股関節や足首の動きが悪くなると、膝に負担がかかって膝痛が起きやすくなる
加齢に伴って、痛みが出やすくなるのが膝。膝が痛むと、歩くのもつらくなって困るものです。そんな膝の痛みが起こる原因を、澤木さんに伺いました。
「膝関節は、股関節と足首(足関節)というふたつの関節の間にあります。本来、股関節も足首も、前後に動かしたり、内・外に回すことができたりと、よく動く関節です。これに対して膝関節は前後にしか動かせません。ところが、股関節と足首のどちらかが硬くなり動きが悪くなっていると、その代わりに膝が本来の可動域以上に動くことになります。これによって膝に負担がかかり、痛みが出るのです」(澤木一貴さん)
では、改善するためには?
「まずは、背中からお尻、もも裏、ふくらはぎまでを伸ばすストレッチ“ダウンドッグ”をしましょう。もも裏の筋肉(ハムストリングス)が硬くなっていると、股関節の動きが妨げられて硬くなってしまい、その結果、膝に負担がかかることに。“ダウンドッグ”でハムストリングスを中心に背面の筋肉を伸ばすことで、股関節が動かしやすくなり、膝の痛みが改善しやすくなります。
そして次に行いたいのが、前ももの大腿四頭筋を鍛えるトレーニング“ストレートレッグレイズ”。大腿四頭筋は、体重を支える筋肉で、この筋肉を鍛えると膝のお皿にかかる負担を減らすことができます。
これらができるようになったら、“コマネチスクワット”を行いましょう。スクワットは膝によくないイメージがあるかもしれませんが、正しい股関節の使い方を体に覚えさせることができ、膝痛の改善につながります。膝の痛みがある人は、膝から動くことが多く、スクワットをするときも膝から曲げてしまいがち。これだと膝に負担がかかるので、膝を曲げるのではなく、お尻を引くことを意識して腰を落としましょう。こうすると膝に負担をかけずに、股関節の動きをよくすることができます。できるものからひとつずつでよいので、取り入れてみてください」
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膝の痛みを改善する体幹トレーニング
<ダウンドッグ>
背中や、お尻、もも裏、ふくらはぎなど体の背面を伸ばすストレッチ。股関節の硬さが改善することで、膝の痛みの予防に。

① よつばいになって、両手のひらは肩の下に置きます。両足を肩幅程度に開いて両膝を床から浮かし、足はつま先だけをつけます。

② 両膝の裏を伸ばして、お尻を上に突き上げ、肩は沈めた状態で10秒キープ。次に、①の姿勢に戻って10秒キープ。これを2セット。
<ストレートレッグレイズ>
椅子に座って膝を伸ばして、脚を上下に動かすことで、前ももの大腿四頭筋を強化。膝のお皿にかかる負担を減らすことで膝痛を防ぎます。

① 椅子に浅く座って、椅子の背に寄りかかります。左脚を真っすぐに伸ばして床から浮かせます。足首は90度に曲げます。

② 左脚を高く引き上げて、次に下ろします。これを10回。次に右脚も同様に。
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<コマネチスクワット>
お尻を後ろに引くことを意識してスクワットをすることで、膝に負担をかけずに股関節の動きをよくすることができ、膝痛を予防します。

① 足を肩幅に開いて立ちます。このとき、つま先は少し(30度程度)外に向けておきます。 両手を足の付け根に当てます。

②息を吐きながら、お腹と太ももで手を挟むようにして、お尻を引きながら腰を落とします。このとき、背中が丸まらないように、頭からお尻までを一直線にしましょう。次に、立ちながら息を吸います。これを10回。
これらの体幹トレーニングを習慣にすることで、膝の痛みが緩和されてきます。コツコツと続けてみて。
【教えていただいた方】

SAWAKI GYM代表取締役。1991年よりトレーナー活動をスタート。静岡県の整形外科病院で、リハビリ後の患者からトップアスリートまで医学的根拠に基づき指導。その後、専門学校講師を12年、トレーナー団体理事を14年務め、のべ1万人以上を指導。現在はトレーナー活動のほか、講演会やメディアで健康情報を発信。著書は『4週間で姿勢がよくなる! スタスタ歩ける!長寿の体幹トレーニング』(大和書房)など多数。
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/藤本 希 モデル/山下三輝(SAWAKI GYM) 取材・文/和田美穂


