多様に使えるメキシコのサボテン−
オイル、シロップ、シャンプーにお酒まで
こんにちは小野アムスデン道子です。
今回は、メキシコに行って知ったサボテンやアガペ(リュウゼツラン)を使った美容についてご紹介します。
私が訪れたのは、巨大な2つのピラミッドを抱くメキシコのテオティワカン遺跡。登るのがたいへんなほど急な階段が続く太陽のピラミッドや月のピラミッド、南北に5kmにも及ぶ死者の大通りなど、こんな大昔に誰がどのようにして作ったか、神秘的な古代都市です。大都市のメキシコシティから北東に約50km、車で1時間もしないところにあるので、メキシコ観光の日本人にも人気の遺跡。この周りは乾燥地帯で、さまざまなサボテンやアガペが生い茂っています。
メキシコシティまでの帰路に、この地方の地層を形成している溶岩などを展示したり売ったりしているストーン・ミュージアムに立ち寄ると、辺りに生えているサボテンやアガベは、乾燥地帯に生えるだけあって保水力が抜群で、美容も含めて実にいろんな用途に使われているのだと説明してくれました。
まず、丸い葉っぱに赤い実がついたウチワサボテンは、元々アフリカから来たもので、乾燥した大地の下で生き抜くために、地中に広く根を伸ばして水を吸い上げ、蓄える力が強いのです。この実から取れる種には、アンチエイジングの抗酸化作用に優れたビタミンEを多量に含み、保湿力が高いオイルが取れます。また、このウチワサボテンの丸い葉の部分は食用にもなり、ビタミン、カリウム、食物繊維を多く含むヘルシーな食材なのだとか。
また、アガベと呼ばれるリュウゼツランの根には、虫を引き寄せてしまうほど甘いシロップが貯まります。オーガニックのアガベシロップをその場で味見してみました。口当たりはさらりとしていますがかなりの甘さ。このシロップでオレンジを煮たマーマレードジャムがちょうどほどよい甘さで人気でした。
緑の葉は表面を薄く割いて紙に、その繊維は身体を洗うボディネットに。葉から取れる汁は、保湿力のあるシャンプーや石鹸ができます。見た目は堅そうなサボテンですが、それは乾燥地帯の天候から身を守るため。切り目をつけると汁があふれて出て来るほど、中には水分があります。確かにこの保水力はかなりのもの。シャンプー1本は、1,300円ほどでした。
また、葉っぱを蒸してすり潰し、その絞り汁を発酵させてプルケという白濁した酒を造ります。それを蒸留したものが、メスカルですが、その中でハリスコ州のテキーラという地域で造られ、ハリスコ州政府機関の規定にあったものがテキーラと呼ばれるのです。塩を付けたライムを口に含んで、小さなグラスに入れたメスカルをすするというのが本格的な飲み方だそう。ちょっとした気付けになりそうです。
乾燥に耐えるために水やミネラル、ビタミンを貯めこんでいるサボテンは、メキシコの人の元気のモトでした。
取材協力/メキシコ観光局 http://www.visitmexico.com/ja/