医療ジャーナリスト 増田美加さんの 更年期女性の医療知識 アップデート講座
「女性のがん検診」
あなたの知らない真実
更年期は、がんリスクに備えたい世代です。でも、がん検診は受ければいいってものではないことを知っていますか? 正しい検診を選んで受けないと不利益につながることも。がん検診の「真実」を、医療ジャーナリスト増田美加さんがわかりやすくお伝えします。
子宮がん検診では 頸(けい)がんと体がんを両方調べる
× 子宮がん検診=子宮頸がん検診。子宮体がんには検診はありません。
現在、子宮がん検診といわれているものは、すべて“子宮頸がん”の検診です。子宮体がんには、今、指針として定められている検診はないのです。一部の自治体では、子宮体部の細胞診による検診を行なっているところもあります。しかし、子宮体部の細胞診は痛みも伴うことから、自覚症状のある人に行うことが指針となっています。子宮体がんは、早期に不正出血が自覚症状として現れます。気になる症状がある場合は、婦人科を受診しましょう。もし人間ドックなどで体がん検診を受けるときは、検診のメリットとデメリットを理解し、納得したうえで。子宮頸がん検診として推奨されているのは、20歳から2年に1回の子宮頸部「細胞診」だけ。小さな専用ブラシで子宮頸部をこすって細胞を採り、異常な細胞の有無を顕微鏡で調べる検査です。
マンモでは、がんが見つかりにくい乳房の人がいる
〇 日本女性に多い「高濃度乳房」はマンモでがんの有無が見えなくても「異常なし」と結果が出ます。
乳がん検診で論議を巻き起こしている問題が「高濃度乳房(デンスブレスト)」。乳腺濃度が高く、マンモでしこりが見えにくい乳房を指します。乳腺濃度とは乳腺が乳房内にどれだけ存在するかの割合です。この高濃度乳房は日本人を含むアジア人に多いタイプの乳房です。高濃度乳房の問題点は大きくふたつ。ひとつは、マンモでは乳腺もがんも“白く”写るため、乳がんが見つけにくいこと。もうひとつは、脂肪性の乳房に比べ、乳がんの発症リスクがやや高いことです。にもかかわらず現状では、高濃度乳房でがんの有無が見えなくても「異常なし」という結果になってしまいます。高濃度乳房かどうかを知るには、マンモ検診後、「私は高濃度乳房ですか?」と聞いてください。もし高濃度乳房なら自己負担で超音波を加える選択肢もあります。
乳がん検診で医師は、マンモの画像を4分類に分けて判定。日本女性の4~7割が高濃度といわれています。高濃度乳房(右のふたつの画像)は乳腺濃度が高いため、乳がんがあっても見えにくい。一方、欧米人に多い脂肪性乳房は、乳腺が少なくがんが見つけやすい。
写真提供/NPO法人乳がん画像診断ネットワーク
イラスト/堀川理万子