今からでも「脳を育てる」ことができるんだ〜と、やる気がでてきたミーナです。脳を装置ととらえる黒川先生の理論、わかりやすいから実践しやすいですよね、
黒川伊保子先生に聞く脳育ての術 7
長年、人工知能のエンジニアとして脳の研究をしてきた黒川伊保子さん。
脳を「装置」として見立て、どのような入力に対してどのような演算が行われ、どう出力されるのかを追求してこられました。
そこで、脳の専門家である黒川先生に、脳を健やかに育てるための術を7つ伺いました。
二つ目は、ポジティブシンキングのすすめについてです。
【2】
ネガティブ回路を作らない
ネガティブ回路を駆逐し、ポジティブ回路を作る
過去の失敗をクヨクヨと思い出したり、まだしてもいない未来の失敗を案じて思いわずらうと、脳はネガティブ思考の回路を上書きしてしまいます。
上書き行為をすると、そこへ電気信号がスムーズに流れるようになり、余計に失敗しやすい脳になります。「ネガティブな過去を蒸し返さない、未来を思いわずらわない」は大人の女の脳トレの鉄則です。
そうは言ってもついネガティブに傾いてしまうという人は、今日から以下のことを心がけてみてください。
1 「でも・だって・どうせ」という言葉を使わないようにする
これらは後ろ向きの思考をつくり出す、マイナスの言葉です。できるだけ使わないようにしましょう。
2 人にひとくさり言う癖をやめる
人を揶揄(やゆ)すると自分がとやかく言われるのが怖くなり、先の失敗を思いわずらうようになります。
3「ありがとう・いいわね・うれしい・ええ・おいしい」の「美人の日本語あいうえお」を、一日各1回は言う
これらは脳にポジティブ回路を作る魔法の言葉。ネガティブ回路を駆逐してくれます。
しかもエレガントな女性に見えるため、周囲が大切にしてくれるというおまけも。その結果、自分を卑下したり他人を恨んだりしなくなるという、プラスのループが生まれます。
4 好奇心を持つ
人に、趣味に、場所に、物に恋をしましょう。元気の源であり、好奇心ホルモンである「ドーパミン」を引き出す癖がつきます。ドーパミンは、ネガティブ回路を作る隙を脳に与えません。
「この体験でまた脳が洗練された」と考える
56歳で脳の出力機能を最大にするには、それまでにどれだけさまざまな体験をしたかがカギになります。ネガティブな体験をしたらそれを意識に書き込まず、さっさと消してください。成功体験をしたら、何度も思い返して成功回路を太くしておきましょう。
とはいえ、人間誰でも失敗したら落ち込みますよね。そういうときは「この体験でまた脳が洗練された。今後の人生に生かせるわ!」とポジティブにとらえればいいのです。そう考えれば、つらい出来事もムダになりませんし、ストレスもたまりません。究極のポジティブシンキングです。
脳神経回路を
豊かに仕上げる4カ条
1
ネガティブ回路を増幅させない=過去の失敗事例を繰り返し気にすることをやめる。未来の失敗事例を先回りして心配しない
2
成功モデルを決めつけない=自らの脳にとっての成功は、その脳が決めること。他人が言う規範で物事を推し量らない
3
ネガティブ回路に導く言葉は使わない=「でも」「だって」「どうせ」
4
ポジティブ回路を太くする=「うれしい」「おいしい」など、快感を言葉にして脳にフィードバックすると同時に、周囲の脳に伝え、相手の表情からも自分の脳にフィードバックする
◎Key Point
● 過去の失敗を思い出してクヨクヨしたり、未来の失敗を案じて思い悩むと、失敗しやすい脳になる
●「 ありがとう・いいわね・うれしい・ええ・おいしい」といった「美人の日本語あいうえお」は、脳にポジティブ回路を作る
魔法の言葉
黒川伊保子さん Ihoko Kurokawa
profile
1959年生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて、14年にわたり人工知能(AI)の研究開発に従事。後にコンサルタント会社、民間の研究所を経て、2003年に感性リサーチを設立 http://www.ihoko.com/
次回は、脳にとって理想的な体も頭もやわらかくする方法についてご紹介します。
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/上田恵子