閉経以降の体の若さを保つには
骨盤底筋(こつばんていきん)と腟の若さ、骨量をキープ!
閉経後は女性ホルモンの分泌が欠乏して、骨盤底筋や腟が緩み、骨こつ粗そ しょう症しょう予備軍になる心配も…。
まずは筋力の衰えや骨量減少を食い止めて、50代の体を老年期まで絶対にキープしたい!
膣を若く!
女性ホルモンの減少に負けず、
腟の弾力を維持したい!
肌同様、腟の弾力が
失われてきます
更年期は肌の弾力が失われるだけでなく、腟も緩んで広がりやすくなります。これは女性ホルモンのエストロゲンが減少することが一番の原因なのだそう。
「腟粘膜の下には皮下組織、腟を収縮させる筋肉、コラーゲン組織がありますが、エストロゲンが欠乏するとコラーゲンが作られなくなり、腟壁が薄くなっていくのです。同時に、腟口も緩んで広がります。特に経腟出産を経験した人は、赤ちゃんが通り抜けたときに広がったことがあるため、腟口の肛門側が伸びて緩んだ状態です。出産経験がない人は、そこまでは緩んでいないにしろ、腟粘膜下のコラーゲンの減少とともに腟口の皮膚のたるみが生じます」(松峯先生)
また、腟の緩みやたるみには長年の生活習慣も影響。椅子に座るとき、猫背の姿勢の人や膝を開きっぱなしの人は、骨盤底筋とともに腟が緩みやすくなるため、日頃の習慣にも注意しましょう。
「萎縮性腟炎」「萎縮性外陰炎」
って知っていますか?
閉経以降、腟粘膜や外陰部の皮膚が乾燥して炎症を起こすことがあります。これは「萎縮性腟炎」「萎縮性外陰炎」という症状で、エストロゲンの欠乏が原因。
「更年期前の腟は、おりもので潤され、デーデルライン桿菌(かんきん)という乳酸菌の働きで弱酸性に保たれています。でも、エストロゲンが欠乏すると、デーデルライン桿菌のエサとなる腟粘膜上皮が薄くなり、腟内環境が乱されるのです。残念ながら生殖器の萎縮を治すことはできませんが、ホルモン補充療法で不快症状を改善することは可能です」
閉経後の膣の変化については次ページへ→
【閉経後の腟はどう変化する?】
松峯寿美さん Hisami Matsumine
1946年生まれ。東峯婦人クリニック院長。医学博士。日本産婦人科学会専門医。
東京女子医科大学、同大学院卒業。
1980年に開業以来、妊娠・出産・更年期・老年期まで、
婦人科系のQOL(生活の 質)を保つ医療を実践。
骨盤底筋トラブルの治療や子宮脱を改善する経腟手術なども行う。
『女性の医学BOOK』(永岡書店)など著書多数
福岡由理さん Yuri Fukuoka
1982年生まれ。理学療法士。
東峯婦人クリニックにて産前・産後の骨盤底筋ケア、更年期以降の尿もれ、
骨盤臓器脱の予防・改善に有効な骨盤底筋トレーニングを指導している。
全身のバランスを整えて不調を改善する理学療法を行う。
共著に『ウィメンズヘルスと理学療法』(三輪書店)など
次回から2回に分けて、膣の弾力を維持するための解決策についてご紹介します。
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/大石久恵 監修/松峯寿美、福岡由理