「オーガニック野菜」と聞くと、なんとなく体によさそうだな、というイメージがありますよね。実は、イメージだけでなく、オーガニック野菜に含まれているある成分が、健康に欠かせない働きをするのだそう。
◆健康に欠かせない注目成分「サルベストロール」とは?
群馬県の農場で小松菜の有機栽培を行うプレマ・オーガニック・ファーム代表の飯野晃子さんは、英国を中心に研究が進んでいる植物性栄養素「サルベストロール」に注目しています。
植物はカビに攻撃されると抗菌作用のある成分を生成し、カビから身を守ります。この抗菌成分こそがサルベストロールです。
植物の身を守るサルベストロールは、人間の体内の入った時には画期的な働きをします。
人間の細胞は損傷を負うと、特殊な酵素(CYP1B1・シップワンビーワン)が出現します。人間の体の中に入ったサルベストロールは、このCYP1B1酵素によって活性化され、損傷した細胞を体内から排出するために働くのだとか!すると、細胞が構成している組織を良い状態にキープし、健康維持が期待できます。
ちなみに、健康な細胞にはCYP1B1酵素は存在しないので、影響はありません。
◆普段食べる野菜・果物を選ぶときの注目ポイント
体にいい影響をもたらしてくれるサルベストロール。できるだけたくさん含まれている野菜や果物を選ぶなら、下記の3点に注目して選ぶことが大切です。
【1】オーガニック野菜・果物を選ぶ
農薬や抗菌剤などで作物を守ると、植物は抗菌成分を作る必要がなくなるのでサルベストロールの生産量は大幅に減少してしまうそう。そのため、野菜からサルベストロールを摂取するには、オーガニックのものを選ぶのがポイントです。
【2】斑点のある野菜や果物に注目する
本来サルベストロールは、ほんとんどすべての野菜・果物に含まれるもの。サルベストロールが豊富な野菜や果物の一部には、黒い斑点となって現れることがあります。一見傷んでいるように見えて避けがちですが、実は斑点があるものの方がサルベストロールが豊富な健康効果の高い野菜なのです。
【3】アブラナ科の野菜やハーブ類、ベリー系の果物を摂る
「抗酸化成分が多いアブラナ科の小松菜には、サルベストロールが豊富に含まれています」(飯野さん)。そのほかにも、パセリやバジルといったハーブ類、いちごやブルーベリーといったベリー系の果物類にも含まれます。これらを意識して選びましょう。
◆健康をキープするなら、朝食・昼食でオーガニックな食事を!
また、日本における栄養・点滴療法の第一人者である柳澤厚生夫先生は、野菜のとり方を工夫することも大切だと話しています。その工夫は、食べる時間だそう。
「サルベストロールをとってから血中濃度が上がるまで、3時間ほどかかります。傷ついた細胞に出現するCYP1B1酵素の活性のピーク15時まで。それよりも3時間以上前にサルベストロールを摂取することで、体内のサルベストロールの血中濃度を高めることが大切です」(柳澤先生)。
15時までに血中濃度を上げるとなると、朝食・昼食でサルベストロールが多い食材をとるのがおすすめです。
早速オーガニック野菜をとり入れた食事を心がけたいところですが、近所のスーパーであまりオーガニック野菜が売っていない場合や、なかなかたくさんの野菜を食べるのは難しい、ということもありますよね。そういった場合は、サプリメントでとるのも一つの手。
「サプリメントは製法や含有成分を把握してきちんと選ぶのが大切。いいものなら食事の補完として活用することが、心と体の健康にもつながります」(飯野さん)。
野菜・果物を上手に選んだり食べる時間を工夫しながら、何かと忙しい年末年始の体調を整えていきましょう!
教えていただいたのは
飯野晃子(いいの あきこ)さん
株式会社プレマフーズ 代表取締役社長。一般社団法人日本ヒーリングフード協会 代表理事。農学修士。有機農園を経営しながら、東京を拠点に国内外で講演やセミナー・イベントを開催。美容と健康をサポートする自然な食事法(ヒーリングフード)や、食育やオーガニックなどに関する執筆や教育ソフト作成、セミナー講師、自然食品の商品開発等のコンサルティング、食生活改善を中心としたカウンセリング等も行う。
柳澤厚生(やなぎさわ あつお)先生
杏林大学保健学部救急救命学科教授を経て、国際統合医療教育センター所長、点滴療法研究会会長などを務める。鎌倉元氣クリニック名誉院長。 サルベストロールを日本に初めて紹介し治療に導入。日本における栄養・点滴療法の第一人者としても知られる。
◆資料提供/柳澤厚生先生
構成・文/倉澤真由美