あなたの体、くすぶってない?
「慢性炎症」は気づかぬうちに進行します。炎症の火種がないかチェックしてみましょう。該当項目が多いほど炎症レベルが高くなります。
炎症度チェックリスト
若い頃に比べて太った
甘いもの好き。よく間食をする
魚より肉食。ハムやソーセージなどもよく食べる
野菜はあまり食べない。揚げ物大好き
呼吸が浅い。気がつくと口呼吸をしている
便秘、あるいは下痢ぎみ
あまり歩かない。座っている時間が長い
フロスや歯間ブラシは使わない
歯周病や虫歯がある
シミやシワ、肌あれなど皮膚トラブルがある
慢性的に肩こりや腰痛がある
起床時間がバラバラ
眠りが浅い。睡眠時間が短い
すぐイライラして落ち込みやすい
タバコを吸う
慢性炎症を抑える鍵は毛細血管のインフラ整備
炎症レベルを下げる必須条件は、健やかな毛細血管。そのためには、血流をよくすることが第一です。
運動不足の人は、血流を上げる有酸素運動を始めましょう。おすすめはウォーキング前に軽く1〜2分走る「ジョグウォーク」。一日トータル30分ほど行うだけで、毛細血管やミトコンドリアが増え、免疫機能も上がります。
糖質過多の偏った食事は血管の内皮細胞を傷つけます。和定食などバランスのとれた食事に、カラフルな色の抗酸化食材を多種取り入れましょう。脂肪細胞からは炎症性物質が分泌されるので、肥満にならないことも大事。間食は控えて、腹八分を心がけて。
お風呂は手っ取り早く血流をよくしてくれます。ぬるめのお湯にゆったりつかれば、副交感神経が優位になり入眠しやすくなります。ただし、寝る直前の入浴は末梢に血液が流れず深部体温が下がらないため、寝つきが悪くなります。
寝る直前の歯磨きも睡眠ホルモンを減少させるのでNG。入浴と歯磨きはセットにして、寝る1時間前までに終えましょう。フロスなどで歯間ケアも怠らず、歯周病菌による炎症を防ぎましょう。
ストレスが多い人は夜になっても交感神経が下がらず、不眠傾向があります。ベッドに入ってから腹式呼吸やマインドフルネスを5分ほど行うと、煩わしさから解放され、副交感神経が優位な状態になっていきます。それは質の高い深い睡眠をもたらします。深い睡眠は脳の血流や脳脊髄液の流れをよくし、炎症性物質を洗い去ってくれます。また、それは全身の血管の状態を良い方向に改善することにつながることが、最近の僕の研究室の研究で分かりました(A Workcation Improves Cardiac Parasympathetic Function during Sleep to Decrease Arterial Stiffness in Workers
Hideyuki Negoro 『HEALTHCARE』 10(10) 2022年10月)
炎症は誰でも大なり小なりあるものですが、生活の中でできることから改善していけば着実に炎症レベルが下がって、大病になる前に折り返せます。焦らないで、ゆったりと自分の変化を観察してみてください。急がば回れですよ。
毛細血管ケアのバイブル!
『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 毛細血管は増やすが勝ち!』
集英社 1,375円
専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など。『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(ともに集英社)など著書多数
撮影/角守裕二 イラスト/浅生ハルミン 構成・原文/石丸久美子