ちょっと体重を落としたいとき、みなさんはどうしていますか? 今回は、毎日の食事に取り入れるだけで簡単に実行できるダイエットをご紹介します。食事で体内を活性化させ、食べながらやせる体づくりについて、パーソナル管理栄養士の三城円先生に教えていただきました。
◆「内臓力®」が低下して、やせにくい身体になりがちなOurAge世代
三城先生によると、食べながらやせる体づくりには、内臓力®のアップが欠かせないのだそう。「①咀嚼力②消化力③吸収力④代謝力⑤排出力の5つを内臓力と呼んでいます。内臓力®が正常に働くと、エネルギー消費量が高まったり、やせスイッチが入ったりするようになります」(三城先生)。
つい忘れがちですが、内臓も筋肉でできています。手や足の筋肉が加齢によって衰えていくように、内臓の筋肉にも同様の変化があり、内臓力®が低下していきます。さらに、過去に食べないダイエットをした経験があったり、生活習慣や食生活の乱れがある人は、内臓力が低下する可能性がより高いとか。胃腸が衰える、つまり、内臓力®が落ちてくると食べ物を消化・吸収する力が落ちてエネルギーをうまく生み出すことができなくなり、エネルギー消費量も落ちてしまいます。
内臓力®が落ちると、身体にどんな変化が起きてしまうのでしょうか? 下記のリストでチェックしてみましょう!
・便秘がち
・空腹を感じにくい
・体重でなく体形の変化を感じる
・靴下の跡がなかなか消えないなどのむくみがある
・冷えやすい
・口臭が気になる
「あ、当てはまってる!」と思った方もご安心を! やせやすい身体づくりができる、内臓力®を高めるための食事法について、三城先生に教えていただきました。
◆内臓力®を高めるには、手軽な一汁一菜を食べることが基本です
「内臓力®を高めるための基本的な食事スタイルは、主食を食べることと、具だくさんのお味噌汁を飲むことです」(三城先生)。えっ、それだけでいいんですか⁉と聞きたくなりますが、本当にこれだけでいいんです!
「お味噌汁は“体内活性みそ汁”と呼んでいますが、具が3~4種類入っていて、野菜、きのこ、海藻類は150g程度。肉・魚・大豆類などのいずれかのタンパク質を手のひら1枚分入れたものです。豚汁のようなお味噌汁なので、これがいわゆるメインディッシュのようなもの。これと主食だけでいいので、ラクチンな食事スタイルです」(三城先生)。
「これだけではお腹が空かない?」と不安になりますが、こちらは実際やってみると食後はかなりの満足感が!たっぷりのたんぱく質源と野菜で作った味噌汁はボリュームがあり、しっかり噛んでいるうちに満腹感が出てきます。さらに、野菜のうま味が汁にしっかり出ていて味わい深く、油が多すぎないので胃腸にも優しい感じがします。
内臓力®を高めるうえで、大まかに下記の3つのステップで進めていくのがいいのだそう。
Step1 復活期
最初の1週間は、「復活期」。栄養バランスや食事のリズム、食事量を整えて、衰えた内臓力®を復活させます。
この時期は、全部で21食(1日3食×7日間)あるうちの18食は内臓力®を高める食事をベースに。3食は好きなものを食べてOK。ただし、Step1の時期だけお菓子などをとるのは控えて。
Step2 活性期
復活期で回復した内臓力®をさらに活性化し、勝手にやせるサイクルを作る「活性期」。
この時期は、全部で21食あるうちの15食は内臓力®を高める食事をとりましょう。6食は好きなものを食べてOK。
Step3 食の自立期
Step2の食事を続けていくことで、心身ともに不調知らずな身体になっていく「食の自立期」。Step2で身についた食習慣を続けていきましょう。
より効果をアップするためには、
・具は大きめに切ってしっかり噛むようにする
・旬の野菜を使うようにする
・早食い習慣のある人は、ゆっくり噛むようにする
・毎食たんぱく質源を取り入れる
以上が大切です。忙しい人は野菜をレンチンしてから煮込めば、大きめに切っても調理時間はあまりかからないので、電子レンジなどを上手に活用していきましょう。
