「足のトラブル」として生活に大きく影響するのは「痛み」を感じる症状。「足の痛み」を感じる原因としていちばん多い悩みである【外反母趾】について、引き続き桑原靖先生にうかがいました。
外反母趾を見くびらず、医療用インソールを利用して
「外反母趾になるかどうかは、体重が足のアーチにかかっている時間の長さに、年齢という要素が加わって決まります。ハイヒールが原因だとする説は正しくなく、外反母趾もアーチの崩れが原因です。よく足指ジャンケンやテーピングなどの治療法が紹介されていますが、ストレッチのあと、立ち上がって体重をかければアーチ構造はまた崩れた状態に戻ってしまいますし、テーピングも力不足。根本的な治療にはならないですね」と、シビアに語る桑原靖先生。
では、どうしたらいいのでしょう?
「外反母趾にかかわらず、ほとんどのトラブルは歪みが原因ですから、それを元に戻してあげること。医学的に治療効果があるといえるのは、医療用インソール(靴の中敷き)と手術です。治療用のインソールはオーダーメイドで作るのが基本で、土踏まずで体重を分散できる硬い素材を使います。ハイヒールを履かなければならない人は、必要に応じて靴を履き替えれば問題ありません。初期の外反母趾ならインソールだけで悪化をくい止められることもありますよ」
どんなトラブルも、重症化すると根治療法は手術しかなくなるため、できるだけ早く受診しましょう。
いちばん多い悩み【外反母趾(がいはんぼし)】の真実
外反母趾は「ハイヒールを履くのが原因」といわれます。でも、これは正しくありません。やはり引き金はアーチの崩れ。初期の段階で医療用インソールで治療を始めないと進行していきます。
外反母趾は、足の親指の関節が曲がった状態のこと。人差し指に向かってくの字に曲がったり、付け根の骨が外側に突き出したり、腫れや痛みがあったり。進行性の病気なので、早期に治療を始めることが大切
足の小指側の変形「内反小趾(ないはんしょうし) 」も同じ
足の外側の縦アーチの崩れによる内反小趾。重症化しにくい分、インソールでの治療が効きにくいのが特徴
外反母趾になる過程は、自分では気づきにくいもの。初期は変形が軽度でも痛いのですが、進行すると脱臼して、むしろ痛みを感じなくなることも。
(図、右から)
1.アーチが落ちると、親指が回転しながら倒れます
2.親指の付け根に無理が生じ、痛みが出ている状態
3.柔道の関節技をかけられたような状態で、ついには脱臼
4.脱臼で痛みは消えるが、親指はさらに曲がります
外反母趾以外にも、アーチの崩れ(扁平足)が招く足のトラブルが!
次回も引き続き桑原先生にうかがっていきます。
イラスト/かくたりかこ 構成・原文/蓮見則子