立ち上がる動きがキツい人は、膝に手を当てて行えばOK!
前回、椅子の背につかまった状態、あるいは椅子の支えなしで、しゃがんで立つ動きを繰り返す「ドクターズスクワット」をご紹介しました。でも、動きがキツくてできない場合は、どうすればよいでしょうか?
「筋力がない人は、しゃがんで立ち上がるのがキツいと思いますが、その場合は、手を膝に当てて立ち上がればOKです。これなら楽にできると思います」(吉原潔先生)
しゃがんだときに左右の手を膝に当てます。立ち上がるときに手のひらは自然と膝から離れるので、そのまま立ち上がって、しゃがむとき再び膝に当てましょう。この方法なら楽にできるはず。
体が後ろに倒れそうになる人は、「椅子スクワット」から始めてみて
次に、「ドクターズスクワット」をやったときに、足首が硬いなどで、体が後ろに倒れそうになるという人向けに吉原先生がすすめてくれたのが、椅子に座って立つを繰り返す、椅子スクワット。
「椅子スクワットなら、倒れる心配なくできます。椅子の上に画びょうが置いてあるようなイメージで、ゆっくりと椅子に座るとより筋力がアップし、効果的です。まずはこの方法から始めてみて、楽にできるようになったら、椅子なしで行うドクターズスクワットにトライしてみてください」
具体的なやり方は、以下をチェック!
後ろに倒れそうになる人におすすめ
<椅子スクワット>
①両腕を真っすぐ前に伸ばし、左右の手のひらを重ねて下に向け、椅子に座った状態から始めます。足は肩幅程度に開いて、つま先をやや外側に向けましょう。
②次に、息を吐きながら椅子から立ち上がります。このとき、胸を前に突き出し、目線は真っすぐ前に向けましょう。次に、息を吸いながら、ゆっくりと椅子に座ります。
この①②の動きを30秒繰り返しましょう。1日に何セット行ってもOK。
高血圧、膝痛、腰痛の人でも無理なくできる「テーブルスクワット」
また、高血圧の人や、膝痛、腰痛がある人におすすめの方法として、吉原先生が教えてくれたのが「テーブルスクワット」。
「スクワットのように、いきんで筋肉に力を入れる動作や運動は、一時的に血圧を上昇させます。ですから、最高血圧が140㎜Hg、最低血圧が90㎜Hg以上の高血圧の人は、できるだけいきまずに運動をすることが大切。
基本のドクターズスクワットもいきまずに行えますが、腕を机にのせた状態で行うテーブルスクワットなら、よりいきまずにできるのでおすすめです。
ただし、健康診断で高血圧と診断されている人や、降圧剤を飲んでいる人は、事前に血圧を測って、最高血圧が160㎜Hg以上あったら、まずは医師に相談してください。
また、膝が痛くてしゃがめない人にもテーブルスクワットはおすすめです。太もも前側の大腿四頭筋が鍛えられるので、痛みが緩和しやすくなります。変形性膝関節症の既往歴があっても、テーブルスクワットなら問題なく行えます。
また、テーブルスクワットは、立ち上がるときに上半身の体重を腕で支えるため、腰から上の部分への負担が軽いので、腰痛がある人でも楽にできます。ヘルニアなどの既往歴があっても、強い痛みがある急性期でなければ行ってOK。
痛みがあるときは運動をしてはいけないと思いがちですが、それは間違い。運動をしないほうが筋肉がどんどん落ちてしまい、症状が悪化して慢性化してしまいます。ですから、適度な運動は取り入れたほうがいいのです。ただ、通院中の方は、まずは医師に相談してから行いましょう。また、やってみて痛みがひどくなるようなら中止してください」
高血圧、膝痛、腰痛の人に
<テーブルスクワット>
①椅子に座り、足は肩幅程度に開いて、つま先をやや外側に向けます。手のひらを下にして、腕をテーブルに置き、両ひじをテーブルにつけます。
②次に、息を吐きながら、手のひらからひじをテーブルにつけた状態で上半身の重みを支えながら、腰を上げます。背すじは真っすぐにし、膝をしっかり伸ばします。そのとき、背中が地面と平行になるイメージです。次に、息を吸いながら手のひらからひじで上半身を支えたまま、椅子に座ります。ドスンと座らず、なるべくゆっくり座りましょう。お尻を上下することを意識して。この①②の動きを30秒繰り返しましょう。1日に何セット行ってもOKです。
自分に合った方法で、ドクターズスクワット、ぜひ続けてみて。
必ず成果が出てくるはず!
【教えていただいた方】
医学博士。アレックス脊椎クリニック名誉院長。日本医科大学卒業後、同大学整形外科入局。帝京大学医学部附属溝口病院整形外科講師、三軒茶屋第一病院整形外科部長を経て、2017年よりアレックス脊椎クリニック院長。日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。トレーナーとしての信条は「ケガをしないトレーニング方法を指導すること」。50歳を過ぎてから筋トレでメタボ体型を脱し、ベストボディコンテストに出場、受賞歴多数。著書に『ドクターズスクワット』(アスコム)など。
イラスト/二階堂ちはる 取材・文/和田美穂