いし こんにちは、ぐうたらライターいしまるこです。
記憶力を高めるには脳の海馬にいい刺激を与えることが大切です。
最新脳科学に基づいた海馬トレーニングを根来教授にうかがっていきますよ。
根来 ごきげんいかがですか、根来秀行です。
早速ですが、脳の海馬を鍛える根来式脳トレその1。
「楽しいジェスチャートークでスパインを刺激する!」の巻。
海馬が入ってきた情報を記憶すべきかどうか品定めする際の判定基準は、入力と出力の頻度です。こんなに使う機会があるなら覚えておこうと判断するのです。
いし 情報の出入りを海馬が監督しているんですね。
根来 はい。復習の重要性はよくいわれるところですが、これは繰り返し脳に情報をインプットすることで、シナプスの強度を決めるスパインが大きくなり、神経回路のつながりがよくなっていくのです。
(スパインについては前回の講義をご参照ください。)
いし 情報をインプットする際のコツはあるんですか?
根来 情報を入力する際は、ただ見て覚えるより、声に出して覚えるほうが効果的です。
いろいろな情報が同時に入ると、さらにスパインが刺激されるので、ジェスチャーを加えて人に話をするのがおすすめです。
いし うん確かに、ジェスチャーがあると、会話が脳に入ってきやすい感じがします。
根来 海馬のすぐそばには情動を司る扁桃体があり、感情が動くと、スパインへの刺激を増強し、シナプスの結びつきが強くなります。
ですから、相手におもしろおかしく伝えることを意識すると、トークもはずみ、楽しい気持ちとともに記憶が強化されますよ。
いし 日本人も外国の方たちを見習って、もっとジェスチャーを取り入れたらいいですね。
根来 ちなみに、記憶力を高めるといわれるゲームなどの「脳トレ」は、プラセボ効果の可能性が高いことが指摘されています。
いし えっ、思い込みってこと!?
根来 アメリカのジョージメイソン大学で行われた実験では、あらかじめ「脳トレと認知力強化の研究で脳に効果がある」と伝えられて脳トレゲームに参加したグループと、何も伝えられずに参加したグループでは、伝えられたグループのIQのほうが5〜10も高くなりました。
いし へぇ〜、思い込みってすごいなあ。
根来 脳トレについては効果があるとする専門家もいますが、いずれにせよ、本人の思い込みによっても記憶力が高まることは実証されたわけで、脳にいいと思って意欲的にやりたいことに取り組めば、きっと記憶力向上につながるはずです。
いし やるからには前向きに取り組んだほうがダンゼンお得ですね。
前向きに取り組みたいといえば、細胞呼吸レッスン!
脳細胞を若返らせるテクが満載ですよ〜。
1時限目は細胞呼吸に必要不可欠な酸素の取り入れ方。2時限目は細胞呼吸の入口となる肺呼吸とそれを支える呼吸筋。3時限目は細胞呼吸をコントロールしている自律神経の働き。4時限目は酸素と並び細胞呼吸における重要なファクターである栄養の取り入れ方。5時限目は細胞呼吸に大きな影響を与える睡眠について。
根来教授が最新科学に基づきながら、実生活に活かせるノウハウを伝授します。
根来 健康で病まないためには細胞呼吸をしっかり働かせることです。
それは脳にも全身の細胞にもとても役立ちます。いくつになっても健やかな暮らしを保つために、どうぞお役立てください。
それではみなさん、今日も素敵な1日を!
根来先生の著書「病まないための細胞呼吸レッスン」より、
自律神経のバランスを整え、ストレス耐性を高める「基本の4・4・8呼吸法」という動画がYoutubeにアップされました。ぜひチェックしてみてくださいね!
(次回は「記憶を司る海馬の神経細胞を増やすには?」です。お楽しみに! )
取材・文/石丸久美子 イラスト/浅生ハルミン