こんにちは。黒川先生から、56歳からが脳の絶頂期、と聞いて、ちょっとホッとしたミーナです。脳トレ、まだ間に合いそう!
黒川伊保子先生に聞く脳育ての術 7
長年、人工知能のエンジニアとして脳の研究をしてきた黒川伊保子さん。
脳を「装置」として見立て、どのような入力に対してどのような演算が行われ、どう出力されるのかを追求してこられました。
そこで、脳の専門家である黒川先生に、脳を健やかに育てるための術を7つ伺いました。
まず一つ目は、自分の脳を知るということについてです。
【1】
まず自分の脳を知る! 56歳からが脳の絶頂期
ダイヤモンドの輝きから真珠のツヤを目指して
人間の脳と体は、40代後半になると、生殖のために生きてきた時代を終え、「次の50年」へとステージを移す準備に入ります。そして50代前半になると、いよいよ「新たな50年」が始まります。
私たちが、女性ホルモンとともにあるダイヤモンドの輝きをいつまでも放ち続けることは不可能ですが、その代わり次の50年では、真珠のようなツヤを手にすることができます。
実は、脳にとって閉経は悪いことではありません。貧血から豊血に変わるため頭はすっきりして体はタフになり、生殖期とは別のパワーが生まれるからです。これが「真珠のツヤ」の秘密です。
若さへの未練で、つややかな真珠に変わるチャンスを逃してはもったいない。しっかり脳と体をリフォームして、次の50年に備えてください。
閉経を迎えてから本当の人生が始まる
人間の脳は、その日の体験や思考を脳神経回路に定着させながら、毎日進化しています。しかも失敗に使われた回路には電気信号が行きにくくなり、成功に使われた回路には電気信号が行きやすくなるようプログラミングされています。
そうやって日々洗練されていく脳が、「即座に本質を見抜き、ぶれない状態になる=出力性能が最大になる」のは55歳の終わり頃。つまり脳を装置として見立てた場合、成熟するのは56歳からということになるのです。
脳生理学の世界では、30歳を越えた脳は老化の一途をたどるとされていますが、脳機能論では「出力性能がいい=ムダな信号が流れない」というのはひとつの進歩。一部の細胞が老化することでムダな信号が流れなくなり、必要なところに必要な信号が素早く流れるようになるからです。
なので、40代頃から増えてくる「固有名詞が出てこない」といった一般的な物忘れを気に病む必要はありません。「忘れてもいいことだから忘れたのだ」と割り切ってしまっていいのです。
脳にとって閉経は「もう終わり」ではなく、「本当の人生のスタート」です。
MyAge/OurAge世代は、その最後のブラッシュアップ期に当たります。最強の幸せ脳に仕上げるための、大切な数年間。しっかりと脳を育て、心身ともに成熟した大人の女性を目指しましょう!
4つの脳内神経伝達物質
●やる気=セロトニン、ドーパミン
●好奇心=ドーパミン
●集中力=ノルアドレナリン
●記憶力、発想力=メラトニン
◎Key Point
● 日々洗練されていく脳が出力性能最大になるのは、55歳の終わり頃。脳を装置として見立てた場合、脳の成熟は56歳からとなる
● MyAge/OurAge世代は、「幸せな次の50年」を迎えるために、「最強の幸せ脳」への仕上げをする大事な時期!
黒川伊保子さん Ihoko Kurokawa
profile
1959年生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて、14年にわたり人工知能(AI)の研究開発に従事。後にコンサルタント会社、民間の研究所を経て、2003年に感性リサーチを設立
http://www.ihoko.com/
次回は、脳育てに大切なポジティブシンキングのすすめについてです。
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/上田恵子