窓を開けると涼やかな風が吹き、秋らしい日が増えてきました。これから冬に向かって、窓を閉め切る日がだんだんと多くなりますね。
しかし、窓を開けることによって心地よい風を室内に取り込むことができるだけでなく、新型コロナ感染予防のため「換気」についての意識がいっそう高まり、その重要性が再認識されています。
そこで、「空気のプロ」ダイキン広報の重政さんに、換気の重要性と上手な換気方法を教わりました。
重政周之さん
ダイキン工業株式会社
コーポレートコミュニケーション室 広報グループ
なぜ「換気」が必要?
窓を閉め切った部屋は、ハウスダストやホルムアルデヒド、二酸化炭素、花粉など、目に見えない汚染物質が溜まってしまいがち。
汚染物質をそのままにしておけば、集中力の低下や、シックハウス症候群、花粉症などの原因に。
「室内の汚染物質を薄めたり、また、屋外に出したりするために、換気が重要です」。
気密性が高い現代の住まいでは、いっそう注意が必要ですね。
また、エアコンを使用しているときは窓を閉め切る時間が長くなりますが、「まだほとんどのエアコンには換気機能が備わっていないため、窓開け換気を行いましょう」。
空気の通り道をつくって効果的に換気を
部屋によって窓のある場所の条件はさまざま。
「空気の通り道を作るようにして、窓やドアを開けて換気をします。その際、ドアと、その対角線上の窓を開けると効果的です」。
しかし、ドアのすぐ近くにしか窓がない、開放できる場所が1箇所しかないなどといった場合は、ただ窓を開けただけでは空気がなかなか入れ替わりません。そんなときは、レンジフードや扇風機などを活用するのがポイント!
<重政さんおすすめの換気方法>
・リビングダイニング/窓やドアを開けたうえで、キッチンのレンジフード(換気扇)を使うと、排気量が大きくなり効果アップ!
・個室/窓とドアを開け、〈窓に向けて〉扇風機やサーキュレーターを置き、空気を屋外に流すようにすると効果アップ!
換気中のエアコンはオン?オフ?
「換気のタイミングは、エアコンの使用・不使用に関わらず、1時間に5〜10分が目安です。1時間に10分を一回よりも、5分を2回にするなど、回数を増やすと効果が高まります。できるだけエアコンから離れた窓を開けて、定期的に窓開け換気をしましょう。エアコン使用中の換気は〈エアコンをつけっぱなしに行う〉のが鉄則。スイッチを入れたときにエアコンの消費電力が大きくなるため、そのほうが経済的です」。
<暑い日>
・部屋にこもった暑い空気を外に出してからスイッチオン
・暑い空気でエアコンにも体にも負荷をかけないように、換気時の設定温度はやや低めに
<寒い日>
・エアコンで部屋を温めてから窓開け換気を(標準時の目安より短めのサイクル=1時間に5分弱を2回)
→冷えた壁、床、天井を暖めておくことで、換気をしても温度が下がりにくい!
室温と外気の温度差が激しい冬場は、窓開け換気を行うことで、結露を抑制する効果もあります。
さらに、春だけでなく秋も花粉症に悩んでいるかたも多いですが、「換気後は花粉が溜まりやすい窓際付近をこまめに掃除を。床に溜まった花粉が、換気によって舞うのを抑えることができます」。
24時間換気システムを有効活用
「2003年7月以降に建てられた建物には、24時間換気システム・換気口の設置が義務づけられています。自宅やオフィスなどにある場合は、ぜひ活用を。必要最低限の空気の入れ替えは、これだけでもOKですが、案外、寒い・暑いという理由で換気口を閉じていたり、音が気になるからと換気システムをオフにしていることがあるかもしれません。常時、換気システムをオンにしたうえで、さらに〈窓開け〉による換気も行うとさらに効果的です」。
コロナ禍であっても、そうでなくても、健やかに生活するために換気が大切。
外でのマスク着用と同様に、長く過ごす室内の空気の入れ替えも意識的に行っていきたいですね。
資料提供/ダイキン工業
構成・文/椎名智美