体脂肪を制するには、まず体脂肪の種類を知ることから!蓄積する部位によって4つの種類に分けられます。それぞれの問題点とは?
覚えておきたい「体脂肪」の種類
体内の脂肪の余りすぎがわかる!
中性脂肪
中性脂肪は血液中に存在し、脂肪組織の中に蓄えられる分子。つまり、体脂肪のほとんどは中性脂肪です。血液検査の数値は「どれだけ余っているか」の指標。女性では、基準値を上回っている人が50代からぐんと増えはじめます。
●中性脂肪値150mg/dl以上の割合
(コレステロールを下げる薬・中性脂肪を下げる薬の使用者を含む)
内臓や筋肉に入り込んだ「場違い脂肪」
異所性脂肪
「異所性」とは本来あるべきではない場所の意味。内臓ではおもに肝臓、心臓、膵臓(すいぞう)、そして筋肉にたまった脂肪を指します。腸にたまる内臓脂肪(下記)と区別し、あえて異所性脂肪と呼ばれます。異所性脂肪で最も早く出現するのは「脂肪肝」です。
●筋肉に入り込む異所性脂肪
筋線維に脂肪がたまるのが、まさに霜降り肉。さらに筋肉細胞の中にも異所性細胞はたまります。どちらも筋肉の機能を低下させます。ちなみに、筋肉も「臓器」のひとつ
更年期にはこれが増える!
腸のひだにたまった脂肪のこと
内臓脂肪
ちょっとややこしいのですが、内臓脂肪は「腸」のまわりにある内臓脂肪細胞にたまるもの。最近、この細胞がアディポサイトカインというホルモンを数種類分泌して体全体を調節し、内臓脂肪をためこみすぎると悪さをすることが明らかに。
●内臓脂肪がたまる腸間膜
腸間膜はひだ状の膜で、いわば内臓の「詰め物」。内臓脂肪細胞はその表面にあります。腸間膜の中には腸に栄養や酸素を届け、血管や腸の動きを調節する神経が走っています
皮膚の下について落としにくい
皮下脂肪
人間は脂肪でできた着ぐるみを着たようなもの。皮膚の下についた脂肪はクッションの役目をすると同時に、体温の維持も担っています。体がエネルギー不足になったとき、内臓脂肪の次に分解されてエネルギーとして使われます。
若い女性の皮下脂肪は、女性らしいボディラインをつくる要素ですが、更年期には、エストロゲンの減少に伴い、皮下脂肪より内臓脂肪が増えるので、ボディラインがくずれやすくなります。
教えていただいた先生
横山裕一さん
Hirokazu Yokoyama
1959年生まれ。慶應義塾大学保健管理センター教授。医学博士。当初、アルコール代謝を研究、米国留学中、アルコール脱水素酵素(ADH7)の遺伝子解析に従事。本センター異動後は、飲酒を含めた生活習慣、メタボリックシンドローム、脂肪肝などをテーマに数々の研究成果を報告。著書に『こうして落とす! 女性の内臓脂肪』(PHP 研究所)
栗原 毅さん
Takeshi Kurihara
1951年生まれ。栗原クリニック東京・日本橋院長。医学博士。日本肝臓学会専門医。治療だけでなく病気予防にも力を注ぎ、わかりやすい生活習慣指導に定評あり。肝臓専門医の視点を生かした消化器疾患、糖尿病、高脂血症、脂肪肝、内臓脂肪、肥満などに関する著書多数。クリニックは連日、健康を気遣う中高年で満員に。
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イラスト/マイコ センボクヤ(CWC) 構成・原文/蓮見則子