大好評!黒川先生の「脳トレ』術。ミーナも実践に励もうと思ってます。今回は、学習意欲のある方にぴったりの、未知の言語を習得するというもの。ミーナには、ちょっとハードルが高い?
脳を健やかに育てる「脳トレ生活」
長年、人工知能のエンジニアとして脳の研究をしてきた黒川伊保子さん。
脳を「装置」として見立て、どのような入力に対してどのような演算が行われ、どう出力されるのかを追求してこられました。
そこで、脳の専門家である黒川先生に、脳を健やかに育てるための術を7つ伺いました。
今回は、脳の言語機能を使って活性化を促す脳トレ術をご紹介します。
【4】
いつもと違う言語を使う
未知の言語のレッスンで
言語機能に刺激を
言語の獲得は、人類の脳を発達させる大きな要因になりました。脳の言語機能をみずみずしく保つためには、つねに言葉による刺激を受けているのが理想的です。
しかし長年使っている日本語に関しては、すでに皆さん達人の域に達しているはず。馴染み深い言語に新たな刺激を見出すのは、本格的に俳句の道に入るなどしない限り難しいのです。
では、外国語である英語ならいいかというと、こちらも残念ながらあまり有効ではありません。すでに一度、学生時代に習っていて馴染みがありますし、「英語はわりと得意です」「日常会話程度なら話せます」という人も結構いるでしょう。
脳にとってより大きな成果を上げるためには、初めて接する外国語のほうが望ましいのです。
そこでおすすめしたいのが、初めて出合う未知の言語のレッスン。イタリア語、ロシア語、ベトナム語など、新たな言語との出合いが、言語機能に大きな刺激を与えてくれます。そのうえ、言語を通して異文化を知ることで視野が広がり、精神的に豊かになるというメリットも。
その結果、生活や仕事のシーンで、新たな発想が生まれることも期待できます。
「未知の言語+αで脳をさらに活性化」
言語レッスン+五感で
脳はさらに活性化
また、未知の言語で好きなことについて習うと、漫然と言語だけを学んだときに比べて、脳のデータ入力・出力が数倍豊かになります。もしもあなたが料理好きなら、イタリア語でパスタやカプチーノの作り方を習ったり、韓国語でナムルやキムチの作り方を習ってみるのはいかがでしょう?
なかでも料理は「視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚」といった五感のすべてを使うので、非常にいい刺激になり、脳はさらに活性化されます。
ここで重要なのは、「楽しい」「気持ちがいい」と感じること。脳は楽しかったり気持ちよかったすることが大好きなので、興味のないことを無理にやってもあまり効果は上がりません。料理とまでいかなくても、「大好きな韓国ドラマを観ながら韓国語でおしゃべりする」でもいいですよ。
ワクワクする気持ちを大切にして、楽しみながらレッスンしてください。
◎Key Point
● 長年使い慣れている日本語から、新たな刺激を見出すことは難しい。未知の言語と出合うことで、言語機能が丸ごと刺激を受ける
● 言語を通して異文化の世界観を知ることで、視野が広がり、追い詰められていた気持ちがほぐれることも
黒川伊保子さん Ihoko Kurokawa
profile
1959年生まれ。奈良女子大学理学部物理学科卒業。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて、14年にわたり人工知能(AI)の研究開発に従事。後にコンサルタント会社、民間の研究所を経て、2003年に感性リサーチを設立
http://www.ihoko.com/
次回は、脳によい状況をもたらす質のよい睡眠についてです。
イラスト/内藤しなこ 構成・原文/上田恵子