「水をたくさん飲むと健康にいい」という話をよく聞きますが、普段から意識して水を飲むようしている方も多いのではないでしょうか。実はこの「水を飲む」ことは、なんとなく感じている以上の健康維持・増進効果があるのだそう!
サントリーグローバルイノベーションセンターは、アジアで初めて、「習慣的に水を飲むことによる健康増進効果」についての研究を実施。
この研究は、2020年4月に、栄養学の分野で国際的に権威のある雑誌「Nutrients」に採択されています。
健康な50歳以上75歳未満の日本人男女60名をランダムに2グループ分け、1グループは介入群として、起床2時間以内と就寝2時間以内に550ml入りのペットボトルの水を各1本摂る生活を12週間送りました。もう1グループは対照群として普段通りの生活を12週間送っています。
その結果、起床後&寝る前2時間以内に水を飲むことで4つの健康増進結果が明らかに!
【1】血圧低下効果
高血圧は、心疾患や脳疾患などさまざまな不調を起こす要因となる可能性がある怖いもの。
特に“上の血圧”と言われる収縮期血圧が高いと不安になりますが、朝晩水を摂ることで、収縮期血圧が時間とともに低下しました(図a)。一方、“下の血圧”と言われる拡張期血圧は変化はありませんでした(図b)。
健康診断などで高血圧が気になっている人は、運動や食事に気を配るだけでなく、水を摂ることも意識するとよさそうですね。
【2】体温上昇もしくは低下抑制効果
「冷えは万病のもと」と言われるように、体温が低下すると健康にも影響します。
この研究は9月から12月に北海道で実施し、月ごとの平均気温が18.9℃から-1.0℃と変化。気温が下がると体温にも影響が出がちで、普段通りの生活の対照群は1週目から8週目にかけて0.2℃体温が低下しました。一方、習慣的に水を飲んだ介入群は、外の寒さにも関わらず、体温が0.08℃上昇!
一般的に脱水が進むことで体温調節がうまくいかなくなると考えられていますが、習慣的に水を摂ることで体内水分状態がよくなり、体温調整機能の低下が改善されたと考えられます。
体温を維持したり上昇させたりすることで、代謝促進や免疫機能向上も期待できるので、ダイエット中の人やコロナ禍の今の状況では見逃せない効果ですね!
【3】腎機能低下抑制効果
腎機能は冬になるにつれて低下すると言われているそう。この研究は冬に行われましたが、水を習慣的に飲む介入群は、血液中の老廃物の指標の一つである「尿素窒素(BUN)」の数値が低下(図a)。また、老廃物を尿として排泄するための腎臓の能力を示す「eGFR」が低下していませんでした(図b)。
このことから、習慣的に水を飲むことで、季節的に腎機能が低下するのを抑制していると考えられます。
冬は寒くてつい水を飲まなくなりがちなので、意識して水分を摂るようにしたいですね。
【4】血中老廃物の希釈効果
【3】にあったように、習慣的に水を飲むことで腎機能の低下を防ぐことで血液中の老廃物を効率よく尿として排出できます。デトックス効果が期待でき、むくみなども改善できそう。
また、腎機能は年齢とともにその機能が低下すると言われていますが、若いうちから習慣的に水分を摂っていくことで、加齢による腎機能低下を抑制する効果も期待できるかもしれないとか。いつまでも元気でいるためにも、水を飲むことは欠かせないようです。
習慣的に水分を摂ることで、こんなにいろいろな健康効果があるんですね。お気に入りのグラスで水を飲むようにしたり、マイボトルを目につくところに置いておく、など工夫をして水を飲む習慣をつけていきましょう!
◆資料提供/サントリー
構成・文/倉澤真由美