夏はちょっと動くだけでも汗をかくこともあり、血行や代謝が良くなる季節だと思っていませんか?でも実は、寒い冬よりも冷えやむくみが起こりやすいんです!なぜ夏の方がむくむのか、夏のむくみ対策について、イシハラクリニック副院長の石原新菜先生に教えていただきました。
◆夏はむくみやすい悪条件がいっぱいです!
「季節に関係なく、体のめぐりが悪くなるとむくみが起こります。そして同じむくみでも、夏のむくみは悪条件がそろっていて、改善が難しいようです」と石原先生。暑い夏もむくみが起こる原因としては、次のものがあります。
●冷房の冷え
真夏日が増えている近年では、冷房をつける頻度が上がったのではないでしょうか。暑いとつい低めの温度にしがちで体が冷えやすくなりますが、冷えは血流やリンパの流れを悪くしてしまいます。「動脈から流れて来た血液の水分は細胞間質にしみ出して、細胞へ栄養を行き渡らせた後、静脈やリンパ管に水分が吸収され戻っていきます。ところが、血流が悪いと戻ることができずに、細胞間質に水分が溜まってしまいます。これがむくみの原因です」(石原先生)。
●熱中症予防で水分をとりすぎる
屋外や暑い室内にいるときは熱中症予防に、と意識して水分をとろうと思いますよね。それはもちろん正しいことですが、冷房が効いた部屋では、気をつけた方がいいことがあるそう。「適正な温度で冷房がかかった環境にずっといる方は、水分を多めにとるととりすぎになってしまい、むくみの原因につながります」(石原先生)。
●猛暑で外出が減り運動不足に
あまりの猛暑に、買い物に行くのもおっくうになり、つい屋内にこもりがちになっていませんか? これもむくみの原因の一つに。「筋肉は毛細血管のポンプの役割を果たしています。筋肉を動かさないとポンプの役割が弱くなり、毛細血管まで血液が行き渡らなくなって体液循環の働きを低下させてしまいます」(石原先生)。心臓から遠いところほど冷えやすくむくみやすく、水分は重力によって下に落ちるので、足首がわからない象のような脚になってしまうのだとか!
夏に潜む冷えや水分の取り過ぎ、運動不足などがむくみにつながるんですね。これらに、「夏冷えむくみ」の大きな原因があると言えます。
◆むくみ?太った? その見分け方を教えます
夏にむくみやすいのはわかりましたが、「これってむくみ?それともアイスを食べ過ぎて太った⁉」とむくみなのか脂肪なのかわからない時がありますよね。その見極めをするには、次の2つのポイントをチェックするのがいいのだそう。
・サンダルや靴下を脱いだ時、サンダルや靴下の跡がくっきり残る
・指で、すねの部分を押すと指の跡が残る
くっきり跡が見えるようであれば、太ったのではなくむくんでいる証拠です。
◆むくみ解消法①行動編
太ったのではなくむくんだだけであれば、めぐりを改善することで解消することが期待できます。めぐりをよくするには、特別な運動などはいりません。日常生活の中で、すき間時間に次のことをするだけで効果的なので、ぜひやってみてください。
●スクワット
足を肩幅より少し広めに開き、足のつま先を少し外側に向けます。股関節を曲げてお尻を落とすようにしてひざを曲げます。できるタイミングで30回程度行いましょう。
●かかとあげ
足を肩幅に開き、かかとをゆっくり上げてつま先立ちにして2~3秒キープ。その後かかとをゆっくり戻しましょう。ぐらつく場合は、イスなどを持ちながら行ってもOK。こちらも30回程度行って。
●足湯
大きめの洗面器や足湯用の器に40℃前後のお湯を張り、そこに足をつけます。15~20分程度を目安に行いましょう。疲れがたまったなという時やリラックスしたい時におすすめです。
◆むくみ解消法②食生活編
運動だけでなく、普段の食事にむくみ改善効果が期待できる食材を使うのもおすすめです。どんなものをとるといいのか、見ていきましょう。
●レモンやしょうがをプラスする
代表的なむくみ解消食材は、レモンとしょうがです。レモンにはむくみを解消するヘスペリジンが含まれ、しょうがには血行促進効果のあるジンゲロールが含まれます。
レモンは、魚のマリネに使用したり、スライスしてサラダに入れたりして食べてみて。また、ヘスペリジンは皮に多く含まれるので、皮ごと使うようにしましょう。石原先生は、リンゴ酢にレモンを皮ごと細かく刻んで漬け込み、料理や飲み物に使っているんだそう!
しょうがは普段の料理に取り入れてもいいですが、手軽にとりたいなら粉末状のものを紅茶やコーヒーなどの飲み物に入れるのも手間いらずなので試してみてくださいね。
●炭酸水をとる
炭酸は血管を拡張して血行を促進し、体のめぐりを良くしてくれます。水分をとるときに意識してとるといいですね。さらに、レモンの皮のすりおろしを入れたり、レモン酢やはちみつレモンを加えて飲むとさらに効果が期待できます。
むくみ解消に効果的なレモンや、しょうが、炭酸水。中でも最近注目されている食材の成分が、レモンに含まれる「レモンヘスペリジン」です。サッポロホールディングスでは、日頃、顔のむくみが気になる日本人成人男女88 名を対象に、半数には試験食品を、半数にはプラセボ食品をとってもらう実験を実施。レモン由来酵素処理ヘスペリジン400㎎を含む健康食品を2週間、夕食後にとってもらうことで、朝の顔のむくみと目のまわりのむくみが改善されたのだとか!
日常のすき間時間にできるエクササイズをしながら、レモンを上手に食生活に取り入れて、この夏はむくみ知らずな体をつくっていきましょう!
教えてくれたのは
イシハラクリニック副院長
石原新菜(いしはら・にいな)先生
ヒポクラティック・サナトリウム副施設長。健康ソムリエ理事、ロングライフラボ理事。2006年帝京大学医学部卒業。現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察のほか、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。日本温泉気候物理医学会会員。
◆資料提供/サッポロホールディングス
構成・文/倉澤真由美