食べる量の目安は? 計算方法は?
タンパク質を不足なくとるためのコツ Q&A
タンパク質の重要性はわかったけれど、日常的にタンパク質を過不足なく、上手に摂取するにはどうしたらいいの?
ここでは、実践するための5つのコツを、Q&A方式で二人の先生に伺いました!
今回は、●外食などで上手に摂取する方法、●腸内環境にいい肉の食べ方、●食生活を変えられない場合は? の3つのコツをご紹介します。
お話を伺った先生
藤田紘一郎さん Koichiro Fujita
1939年生まれ。東京医科歯科大学名誉教授・医学博士。
専門は寄生虫学、感染免疫学。免疫、腸研究の第一人者。
腸や長寿食に関する著書多数。
近著に『50歳からは肉を食べ始めなさい』(フォレスト出版)
本多京子さん Kyoko Honda
医学博士・管理栄養士。NPO法人日本食育協会理事。
日本体育大学児童スポーツ教育学部で「子供の食と栄養」を担当。
栄養や食に関する著書多数。
近著に『シニアのらくらく毎日ごはん』(NHK出版)
Q 外食やコンビニで上手に摂取する方法は?
A 栄養表示のあるもので、20g以上のものを選ぶ。
外食でも、アミノ酸スコアの高い5品目を意識的に選びたいもの。例えば、サンドイッチならカツサンド、ツナサンド、卵サンドを。おにぎりなら鮭、ツナ、肉入りのものを選べば、タンパク質を摂取することができます。
また、一部のコンビニ、ファストフード店、ファミレスでも、商品やメニューに、またはホームページなどで、栄養成分を表示しているところがあるようです。
「そんなときは、タンパク質20g以上を目安に選ぶといいでしょう」(本多京子さん)
Q 腸内環境にいい、肉の食べ方は?
A 肉に対して、その3倍量の野菜を食べましょう。
「タンパク質補給に、肉はとても優秀です。しかしながら、肉ばかりを食べすぎると、腸内で悪玉菌が増え、腸内環境が悪化します。肉を上手に摂取するには、その3倍量の野菜を一緒に食べることです」(藤田紘一郎先生)。
実は現代の日本人は、野菜も不足しています。野菜に多く含まれる食物繊維は腸内細菌の大好物。野菜をたっぷり食べて、いい腸内細菌を増やし、腸内環境を整えながら、肉を食べることが重要です。
野菜の食物繊維で腸内環境を整えることが、肉を上手に摂取するうえでの大きなポイント。肉と野菜はセットで、肉の3倍量を目安に。生や温野菜などでたっぷり食べましょう。
Q 今の食生活を変えられない場合は?
A 注目のホエイタンパクを上手に活用する。
タンパク質をとる重要性はわかるけれど、毎食摂取する自信がない…という人は、最近注目されているホエイタンパクを活用してみては?
「牛乳から作られる天然の食品で、低脂肪・高タンパク。味にクセがなく、粉末なので、料理にも幅広く合わせられるのが特徴です」(本多さん)。
例えば、味噌汁やスープ、ヨーグルトに加えたり、調味料の感覚で、さまざまな料理に加えることができます。今までの食生活を変えることなくタンパク質が摂取できる、うれしい助っ人です。
写真の粉末のものは、すべてホエイタンパク。アミノ酸スコアが高く、特に必須アミノ酸の中でも筋肉の合成に必要な、ロイシンを豊富に含みます。筋肉を落とさないための新しい食材として、また高齢者のロコモティブシンドローム予防としても、注目されています。
写真と資料の提供/アメリカ乳製品輸出協会
分岐鎖アミノ酸(BCAA)とは、必須アミノ酸のロイシン、イソロイシン、バリンのこと。BCAAを摂取することで、筋タンパク質の合成を促進したり、分解を抑制する効果があると言われます。ホエイタンパクは、このBCAAが豊富なうえ、低脂肪&低カロリーなので、健康的なダイエットにも役立ちそう。
イラスト/かくたりかこ 図表製作/ビーワークス
取材・原文/山村浩子 監修/本多京子 藤田紘一郎
撮影協力/UTUWA