年をとったらやせ体型より少しぽっちゃり体型が長生き
「日本人35万人を対象として、平均12.5年にわたって追跡をした7つの調査をもとに、BMIと死亡リスクの関係を分析した結果があります。それによると、男女ともにBMI14~18.9のやせ体型の人は、BMI30以上の肥満の人よりも死亡リスクが高かったのです。やせ体型の人は、がん、心疾患、脳血管疾患での死亡率も高かったのですが、最も高いのが『肺炎などを含むその他』でした。これは感染症への抵抗力が弱いことが影響していると考えられます。また長寿遺伝子を活性化させるNADを合成するには、適正レベルの脂肪組織が欠かせないこともわかっています」。
厚生労働省が目標とするBMIの範囲は、男女ともに18~49歳は18.5~24.9、50~64歳は20.0~24.9、65歳以上は21.5~24.9。40歳を過ぎたらやせ体型に固執せず、ハツラツおばあちゃんになるために、標準体型の少しぽっちゃりを目指すのがよいようです。
*BMI=体重(㎏)÷ {身長(m)×身長(m)}
●BMIと死亡リスク
BMIが23~24.9の人の死亡リスクを1とした場合の死亡リスク。やせ体型の人は肥満の人より死亡率が高い結果に。
出典/J Epidemiol. 2011;21(6):417-30。
column
身長と寿命は関係がある⁉
背の高さは生命の維持に何か関係があるでしょうか? 国立がん研究センターが行った調査では、身長が高いほど男性の大腸がん死亡リスク、女性の卵巣がん死亡リスクが高く、男女ともに脳出血の死亡リスクは低いという結果が報告されています。
詳細なメカニズムは解明されていませんが、欧米の調査でも、小柄な人のほうが長生きする傾向があるという報告が複数されています。もちろん、背の高い人がみんな短命なわけでも、がんになるわけでもありません。しかし、がんのリスクを助長する生活習慣を見直すことは大切かもしれませんね。
大阪大学大学院医学系研究科内科学名誉教授。日本老年医学会前理事長、日本高血圧学会前理事長
イラスト/カケハタリョウ 構成・原文/山村浩子