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【40代、50代の不調の陰に血糖値トラブルあり!?】食べたものの〇〇量で血糖値がこんなに変わる!

血糖値スパイクや血糖値の乱高下は、血管を傷つけ、動脈硬化などの生活習慣病につながります。またイライラや過食、睡眠障害など40代、50代に多い不調の原因になっていることも。とは言え、目には見えない血糖値、何に気をつければよいのでしょう?意識すべきは、食べたものの〇〇量でした!

老化によって誰にでも起こり得るのが、血糖値スパイクや乱高下

 

「血糖値はなるべく緩やかに上がって緩やかに下がるのが理想ですが、食後に急激に上がって下がることがあり、これを『血糖値スパイク』と呼びます。グラフに“とげ”みたいなトンガリができるんですね。また、大きく上がったり下がったりを繰り返すことを『乱高下』といい、これらはどちらも健康によくありません。

 

例えば、30代の中肉中背、健康な男性だと、食後に血糖値は少し上がるけれど、すぐに緩やかに下がることがほとんど。グラフは小さな山が食事のときにできるだけで、あとはほとんど真っ平。それが正常な状態です。

 

でも、人は誰でも老化とともに、血糖値を下げてくれるインスリンを素早く出すのが苦手になってくるんですね。それで40代以降になると、食後の血糖値がドーンと上がったりする人が増えてくるんです」

 

そう教えてくれたのは、「やさしい内科医」こと山村聡先生。YouTubeでの体を張った血糖値実験が話題を呼んでいる糖尿病の専門家です。

 

血糖値スパイクや血糖値の乱高下は、血管を傷つけ、動脈硬化などの生活習慣病につながります。しかも、イライラや過食、睡眠障害などメンタルにもよくない影響を与えます。更年期世代の不調の陰には、血糖値トラブルが潜んでいるかもしれないのです。

 

ちなみに、普通の健康診断で測るのは空腹時の血糖値です。

一日の中で変動する血糖値を点で測るだけ、おまけに血糖値スパイクが起きやすいのは食後なので、残念ながら通常の健康診断だけでは、血糖値スパイクや乱高下が起きているかどうかはわかりません。

 

そのため、今回の企画ではOurAge世代の6名が2週間、血糖値のモニタリング(*1)に挑戦。血糖値スパイクや乱高下の有無を確認するため、点ではなく線で血糖値の変動をチェックしました。

*1:自動的に血糖値(正確には間質液中のグルコース値)を測ってくれる「FreeStyleリブレ2」を装着しました。

玄米、トースト、SOYJOY…血糖値をいちばん上げたのは?

 

血糖値のモニタリングを開始して、全員が驚いたことがあります。それは食品の選び方や食べ方など、ちょっとした差で血糖値の上がり方が激変すること。

 

例えばモニターMさんの場合を見てみましょう。

 

Mさんは、平日の朝はだいたい同じ時間に同じものを食べています。玄米ご飯、りんご4分の1個、ヨーグルトに蜂蜜とジャムをかけたものが基本形です。

モニタリングしはじめて最初に気がついたのは、このシンプルな朝食メニューでも血糖値が想像以上に上がっていたことです。Mさんは、健康によかれと思って白米ではなく玄米ご飯を食べていました。

 

下のグラフの[A]が基本の朝食を食べたときの血糖値の推移です。血糖値の正常範囲といわれるのは70〜140mg/dL(グラフ内のグリーンのエリア)ですが、この朝食を食べると血糖値が150を優に超えた後、急激に下がり、グラフに鋭角のトンガリができています。これが血糖値スパイクです。

 

朝食で玄米ご飯を食べたとき

玄米ご飯の朝食で血糖値スパイク

山村先生によれば、血糖値の観点から見ると、白米も玄米もあまり変わりはないのだそう。

 

「玄米のほうがなんとなくよさそうというイメージがありますが、白米も玄米も糖質の量はほとんど同じです。もちろん、ビタミンやミネラルが豊富な分、栄養面では玄米のほうが健康にいいとは思いますが、糖質量が同じですから、“玄米のほうが血糖値上昇を抑える”ということはありません。僕のYouTubeチャンネルでも白米vs.玄米の血糖値対決をしたことがありますが、血糖値の上がり方はまったく同じでした」

 

再びモニターMさんの朝食です。玄米ご飯でそんなに血糖値が上がるならば…と、パンを食べてみた日がありました。それが下のグラフの左、[B]です。バターを塗ったトーストにいつものりんご、ヨーグルト&蜂蜜&ジャムも一緒です。

 

試しに、翌日はまた玄米ご飯に戻してみたところ、またしてもグラフ[C]にトンガリが出現しました。

 

バターを塗ったトーストvs.玄米ご飯、どちらが血糖値が上がる?

血糖値比較 玄米とトースト

一目瞭然、トーストを食べたときのほうが格段に血糖値が抑えられていますね。

 

山村先生によると、食パンも糖質が高いほうとはいえ、ご飯に比べれば糖質量は少ない。またバターによって脂質(血糖値の上がり方を緩やかにする)が追加されたため、さらに血糖値の上昇を抑えたと考えられる、とのこと。

 

モニターMさんの朝食をさらに比較してみます。

 

下のグラフ[D]は、いつもの玄米ご飯をコンビニで手軽に買えるSOYJOY(ブルーベリー)に置き換えた日のものです。

 

朝食でSOYJOYを食べたとき

血糖値比較 SOYJOY

 

「僕もSOYJOYで血糖値実験をしたことがありますが、糖質量が少ないため血糖値はそんなに上がりませんでした。大豆タンパク質もとれるので、間食にも向いていると思います」

 

朝食の主食を1品替えただけで、ここまで血糖値の上がり方に差が出るとは思いませんでした!

 

「食事で血糖値を上げるのは糖質なんです。それ以外の栄養素、例えばタンパク質や脂質は血糖値を上げません。主食はどうしても糖質量が多くなるので、影響が大きいんですよね。

Mさんの例だと、玄米の糖質(炊いた玄米100gで34.2g)は食パン(6枚切り1枚26.6g)やSOYJOY(ブルーベリー1本11.3g)よりも多いため、血糖値の上げ幅がその分大きくなりました。

 

健康診断で血糖値が高めと言われたり血糖値スパイクが心配になったら、まずは食べ物の糖質量を意識してみるとよいと思います。血糖コントロールの第一歩はそこからだと思いますよ」

 

※血糖値の変動には個人差があり、モニターの結果はあくまで一例です。同じ食材をとっても人によって、また食べるタイミング等によって変化します。

※食べものの糖質量は推定量です。

 

【教えていただいた方】

山村 聡
山村 聡さん
糖尿病内科医
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九州大学医学部卒業。東京ミッドタウンクリニックで診療するかたわら、糖尿病啓発・予防のため血糖値に関するSNS発信を行っている。豊富な診療経験をもとに、一人一人のライフスタイルに合わせた血糖値改善、ダイエットプログラムの開発にかかわるなど予防と医療の架け橋として活動中。 自らの体を実験台にしてさまざまな食材の血糖値を測定するYouTubeチャンネル「やさしい内科医のY's TV」が人気。登録者数は7万人超。

 

画像制作、取材・文/蓮見則子

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