低栄養の親から生まれると将来、肥満や糖尿病になりやすい
日本では20代~30代の若い世代の女性と高齢者の低栄養が問題になっています。例えば、国民健康・栄養調査(厚生労働省2019年)によると、20歳以上のBMI18.5未満の人と、65歳以上の低栄養傾向とされるBMI20以下の人は、いずれも20.7%。約5人に1人がやせ体型です。
「高齢の場合は、筋肉不足や骨粗しょう症などで転倒して骨折するリスクが高くなります。一方、妊娠中の低栄養はお腹の中の胎児に影響を与えます。母親の栄養状態が悪いと、胎児は外の世界が飢餓状態と判断し、それに備えてたくさん物を食べてカロリーを蓄える体質になります。実際に、戦争や飢饉などで低栄養状態の母親から生まれた人たちが50歳になると、同世代のほかの人より肥満や糖尿病の発症率が高いと、世界中で多数報告があります」。
中年期のメタボ対策では、食事制限が必要な場合もありますが、つねにバランスのよい食事を心がけて、栄養をしっかりとるようにしましょう。
大阪大学大学院医学系研究科内科学名誉教授。日本老年医学会前理事長、日本高血圧学会前理事長
イラスト/カケハタリョウ 構成・原文/山村浩子