【教えてくれた人】
東京医療保健大学大学院医療保健学研究科医療栄養学領域修了。慶應義塾大学SFC研究所 食・フードサイエンス&テクノロジー共同研究機構メンバー。著書は『麻生れいみ式ロカボダイエット』(ワニブックス)、『20kgやせた! 糖質オフ入門 最新版』(宝島社)などすでに28冊に及ぶ。ベストセラーも多数。
忙しい人が痩せない本当の理由TOP10
こんにちは、こんばんは。
朝に夕に、食べ物と健康のことばっかり考えている管理栄養士の麻生れいみです♪
40代、50代の女子は本当に忙しいわよね。皆さん本当によく頑張っていると思います。
子育て真っ最中の人もいるし、職場では働き盛りで頼りにされるし、そのうち親の介護問題まで始まったりして。
さらには更年期に向かっている、もしくはもう更年期に入っているなど、ホルモンの波に翻弄されやすい時期なので、心身の不調を感じる人も多いでしょう。
そんななか「忙しいのに痩せない」「忙しいほど太る気がする」という声が多いの。
でもね、話をよく聞いてみると「あー、それは痩せないわ」と思ってしまうことがいろいろあるんです。
まずは、あるあるな「痩せない理由」をまとめてみましょう。
<忙しい人が痩せない理由>
( )内は、その結果起こること
1:食事の内容に気を配らない(タンパク質不足&糖質過多)
2:早食い、ドカ食い、よく噛まない(血糖値スパイク、消化不良)
3:朝食・昼食を抜きがち(血糖値スパイク、栄養不足、代謝低下、便秘)
4:夕食が寝る前3時間以内(消費エネルギーが少ない、睡眠の質低下)
5:知らず知らず間食をしている(糖質&カロリー過多)
6:睡眠時間が短い(代謝低下、自律神経の乱れ)
7:ストレスが多い(過食、消化吸収低下、自律神経の乱れ)
8:リラックスする時間が少ない(自律神経の乱れ)
9:入浴はシャワーだけのことが多い(代謝低下、自律神経の乱れ)
10:生活のリズムがバラバラ(自律神経の乱れ)
自律神経のバランスがくずれていると、痩せられない
TOP10のうち、前半の1〜5については、これまでにもお話ししたことがけっこう入っているし、ダイエットに関心がある人なら思い当たることばかりでしょう?
問題は後半の5つです。
痩せないというと食生活と運動のことばかりに目がいきがちだけど、そうではないところにたくさん問題があるということです。
6〜10に共通しているのは「自律神経の乱れ」です。
自律神経というのは、そのネーミング通り自律的に働く神経。
自分の意思とは関係なく24時間休むことなく働いて、呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝、排尿・排便など、生命維持に必要な機能を司っているの。
自律神経が全身を最適な状態に保ってくれていると思ってね。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2種類があって、それぞれが正反対の働きをしています。
簡単にいうと…
交感神経は、活動するときや緊張しているときに働く神経。
副交感神経は、休息やリラックスしているときに働く神経。
交感神経は朝起きて、日中に活発に活動していると優位に働き、緊張やストレスを感じたときにも活発化します。
一方、副交感神経のほうは、夕方頃から夜にかけて少しずつ優位になっていき、その結果、夜には自然と眠くなるわけです。
これが自律神経の正常な働き。
体中を司っているので、当然、内臓の動きにも直結しています。
わかりやすいのが腸の活動。
大腸の働きをよくするのは副交感神経で、リラックスモードの副交感神経が優位になると腸のぜん動運動が活発になります。
ストレスがたまっていて交感神経が優位な時間が長かったりすると、腸がうまく動けずに便秘や下痢になっちゃうわけです。
旅行に行くと便秘になってしまうとか、大事な用事のときに限って下痢をするとか、それはまさに交感神経が優位なまま、副交感神経が高まらないからよ。
腸と自律神経の関係だけ見てもそうなのだから、自律神経のバランスが乱れていたら、体中がちゃんと働いてくれない=痩せないことは想像がつくでしょう。
ぐっすり眠るだけで、痩せやすい体になれる!
以前ダイエットのアドバイスをした女子で、いわゆる「何をやっても痩せない」タイプの人がいました。
デザイン関係の人で、締め切り間際は昼夜問わず働いてるの。
徹夜も日常茶飯事。家の仕事もきちんとしているから、寝る時間がなくなっちゃうわけです。
その人は、週末2日間ファスティング指導までしたけど、何回かやっても2日で500gも痩せなかった。
効果が出る人は2kg痩せることもあるんですけどね。
彼女はいつもテキパキ戦闘モードだから、交感神経がずっと優位。
睡眠時間も短いけど、元気なんです。
でも、それでは代謝が悪くなるのは当たり前で、痩せるはずもない。
副交感神経は夜眠っている間に働いて、体を修復して体調を整えてくれる役目。
質のよい睡眠はダイエットに直結するのよ!
忙しい人は睡眠不足に加えて、職場環境や家庭環境、人間関係などがストレスになっていることも多く、余計に交感神経がいつも高まっている。
副交感神経を高めるスイッチがないわけです。
痩せたいなら睡眠を軽視しないこと。
質のよい睡眠をとるには、寝る前に副交感神経のスイッチが入るようにしましょう。
日中に運動すれば、人はだいたい夜には副交感神経が優位になって自然に眠くなるものだけど、忙しい人は無理よね。
それなら、寝る数時間前からリラックスして過ごすのが一番。
運動が大事だからと、寝る前に筋トレなんかしてはダメよ。
気持ちよくリラックスできるストレッチなどがおすすめです。
自律神経はただでさえ年齢とともに衰えていくといわれていて、だからなかなか寝つけない、熟睡できなくなるんです。
前述の彼女、この自律神経とダイエットの関係を理解してからは睡眠にこだわるようになり、睡眠時間を確保することに努めてくれました。
それだけで数カ月後には「太りにくくなった〜」と報告してくれたんです。
生活習慣を変えることは難しいものだけれど、それで自律神経が整い、きちんと眠れるようになれば痩せやすい体に変われる。
それは今後の人生にとってもすごくラッキーなことだと思いませんか。
取材・文・画像作成/蓮見則子 イラスト/カケハタリョウ