腰痛のタイプによって効果的な体幹トレーニングが異なるので要注意
腰痛といっても、大きく分けてタイプが2種類あり、タイプによっておすすめの体幹トレーニングも違ってくるそう。澤木さんに詳しいお話を伺いました。
「腰痛には、大きく分けると、腰を丸めたときに痛むタイプと、腰を反らせたときに痛むタイプの2種類があります。
背骨は本来は、自然なS字のカーブを描いているのが正しい状態です。でも、普段、腰を丸めた姿勢や、反った姿勢が続くと、このS字カーブが崩れてしまい、腰の同じ場所に常に負担がかかるようになります。こうして腰痛が起きるのです。
反り腰の人は、若いうちは腰椎分離症や、腰痛すべり症、高齢になると脊柱管狭窄症などの病気になりやすくなります。
また、腰が丸まっている人は、若いうちは腰椎椎間板ヘルニアになりやすく、高齢になると腰椎の圧迫骨折を起こしやすくなります。
そこで、これを防ぐためにおすすめなのが、体幹トレーニングです。体幹の筋肉を鍛えることで姿勢が安定し、腰痛の予防・改善になります。腰痛のタイプ別に効果的なトレーニングは違っていて、腰を丸めたときに痛い人は腰を反るトレーニングを、腰を反らすと痛い人は腰を丸めるトレーニングをすると改善しやすくなります。自分の腰痛のタイプに合わないトレーニングをすると、逆に症状を悪化させることがあるので注意しましょう」
以下が、澤木さんがすすめてくれた腰痛タイプ別の体幹トレーニング。
「それぞれの腰痛タイプに合う体幹トレーニングのほかに、どちらのタイプの腰痛にも効果的な体幹トレーニングもあるので、組み合わせて行うのがおすすめです」
腰を丸めると痛む人向けの体幹トレーニング
<バックエクステンション>
背筋を鍛えることで、腰を丸めたときに痛むタイプの腰痛を改善。腰を反らせたときに痛む人はやらないようにしましょう。

① うつ伏せになった体勢で、両腕を斜め下に向けて手のひらを床につけます。頭は床から少し浮かせます。

② 息を吸いながら胸を張り、上体を反らせていきます。このとき、首ではなく、腰と背中を反らすことを意識。次に、息を吐きながらゆっくりと元の体勢に戻ります。この動きを10回。
腰を反らすと痛む人向けの体幹トレーニング
<チェアクランチ>
お腹を縦に走る腹直筋を鍛えて体幹を安定させ、腰を反らせたときに痛む腰痛を予防・改善します。首ではなく、背中から腰をしっかり丸めるのがポイントです。

① 椅子に浅く座ったら、背もたれに寄りかかります。両手を胸の前でクロスさせ、息を吸いながら上半身を真っすぐにします。

② 息を吐きながら背中を丸めて、お尻の穴をキュッと締めます。首ではなく、背中から腰までをしっかりと丸めましょう。このとき、骨盤が後傾してお腹の上部が硬くなるのを意識。1、2を10回繰り返します。
腰を丸めると痛むタイプ、腰を反ると痛むタイプ、どちらの改善にも効果的な体幹トレーニング
<よつばいバランス>
よつばいになって、片腕と片脚を浮かせてバランスをとることで体幹全体の筋肉を強化。体幹が安定することで、腰の1カ所にかかる負担を減らし、腰痛を予防・改善します。

① よつばいになり、手のひらは肩の下に、膝は股関節の下につきます。

② 左腕を真っすぐ前に、右脚を真っすぐ後ろに伸ばします。このとき、手は前から引っ張られるイメージ、かかとは後ろの壁を押すイメージで伸ばしましょう。そのまま10秒キープ。自然な呼吸をしながら行いましょう。次に、左右の腕と脚を入れ替えて同様に。
自分の腰痛タイプに合った体幹トレーニングと、どちらのタイプにもよいトレーニングを組み合わせて続けることで腰痛が緩和しやすくなっていきます。コツコツ継続して慢性化を防いで。
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【教えていただいた方】

SAWAKI GYM代表取締役。1991年よりトレーナー活動をスタート。静岡県の整形外科病院で、リハビリ後の患者からトップアスリートまで医学的根拠に基づき指導。その後、専門学校講師を12年、トレーナー団体理事を14年務め、のべ1万人以上を指導。現在はトレーナー活動のほか、講演会やメディアで健康情報を発信。著書は『4週間で姿勢がよくなる! スタスタ歩ける!長寿の体幹トレーニング』(大和書房)など多数。
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/藤本 希 モデル/山下三輝(SAWAKI GYM) 取材・文/和田美穂


