まずは「朝タンパク質」という、ゆるゆるミッションがスタート!
固太りと思われる小川さんは、それを気にしつつも、ここ何年も体重を測る習慣がなかった人。今回まず最初にしたことは、体組成計をゲットすることでした。
体組成計 インナースキャンデュアル RD-930L(ホワイト)¥41,800(編集部調べ)/タニタ
体重も筋肉量も50g単位で測れ、体脂肪率も0.1%単位で出る体組成計。Bluetoothでスマートフォンアプリ「ヘルスプラネット」にデータを3カ月蓄積していきます。
小川正美さん(1972年生まれ・弁護士)
身長159cmの小川さんの体重は、自己申告では60kgくらいとのことでしたが、はたして実際の数値は…
■体重:61.25kg
■筋肉量:37.65kg
■脂肪量:21.30kg(体脂肪率:34.7%)
■内臓脂肪レベル:7.0
管理栄養士の麻生れいみさんの数値分析と改善方法は?
この数字について、管理栄養士の麻生れいみさんから分析が。
「小川さんは、数値的にはそれほど肥満ではないんです。決して筋肉量が少なくはないのに、明らかに体脂肪が多すぎ。脂肪だけを減らして筋肉量をキープすることで理想的な体組成に近づいていくタイプですね。
ダイエットをすると、往々にして脂肪とともに筋肉も減っていってしまいます。『体重を減らしたいわけではない! 減らしたいのは脂肪』と肝に銘じて。運動と食事で、筋肉量はなんとしても死守しましょう」
そして、小川さんに最初に課されたのは、何はなくても「タンパク質強化」。
1日のタンパク質摂取量を合計60g にすることです。本来は筋肉増量のためには体重1kgにつき1.5g、つまり90g 欲しいところですが、当面は60gでOKとのこと。
1日にタンパク質60gをとるということは、肉や魚に換算すると約300gです。これはなかなかハードルが高そうですが、実は朝食を食べることができれば、1日3回に分けてとればよいので無理がない量。
朝食を食べる習慣がない小川さんは、何はともあれ「朝にタンパク質」からスタートしました。
いきなりきちんとした朝食を食べることは難しい、と考えた麻生さん。豆乳・牛乳・高タンパクヨーグルト・ヨーグルトドリンクなど、手軽にとれるものならなんでもいいというやさしいミッション!
最初は、高タンパクヨーグルトと豆乳くらいが精いっぱい!
高タンパクヨーグルトに、牛乳、お豆腐まで食べられたら合格!
こんなふうにして、タンパク質増し増し生活が始まりました。
1カ月目は、ほとんど筋肉リリース+寝たままエクササイズ
さて。運動担当はパーソナルトレーナーで、姿勢アナリストのKAORUさんです。小川さんが最初に取り組んだのは、KAORUさんの指導による筋肉リリース(筋肉ほぐし)。
心強かったのは、オンラインのレッスンクラスに参加できたこと。KAORUさんのスタジオでは、毎朝晩30分間、トレーナーがライブ配信しています。その内容は筋肉リリース・ヨガ・ピラティス・ストレングス・ズンバ・筋トレ・ボイストレーニングとバラエティー豊か。
PCでのオンラインレッスンの様子。ほぼ毎朝、ライブ動画を見ながらやりました。
もともと小川さんは仕事柄、運動などができるのは朝の時間帯だったため、毎朝8:00からのレッスンに参加できてとてもラッキー。
「レッスンは朝なのでもちろん寝起きのまま、時にはパジャマで。自分のカメラはオフでもOKだから、3カ月間ほとんど毎日継続できました。これはかなりモチベーションアップにつながりましたね。一人で黙々と宿題をやるスタイルなら、まったく続かなかったと思います」(小川さん)
それに加えて、2週間に1回はパーソナルトレーニングで正しく体を使えているかのチェックや、足りていないトレーニング指導をしてもらいます。
KAORUさんから出された毎日の宿題は、ほぼ筋膜・筋肉をほぐすことだけ。1週間は悲鳴を上げるほど痛く、悶絶するばかりで慣れることさえできません。結局、最初の1カ月はリリースに終始することに。
途中、寝たままでできるエクササイズが加わりました。
KAORUさんの配慮で、運動に慣れていない人でもできそうな、クッションを使って全身を動かせるメニューです。
【小川さんの宿題】
1カ月目
*テニスボールでリリース:足裏・ふくらはぎ・すね
*フォームローラーでリリース:内もも
2カ月目
リリースは同じメニュー
*エクササイズ:ちょこっと背筋
*エクササイズ:美尻エクステンション
パーソナルトレーナーKAORUさんのお手本をチェック!
