動いて当たり前…と思いがちだけど、痛くなって初めてその偉大さに気づくのが「ひざ」。40代、50代の4割以上がひざ痛を抱えているそうです。その構造と痛みのメカニズムとは?
お話を伺ったのは…
銅冶英雄さん
Hideo Doya
お茶の水整形外科 機能リハビリテーションクリニック院長。運動療法、オーダーメイド靴、栄養療法を組み合わせた治療が好評
複雑な構造ゆえに
ダメージの原因もさまざま
「私たちが立ったり歩いたりする動きも、ひざが柔軟に動くからこそ。それが可能なのは、ひざ関節がとても複雑な構造をしているからです」(銅冶先生)
ひざ関節は、大きな大腿骨(太ももの骨)と脛骨(けいこつ、すねの骨)、その外側の腓骨(ひこつ)、前面の膝蓋骨(しつがいこつ、お皿と呼ばれる部分)の4つの骨で構成されています。これらが靱帯(じんたい)や腱、筋肉でつながって関節を適切に動かし、軟骨や半月板などが衝撃を吸収する役割を果たします。また、関節を包む関節包の内部には関節液が入っていて、ひざの曲げ伸ばしをするときの潤滑液として働きます。
一方、ひざへの負荷は、立っているだけで体重の約1.1倍、歩行で2.6~2.8倍、走ったり階段を下りるとき、ジャンプでは3.5~5倍かかるといわれています。
「クッションとなる軟骨のすり減りや関節の変形、関節包の炎症、関節に水がたまるといった現象が起きると、ひざに痛みが生じます。その痛みの現れ方は千差万別で、現代医学でも解明できない部分が少なくないのが現状です」
ひざ関節はこんなに複雑!
ひざ関節には、体を支え、同時に衝撃をやわらげるなど柔軟性を保つ仕組みが備わっています。これにより、座る、歩く、走るなどの動きが可能に。
前十字靱帯や大腿四頭筋などの筋肉により脚を適切に動かし、関節包(下図参照)に包まれた関節液が滑らかな動きをサポート
ひざは大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨の4つの骨で構成されています。関節軟骨や半月板などは衝撃を吸収するクッション役に。
次回は、ひざ痛の一般的な治療法についてご紹介します。
撮影/フルフォード海 イラスト/木下綾乃 構成・原文/山村浩子