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「ボディマップ体操」でうっかりぶつけにさようなら!

忙しい日々を送る私たちの体には、知らないうちに力が入っています。実はこうした体の緊張がプチ不調の大きな原因の可能性大!そんな現代人が今、すべきこととは?「頑張らない筋トレ『体芯力®』」パーソナルトレーナーの鈴木亮司さんに伺いました。

【教えていただいた方】

鈴木亮司
鈴木亮司さん
パーソナルトレーナー
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「頑張らない筋トレ『体芯力®』」パーソナルトレーナー、日本体芯力協会会長、認知動作型トレーニング指揮者、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会認定トレーナー。高校卒業後、トレーナーの専門学校入学とともに格闘技を始め、総合格闘技やK-1などで活躍。選手引退後の2010年、トレーナー活動に専念。東洋医学や武術を研究し、体育学の権威である東大名誉教授・小林寛道氏による理論の裏付けを得て、独自の「体芯力」を考案。プロのアスリートから90歳以上の高齢者まで数多くのパーソナルトレーナーを務める。著書に『「脱力」はなぜ体にいいのか』(青春出版社)など多数。

 

現代人は知らないうちに体を緊張させている!

 「私たちはストレスを受けると、気づかないうちに体に力が入ります」。そう説明する鈴木亮司さん。

 

「毎日、やらねばならない仕事の山や複雑な人間関係などで、大きなストレスを感じている人も少なくないでしょう。さらにそれだけでなく、光刺激も大きなストレスになっています。現代の生活の中には、自然光以外に部屋の照明やスマホ、パソコン、テレビなど、多くの光刺激があふれています。

 

昔の人の、日の出とともに起きて暗くなると寝るという生活では、自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが自然にとれます。しかし、現代のように夜になっても光を浴びる生活では常に交感神経が優位、つまり心身が緊張した状態が続いています。

 

また、遠くを見る機会が少なく、近くばかりを見ているので、ピント調整をする筋肉である毛様体筋が常に緊張しています。さらに、近くばかりを見ているときは頭の動きも止まり、すると、耳の奥にある平衡感覚を司る三半規管の機能が衰え、体のバランス感覚が狂い、姿勢がくずれ、その結果、筋肉に不自然な力みが生まれます。

 

例えば、証明写真を撮影するとき、真っすぐに座っているつもりなのに、『右肩をもう少し下げてください』などと言われたことはありませんか? これは三半規管のバランス感覚がくずれていることで起こります。

 

そして、体が前に傾いた猫背の状態を長時間続けていると、横隔膜の動きが悪くなり、呼吸が浅く早くなります。これも自律神経を乱す大きな原因です。

 

こうした状態が日常化することで、体の歪みや首・肩のこり、痛み、疲れが取れない、不眠といった不調になっていくのです」

 

[こんな症状は「体の力み」が原因かも!?]

首こり

肩こり

腰痛

膝痛

疲労感

眼精疲労

顎関節症

不眠

うつ症状

 

「そこで私が提案しているのが、『まずは体の力を抜きましょう!』ということなのです」

 

自分の体の地図をしっかり把握しよう

また、よけたつもりでうっかり家具の角などに足をぶつけたことはありませんか? それは自分のボディマップ(身体地図)のあいまいさが原因かもしれません。

 

「心身を効果的に脱力させるためには、このボディマップを正確に描くことが重要です。ボディマップとは、私たちが脳の中に持っている、自分の身体地図のことです」

 

え~? そんなことはわかっているよ、と思いがちですが、その正確性が問題。

 

「例えば、よけたつもりで足の小指を家具にぶつけた場合、自分の小指がどこまであって、それと家具との距離が正確につかめていなかったわけです。私たちの脳は、常にこのボディマップと照らし合わせて、今自分の体はどこにあって、どこをどのように動かすべきかといった感覚や情報を集めて判断しています。

 

ところが、このボディマップは必ずしも正確に描かれているとは限りません。一般的に優秀なアスリートは正確なことが多いのですが、普段あまり体を動かしていない人は不鮮明です。年齢を重ねるとどんどん不鮮明になる傾向です。

 

通常、脳は一瞬後に起こるであろうことを予測して動いています。つまずいたと思ったら、そのままでは倒れるので、瞬時に足を一歩前に出してそれを回避します。

 

常に視野や三半規管の情報、体の感覚などを駆使して、予測を立てて体を動かしています。例えば、目をつぶって歩くとなると、視界情報がなくなるので予測が立たなくなり、体は緊張します。それと同じように、ボディマップに不鮮明なところがあると、予測が立たずに緊張状態が続くことになります。

 

ボディマップを強化することは全身の神経経路を整える効果があります。手足や皮膚の感覚の情報は脳に伝えられ、また手足を動かせという指令は脳から出されます。この神経経路のやりとりを的確にできることが理想です。

 

それにとても有効なのが『ボディマップ体操』です」

 

ボディマップ体操で感覚をよみがえらせる

「基本的に日頃から動かしているところ、使っているところの部位のボディマップは鮮明です。脳は使っていない筋肉や神経はどんどん忘れていくので、その部分のボディマップは希薄になります。

 

ボディマップを強化するには、意識して全身をまんべんなくさすって、その情報を脳にインプットさせます。これがボディマップ体操です」

 

 

ボディマップ体操のやり方

【1】頭や顔をさする

脱力 3回 ボディマップ体操 頭

両手で髪をかき上げるように、頭全体を数回さすります。続いて、両手で顔を洗うように顔全体を数回こすり、歯をカチカチさせながら顔の輪郭を数回さすります。

 

 

【2】肩と腕・手をさする

脱力 3回 ボディマップ体操 肩ー腕

右手で左側の首から肩まで、続いて肩から手首までを数回さすります。左手で右側にも同様に。右手で左手のひらや指先、手の甲を数回さすります。左手で右手にも同様に。

 

 

【3】胴体をさする

両手で肋骨まわりを数回さすります。両手で腹部を数回さすります。続いて両手の甲で背中から腰にかけて数回さすります。

 

 

【4 】脚・足をさする

脱力 3回 ボディマップ体操 脚前側

両手で右脚の付け根から膝まで→膝から足首までを数回さすります。続いて、両手で右脚の裏側を付け根から膝裏まで→膝裏から足首までを数回さすります。左脚にも同様に。

床や椅子に座って、両手で右足の甲や裏も数回さすります。左足にも同様に行います。

 

「こうしてさすった部分を脳にインプットしていきます。定期的にスポーツをしているという人も、実は決まった部位しか動かしていないことがあります。このボディマップ体操で、特に普段あまり動かしていないところ、動かしにくいところを意識して長めにさするといいでしょう。

 

ボディマップ体操を繰り返し行うことで、脳や神経が活性化して、体の地図が鮮明になり、結果的に体の余計な緊張が取れて、体の動きも軽快になっていきます」

 

 

撮影/フルフォード海 取材・文/山村浩子

 

 

 

★鈴木さんのメソッドをもっと詳しく知りたい人は・・

『「脱力」はなぜ体にいいのか』

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鈴木亮司 著/青春出版社 1,254円

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