「いくら美味しくてもそのうち飽きない?」という心配になるかもしれませんが、実行している方は工夫して変化をつけているので無理せず続けられているのだそう。
「毎回味噌汁にして食べている方も、白味噌、赤味噌などいろいろな味噌を買って、素材に合わせて使い分けたり、自分で混ぜ合わせて使っている人もいます。あとは味噌汁ベースで、豆乳入りにしてポタージュ風にしてみたり、もずく酢を加えて酸辣湯風にしてみたり、トマトを入れてつぶして洋風にしてみたり。味噌汁ひとつでも、いろいろな変化がつけられますよ」(三城先生)。
ご飯もStep1は白米の方がおすすめだそうですが、Step2からは炊き込みご飯にしたり、雑穀を加えて食感の変化を楽しんだりするのもいいのだそう。そんな変化をつけたいと思ったときにぴったりのご飯とスープのメニューをご紹介します。
◆内臓力®をアップするおすすめメニュー
●スーパー大麦炊き込みご飯
■材料(2~3人分)
白米…2合
炊き込みご飯の素…2合分
スーパー大麦…大さじ2
水…いつもの分量(炊き込みご飯の素の指定に合わせた水の量)+50㎖
■作り方
【1】白米を研ぐ。
【2】炊飯器の内釜に【1】と炊き込みご飯の素を入れ、「炊き込みご飯の素」指定の量の水を加える。
【3】スーパー大麦を入れ、さらに水50㎖を入れて軽くかき混ぜてからて炊飯する。
\これを使うのがおすすめ/
●豆乳ヨーグルトと枝豆の冷製スープ
■材料 (2人分)
枝豆 (冷凍むき枝豆)…40g
【A】 玉ねぎ (冷凍みじん切り)…80g
【A】 バター (有塩)…6g
【B】 コンソメ (顆粒)…小さじ1/4
【B】 水…50㎖
豆乳ヨーグルト(プレーンタイプ)…100g
【C】 おろしにんにく (チューブ)…約1㎝
【C】 塩…少々
オリーブオイル…適量
パセリ (乾燥)…適量
■作り方
【1】ボウルに枝豆と水(分量外)を入れて解凍し、ある程度柔らかくなったらザルに上げておく。
【2】鍋に【A】を入れて火にかけ、焦げないように気を付けながら玉ねぎが透明になるまで炒める。
【3】【2】の鍋に【B】を加えて混ぜ、コンソメが溶けたら火を止める。
【4】ミキサーに【1】の全量と【3】の半量を加え、なめらかになるまでミキサーにかける。
【5】【4】に【3】の残りの半量と豆乳ヨーグルト、【C】を加え、なめらかになるまでミキサーにかける。
【6】冷蔵庫で冷やす。
【7】器に盛り、オリーブオイルを回しかけ、パセリを散らす。
※本レシピは学生考案レシピになります。
\これを使うのがおすすめ/
自分で好きな具を使うのもよし、ときにはこういったメニューを参考にいろいろなメニューに挑戦するのも楽しそうですね!
「40~50代は仕事に家族のことにと、とにかく忙しい時期だと思います。身体の不調を感じていても、なんとなくバタバタして気遣う余裕がない方もいるかもしれません。そんな方には、料理で頑張りすぎないよう、内蔵力®を高めるメニューを手軽に作ってもらって、身体を整えて調子を良くしてもらえればと思います」(三城先生)。
確かに、つい自分のことが後回しになりがちなOurAge世代。忙しくても実行しやすい内臓力®アップメニューで、体の内側から体調も体形も整えていきましょう!
お話をうかがったのは
(一社)日本パーソナル管理栄養士協会代表理事
パーソナル管理栄養士 ダイエットコンサルタント
三城 円(さんじょう・まどか)先生
病院勤務後、筑波大学大学院修士課程修了(体育学)。自身のダイエット・摂食障害の経験から、食に悩む方々に向け「食べるダイエット」を基本とした食事の大切と内臓力を高める食べ方を伝えている。くわばたりえさんの産後復帰ダイエットをはじめ、一般の方向けのダイエット、摂食障害(予防)サポートのほか、アスリートの食事サポートなど食事コンサルティングを実施。企業での健康経営セミナーやアプリケーションなどの考案・監修のほか、メディア出演も多数。
◆資料提供/HER-SELF女性の健康プロジェクト
取材・文/倉澤真由美