オーストラリア先住民が描く
アボリジニアートの不思議な癒し
こんにちは小野アムスデン道子です。オーストラリアで出会った不思議な絵に目が吸い寄せられました。いくつも重なり合う円が水面のような、宇宙のような。近づいてみるとても細かい点で描かれています。
これは、オーストラリアの先住民、アボリジニのアートです。ドットペインティングという点描で知られるアボリジニの絵は、元来、コミュニケーションの手段として描かれたもの。話し言葉があっても、書き言葉がなく、その代わりに砂や岩などに絵を描いてコミュニケーションをとってきたのです。例えば、何重もの円は、主な集落、石、井戸、火、水場を意味しました。
この絵に出会ったのは、オーストラリアの真ん中、ノーザンテリトリーの巨岩「ウルル」(英語ではエアーズロックで知られています)に向かう旅の途中。
アリススプリングスという町で訪れたのが、このアボリジニアートのギャラリー「ユブナパ・アート・ギャラリー」でした。点で描かれた円や線、シンプルな形が集まって絵は、力強く、不思議に心引かれます。
ユブナパ・アート・ギャラリー http://yubunapa.com
別のギャラリーには、また違った魅力が。次のページに続きます。
もう一つ、壁一面の大きな絵から手軽に買える小さな絵まで扱うギャラリー「ムバンチュアギャラリー」では、日本女性が働いていました。話をうかがうと、アボリジニのアートに魅せられてアリススプリングスにやってきて、移住してしまったといいます。ギャラリーに勤めてもう12年ですが、毎日見ていてそれぞれに個性的で飽きることがないそう。
この花びらが重なったような絵はGloria Petyarreという女性の作品で、エルメスのスカーフのモチーフにも採用されたのだとか。シンプルな形が集まって作り上げるアボリジニの絵は独自のものです。
ムバンチュアギャラリー http://www.mbantua.com.au
アボリジニが利用してきた食物はブッシュタッカーといって、大自然の中で穫れる動植物。植物性のホーリーバジルやアニスシードルマートなどのハーブやナッツなどを砕いて混ぜたものは、オリーブオイルと一緒にパンにつけたり、サラダにかけたり出来るようにふりかけのようにして売っています。栄養価が高く、ビタミンやミネラルが豊富。乾燥した大地で生き抜くための食べ物だと言えます。
そしてスキンケアは…。次のページに続きます。
また、スキンケアに用いられているクリームは、ハーブを煮たものに、オリ—ブや大豆、ひまわりなどの油とビーズワックスを加えたもので、独特の強い香りがしますが、ものすごく保湿力が高いのです。
ウルルのリゾートでアボリジニアートの点描を教えてもらったのですが、簡単そうに見えて、均一な大きさで点を打つのがいかに難しいかを実感。砂漠や厳しい自然の中で、生き抜いてきたアボリジニ。独自の文化を育ててきたわけです。
取材協力/ノーザンテリトリー政府観光局
http://www.australiasoutback.jp