この宿題を、KAORUさんのお手本動画で見てみましょう。
このテニスボールやフォームローラーのリリースが痛いという人は(やったことがない人は誰でもかなり痛いはず!)、それがまさに「やるべき」証拠です。
【1】テニスボールで足裏コロコロ。ボールを足裏で踏み、指をグーパー×4回。次に、体重をかけたまま、かかとからつま先へ転がす×4回。最後にかかとで乗り、乗った脚に体重をかける×4回。これを連続して行います。
【2】テニスボールでふくらはぎリリース。骨盤を立て、よい姿勢で正座したら、一度膝立ちして膝裏にボールを挟み、そのまま正座に戻って10秒キープ。挟む位置を足首側にずらしながら3〜4カ所行います。アキレス腱は避けましょう。
【3】テニスボールで、すねリリース。両手を床につき、膝下のすねにボールを当てて10秒キープ。そのままゆっくりボールを転がすように体を動かし、前に進みます。転がすのが難しい場合は1カ所にボールを当てたまま、少しずつずらして。
【4】フォームローラーで内ももリリース。両足を腰幅よりも狭めにして立ち、フォームローラーを内ももでキュッと挟みます。そのまま左右交互に膝を曲げ、内ももを刺激します。膝上、その上、太ももの付け根に近い場所、と3カ所を目安に。
【5】首や胸元すっきりエクササイズ。クッションを下腹部に当ててうつ伏せに。足は腰幅、ひじを直角に曲げて耳の横あたりに手を置きます。息を吐きながら、ゆっくり背骨をひとつひとつ伸ばす意識で上体を30度くらいまで起こしていきます。このとき、あごを上げたり、肋骨を開かないように注意して。
【6】お尻のたるみ改善エクササイズ。クッションをふたつに折り(または2枚重ね)、下腹部に当ててうつ伏せに。両手を肩幅に開いて伸ばします。床に指を立てて息を吐きながら、片足をできるだけ遠くに伸ばして1秒で持ち上げ、1秒で下ろします。左右15回ずつ行います。膝を曲げず、太ももに力を入れるとよりGOOD。
こんなふうにして、小川さんのミッションはゆるゆると進んでいきました。
でも、1カ月で変化が表れてきました。
その報告と、次なるミッションは、7月31日の報告に続きます!
【教えていただいた方】
1962年生まれ。アプロ主宰。指導歴40年。 “姿勢で人生を変える”をテーマに指導を行う。姿勢に関する分析をホリスティックに行う独自のメソッドは、多くのファッション誌・フィットネス情報誌で紹介されている。自分の姿勢の現在の状態を把握し、ウェルネスコンサルティングが受けられる「姿勢分析」メニューが人気。自身、還暦とは思えないウェルネスな姿勢美は、まさに日々のエクササイズの賜物。近年、スタジオワークのかたわら、後進の指導や著作活動、オンライングループレッスンやイベントを通して、多くの人たちにそのメソッドを発信中。著書に『テニスボールダイエット』(幻冬舎)、『自分で整体ストラップ』(講談社)、『テニスボールでほぐす!のばす!やせる!』(扶桑社)、『クッションピラティス 内ももを締めれば勝手にやせる!』(幻冬舎)など。
東京医療保健大学大学院医療保健学研究科医療栄養学領域修了。慶應義塾大学SFC研究所 食・フードサイエンス&テクノロジー共同研究機構メンバー。著書は『麻生れいみ式ロカボダイエット』(ワニブックス)、『20kgやせた! 糖質オフ入門 最新版』(宝島社)などすでに28冊に及ぶ。ベストセラーも多数。
人物撮影/藤澤由加 取材・文/蓮見則子