の逆流を防ぐ弁がついているのも大きな違いです
静脈は全身に送られた血液を心臓に回収する血管。柔らかくて伸びやすく、どんどんふくらむ薄いゴムまりのような感じ。一方、動脈は心臓から送り出される血液を全身に運ぶ血管。非常に弾力性があり、強く丈夫な、厚いゴムでできた軟式野球のボールのよう。
ふくらはぎはポンプの役目!
重力に逆らって血液を心臓のほうへ押し上げるのは、筋肉群の役割です!
第2の心臓と言われるように、ふくらはぎには「筋ポンプ作用」があります。
筋肉が縮むと静脈が圧迫されて血液が心臓へ。そして筋肉が緩むと弁が閉じ、逆流をせき止めます。
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日々進化する下肢静脈瘤の治療法
現在、国際的にも標準治療といってよいのが、血管内のレーザー治療。北青山Dクリニックでは保険適用レーザー治療と自費でのレーザー治療を提供していますが、どちらにも長所と短所があります。
また、治療法は日々進化していて、革新的な治療法として採用されているのが、メディカルグルー(瞬間接着剤)による血管閉鎖術です。
メディカルグルーによる血管閉鎖術「ベノクローズ」
阿保先生が2017年から採用しているのが、医療用に開発された瞬間接着剤を使う血管閉鎖術。治療は10~20分で、治療後すぐ日常生活に戻れる、広範囲の麻酔が不要、術後の出血は最小限、治療直後に包帯や弾性ストッキングが不要など、まさに次世代の治療です。
保険適用レーザー手術 vs. 自費レーザー手術
保険適用レーザーのメリットは費用が安いこと。短所は数が多いと1回で終わらず通院日数も多くなる、弾性ストッキングの着用期間が長くなること。一方の自費レーザーは、費用が高い反面、メリットは、数が多くても1回の手術でOK、痛みが少なく時間も短い、ストッキングの着用期間が短いなど。
今ならまだ間に合う!下肢静脈瘤を防ぐ食生活のポイント
同じ血管でも、動脈硬化予防には動物性脂肪の多い食品や糖質、塩分などをセーブする引き算の食事が理想。下肢静脈瘤の予防と改善は、逆に足し算の食事療法です。ビタミンやミネラル、ポリフェノール、オメガ3脂肪酸など静脈を強化する栄養素を補うのが大切
北青山Dクリニック
東京都渋谷区神宮前3-7-10 AKERAビル B1F ☎050-7301-4555
診療内容:血管外科・脳神経外科・消化器内科・循環器内科・皮膚科・腫瘍内科・婦人科(保険適用あり)
診療時間:9:30~18:00(月~金曜)~17:00(土曜) 休診日:日曜・祝日
http://www.varixlaser.com
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子