骨代謝!
骨粗症(こつそ しょうし ょう)は予防が肝心!
思いがけない骨折などにつながる「骨粗しょう症」は、女性ホルモンの枯渇が大きな原因。閉経後の女性は誰もが予備軍といえます。
閉経すると
骨がもろくなるのはなぜ?
骨粗しょう症は、骨の内側がスカスカにもろくなる症状。骨折を機に判明することが多いため、「骨量の低下とともに骨折のリスクが高まる病気」と定義されています。
「閉経以降の女性にリスクがあるとされるのは、更年期を境に骨量が減りはじめ、60代以降、骨折する人が徐々に増えるためです。肌がターンオーバーを繰り返すように、骨も〝骨代謝〞と呼ばれる新陳代謝を繰り返しており、それを支えているのが女性ホルモンのエストロゲンです。エストロゲンは腸内で、骨の材料となるカルシウムの吸収を高める働きを担っています。しかし、閉経後は、このエストロゲンが枯渇するため、骨代謝のバランスが大きくくずれてしまうのです」(松峯先生)
古くなった骨が壊されるのは〝骨吸収〞と呼ばれる仕組みで〝破骨細胞〞が働きます。そして、いったん壊した骨を新しく作り替える〝骨形成〞を行うのが〝骨芽細胞〞です。
「私たちの体内では骨の再構築が休むことなく続けられていますが、閉経後にエストロゲンの分泌が止まると、骨芽細胞の働きが破骨細胞に追いつけなくなり、骨形成よりも骨吸収のスピードが速くなる現象が起こります。そのため、閉経後は骨の強度が低下しやすくなるのです」(松峯先生)
【骨代謝のメカニズム】
松峯寿美さん Hisami Matsumine
1946年生まれ。東峯婦人クリニック院長。医学博士。日本産婦人科学会専門医。
東京女子医科大学、同大学院卒業。
1980年に開業以来、妊娠・出産・更年期・老年期まで、
婦人科系のQOL(生活の 質)を保つ医療を実践。
骨盤底筋トラブルの治療や子宮脱を改善する経腟手術なども行う。
『女性の医学BOOK』(永岡書店)など著書多数
福岡由理さん Yuri Fukuoka
1982年生まれ。理学療法士。
東峯婦人クリニックにて産前・産後の骨盤底筋ケア、更年期以降の尿もれ、
骨盤臓器脱の予防・改善に有効な骨盤底筋トレーニングを指導している。
全身のバランスを整えて不調を改善する理学療法を行う。
共著に『ウィメンズヘルスと理学療法』(三輪書店)など
次回は、骨粗しょう症の基礎知識について、Q&A方式でご紹介します。
イラスト/かくたりかこ 取材・原文/大石久恵 監修/松峯寿美、福岡由理