「自分は関係ない」と思っていても、ほとんどの人が罹患している「歯周病」。甘く見ていると、知らぬ間に歯を失うことにも!前回は、口腔内の変化が、見た目と体のエイジングにさまざまに影響していることをお聞きしました。今回は、アワエイジ世代の80%以上が歯周病にかかっているというお話です。あとで後悔しないために歯周病の基本を知って、きっちりケアしましょう!
お話を伺ったのは…
Kenji Wakabayashi
若林健史さん
歯科医師、若林歯科医院院長。日本大学松戸歯学部卒業。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや市民向けの講座も多数開いている
Koufuchi Ryo
梁 洪淵さん
薬剤師、歯科医師。鶴見大学歯学部病理学講座講師。薬学と歯科学の両輪で、口腔のエイジングについて研究および臨床を行う。更年期世代の口腔トラブルにも詳しい
気づかず静かに進行する
だから怖い歯周病
「唾液の分泌量の低下などが起こる更年期世代の女性は、歯周病のリスクが高まります。しかも、ほとんどの人が罹患していて、きちんとメンテナンスをしないと悪化していくばかり。虫歯は痛みがあるのでそれに伴い治療をする人が多いのですが、歯周病は悪化してから気づく人が多い。まずは、ほとんどの人がかかっていると認識を持つべきですね」と梁先生は警告します。
若林先生も、歯周病への危機感の薄さを懸念します。
「歯周病は以前、歯槽膿漏と呼ばれていたせいか、歯肉がぷよぷよして膿が出るのが症状と思っている人が多いようです。でも、このような症状はかなり進行した歯周病です。初期段階での特徴は、歯と歯の間の歯肉が少し腫れている、歯磨き時に出血する、というもの。この程度だと“いつものこと”と見過ごす人がほとんどです。さらに、歯と歯の間や歯と歯肉の境目に付着したプラーク(細菌のかたまり)は、よく鏡で見ないとわかりません。多くの人が初期段階を見過ごして、進行させてしまっているのが問題なのです」
次回は、あなたの歯周病をチェック!
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/伊藤まなび