今、栄養補助食品としての「プロテイン」が注目されています。筋肉アップ&健康増進のために上手に取り入れましょう。
杉本恵子さん
Keiko Sugimoto
1956年生まれ。「ヘルシーピット」代表、管理栄養士。健康に必要な食事、運動、休養の3点からその人に適した健康づくりをサポート。講演や執筆活動など多岐に活躍。
坂詰真二さん
Shinji Sakazume
1966年生まれ。「スポーツ&サイエンス」代表。NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト。メディアでの運動指導や監修多数。近著に『世界一すごいストレッチ』(日本文芸社)
プロテインを上手に使って
タンパク質不足を解消
「私たちが体を維持するためには、食事でタンパク質をとる必要があります。しかしながら、日本人の摂取量は2000年頃から減っており(厚生労働省調べ)、現在は年代を問わず、タンパク質不足が指摘されています。
そこで最近では栄養補助食品としてプロテインが注目されています。粉末を水や牛乳に溶かしたり、バーやクッキーになったものも。筋肉アップや健康増進のために、上手に活用するといいですね」(杉本恵子さん)
プロテインについて坂詰真二さんと杉本恵子さんに伺いました。
Point_01
プロテインには4種類ある
「栄養補助食品としてのプロテインには、原材料により大きく分けて4種類あります。動物性のホエイとカゼイン、植物性のソイとヘンプです。ホエイプロテインは牛乳の乳清(ヨーグルトの上澄みの液体)が原材料で、筋肉の合成に役立つアミノ酸BCAAが豊富。カゼインは牛乳の乳液がおもな原材料。ソイは大豆、ヘンプは最近スーパーフードとして注目されているヘンプシードから作られています」(杉本さん)
Point_02
用途により使い分けるのも◎
「吸収が最も速いのがホエイプロテイン。筋肉をつけたい人は、運動後すぐに摂取するといいのがこのタイプです。カゼインや植物性のものは吸収速度がゆっくりであるため、満腹感が持続するのが特徴です。ダイエットをしている人や健康増進が目的の人、運動をしない日のタンパク質補給に適しています。運動直後はホエイ、それ以外はカゼインや植物性と使い分けるという方法もあります」(坂詰さん)
Point_03
運動せずにプロテインを
飲むと太る場合も
「厚生労働省が推奨している1日のタンパク質摂取量は、女性は30〜69歳で60gが目安です。これを食材に換算すると、肉100g+魚50g(1切れ)+豆腐½丁+卵1個+牛乳200mlくらい。これだけ食べられなかった不足分、または運動した分をプロテインで補うと考えます。1日のタンパク質量が足りていて、運動もせずにプロテインをプラスすれば、カロリーオーバーでやはり太ってしまいます」(杉本さん)
次のページではポイント4~7をご紹介します。
Point_04
プロテインは摂取する
タイミングが大事!
「筋肉アップを目的としたプロテイン摂取は、筋肉に送られるアミノ酸の吸収率が高まっている、運動後30分以内にとると効果的です。この場合は吸収スピードが速いホエイプロテインと糖質を同時に摂取すると最強。健康維持が目的なら、タンパク質は食べだめができないので、小まめにとったほうがベター。1日3食の食事のうち、昼食と夕食の間は時間があくので、午後3時のおやつにとるのもおすすめです」(坂詰さん)
Point_05
スムージーや料理に
加えても◎
「最近のプロテインパウダーはチョコレート味やバニラ味などがついており、多くは水や牛乳などに溶かしただけで、おいしく飲める工夫がされています。ほかの摂取方法としては、味のないタイプであれば味噌汁やシチューなどの料理やヨーグルトに加えたり、野菜や果物のスムージーに混ぜるのもいいでしょう。加熱もできるので、ホットケーキやクッキーの生地に混ぜて、おやつにすることもできます」(坂詰さん)
Point_06
きな粉は優秀な
天然のプロテイン
「わざわざ栄養補助食品のプロテインを活用しなくても、実は日本に昔からある"きな粉"は大豆を粉にしたもので、いうなれば天然のプロテイン。私がおすすめしているのが、牛乳か豆乳200㎖にきな粉大さじ1とはちみつ小さじ2を加えたスペシャルドリンクです。タンパク質と糖質が同時にとれるので吸収率もよく、ホットでもアイスでもおいしくいただけ、朝や運動後のタンパク質補給に最適です」(杉本さん)
Point_07
プラスの成分で
選ぶのも賢い方法
「ちょっとしたプロテインブームを受けて、さまざまなタイプのものが登場しています。なかにはタンパク質に加えて、現代人に不足しがちなビタミンやミネラルが補給できるものや、食物繊維や乳酸菌などで腸内環境に配慮したものもあります。MyAge世代は、こうした健康を総合的にサポートしてくれるプロテインを選ぶのが、賢い方法かもしれません。自分に合ったものを見つけ、続けることが大切です」(杉本さん)
次回は「注目のプロテインで筋肉アップ&健康増進!/後編」をご紹介します。
撮影/ケビン・チャン 取材・原文/山村浩子