日本の膝の第一人者である整形外科医・巽一郎先生によると「手術しかないと言われた患者さんでも、体重の減量と歩き方の矯正、大腿四頭筋などの筋トレを3か月行ってもらうと、約半数の人は手術が不要になります」とのこと。今回、大腿四頭筋の筋トレ方法を教えていただきました。
しっかり歩ける脚をつくるために
筋肉を鍛える
●筋肉は自前のコルセット
「体に痛みがあると、動くのがおっくうになり、運動不足になりがちです。しかし、使わない筋肉は衰える一方です。筋肉は骨や軟骨の健康を守ってくれる、いわば自前のコルセット。腰痛や膝痛をサポーターなどに頼るのではなく、将来、寝たきりにならないためにも、40代からしっかり筋肉をつけておくことが大切です」。
ここでは、立ったり、座ったり、歩行時に使う筋肉を中心に鍛える方法を紹介します。
※今回は座ったままで大腿四頭筋が鍛えられる“足指グー体操”を学びます。
大腿四頭筋に効く
足指グー体操
これは座ったままで、太ももの前側にある大腿四頭筋が鍛えられる体操です。
リラックスして椅子に座り、腹筋に力を入れお腹をへこませます。そのまま、片脚を真っすぐ前に上げ、足の指先をピンと上に向けます。
続いて、ジャンケンのグーをするイメージで、指先をすべてギュッと曲げて5秒キープ。脚をゆっくり下ろし、お腹も緩めます。左右の脚を交互に、それぞれ30回ずつ。
朝昼晩の3回行います。太ももの前側とお腹に効いていることを確認しながら行いましょう。
●お腹をへこます
●床と平行になるまで脚を上げる
●足の指をギュッと曲げる
【これでもOK!】脚は上がる範囲で
痛みがあったり、脚が上がらない場合は、できる範囲でOK。同様に指先を上に向けて、足指をギュッと曲げてみましょう
専門は膝。一宮西病院整形外科部長・人工関節センター長。体への負担を最小限にする膝手術で日本屈指の技術を持つ。一方「すぐには切らない」医師として有名で、独自の保存療法(エクササイズなど)を提案し、全国からの患者が絶えない。著書に『100年足腰』(サンマーク出版)など
イラスト/green K 構成・原文/山村浩子