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内臓脂肪が勝手に落ちていくためには、ミトコンドリアと〇〇〇がポイント!

生活習慣病の原因になるなど、増えると体に悪影響を及ぼす内臓脂肪。さまざまな原因の中で大きな影響を及ぼすのが「ミトコンドリアの活動の停滞」や「血糖値の乱れ」だそう。それをコントロールすれば、内臓脂肪は勝手に落ちる⁉ 形成外科医で分子栄養学認定医でもある齋藤真理子先生に、その仕組みと対応について教えていただきました。

 

年齢を重ねるとミトコンドリアの数や働きが低下し、基礎代謝が下がって内臓脂肪が増えやすい

この連載第1回でご紹介しましたが、更年期以降になると、内臓脂肪の蓄積を防ぐ働きのあるエストロゲンが減少するため、どうしても内臓脂肪が増えやすくなります。

また、偏った食事や運動不足、睡眠不足なども内臓脂肪を増やす原因。

その根本的な原因となるのが、ミトコンドリアの活動の停滞血糖値の乱高下なのだそう。

まずは、ミトコンドリアの活動の停滞について、齋藤真理子先生に伺いました。

 

「私たちの体は約37兆個もの細胞で作られていますが、そのひとつひとつの細胞に、ミトコンドリアが100〜数千個存在しているといわれています。

ミトコンドリアは、食事でとったものや体に蓄えられている脂肪、呼吸によって取り込んだ酸素などを使って、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーを生み出しています。つまり、ミトコンドリアは、体のエネルギー工場といえます。

 

このミトコンドリアが活発に働けば、食事でとったものや体に蓄えられた脂肪が、エネルギーに変換されやすくなります。また、ATPがたっぷりあるほど、体は活発に動くので、基礎代謝が上がります。つまり、ミトコンドリアの数や働きが高いほど、太りにくくなるのです。ところが、ミトコンドリアの数や働きは20代をピークに低下してしまいます。その結果、基礎代謝も下がっていきます。これが、年をとるほど痩せにくくなり、内臓脂肪が増えやすくなる原因でもあります」

 

ミトコンドリアの数や働きが低下する理由は、加齢だけではないそう。

 

ミトコンドリアは、空腹や運動などで細胞に適度な負荷が加わったときに数が増え、活性化します。

逆に、空腹感を感じる前に食べてしまっていつもお腹がいっぱいの状態だったり、運動不足だったりするとミトコンドリアは休止状態に。

 

また、活性酸素もミトコンドリアの数を減らします。

ミトコンドリアは体内で発生する活性酸素によってダメージを受けます。損傷が蓄積したミトコンドリアは細胞にとって害になるので、体内から排除されます。

活性酸素は、ストレスや紫外線、食品添加物などさまざまな要因で発生しますが、これらの要因が多い生活をしていることでも、ミトコンドリアは減ってしまうのです」

 

 

糖質のとり過ぎや乱高下は内臓脂肪の増加の大きな原因に

そしてもうひとつ、内臓脂肪を増やす原因となるのが、血糖値の乱れ。これは、どういう仕組みなのでしょうか?

 

「糖質が多いものをとると血糖値が急上昇するので、それを安定させるため、膵臓からインスリンが分泌されます。このインスリンの働きによって、血中に増えた糖が脳や筋肉など体内の必要な場所に分配され、血糖値が一定に保たれます。

ただ、糖が分配された先の貯蔵量には限界があり、糖が多いものをとりすぎて余ってしまうと、その余った糖から脂肪が合成され、体に蓄積されてしまいます。

 

その状態が続くと、インスリンの効きが悪くなる“インスリン抵抗性”という事態に陥り、血糖値が下がらず上昇してしまいます。

そして血中の糖が増え、それがどんどん脂肪として蓄積されていき、その結果、内臓脂肪もさらに増えてしまうのです。

 

またもうひとつ、血糖値の乱高下も問題です。

 

甘いものなどの糖質をとりすぎると血糖値が通常以上に高い“食後高血糖”の状態になります。すると、それを下げようとインスリンが過剰に分泌されるので、今度は血糖値が急降下します。このように血糖値が急激に上がって、その後に急激に下がることを“血糖値スパイク”といいます。

 

これが起こると、脳は低血糖になったと勘違いし、必要以上に糖をとりたくなって食べてしまい、また血糖値を急上昇させるという“負のスパイラル”を招きます。その結果、食欲が止まらなくなり、内臓脂肪も増やしてしまうのです」

糖質の摂取量を減らし、血糖値の急上昇を防ぐことがポイント

では、内臓脂肪を増やさないために、ミトコンドリアの活動の停滞や、血糖値の乱れを予防・改善するにはどうしたらよいのでしょうか。

 

「まず、ミトコンドリアの活動の停滞を防ぐカギを握るのが“ケトン体”です。体内の糖質が不足して飢餓状態になると、体に蓄えられた脂肪からケトン体という物質を生成して、それをエネルギー源にします。これを“脂質代謝”といいます。

糖質でなくケトン体をエネルギー源にしている状態は、脂肪がどんどん燃えていくので、いわば“脂肪燃焼体質”といえます。

 

また、ケトン体が増えるとミトコンドリアが復活し、ATPエネルギーを大量に作り始めるので、内臓脂肪も落ちやすくなります。

ですから内臓脂肪を落とすには、糖質の摂取量を減らして脂肪燃焼体質にすることがカギなのですが、極端にカットすると筋肉も減ってしまったり、リバウンドも招きやすいというデメリットがあります。

 

でも、簡単に脂肪燃焼体質になる裏ワザがあるので、その方法は次回ご紹介します。

また、血糖値の乱れを防いで安定させるためにも、

 

①糖質の量を減らす

②血糖値の上昇が緩やかになる食べ方をする

③食事をこまめにとって血糖値を下げすぎない

 

の3つがポイント。

 

これらの方法で血糖値を安定させると、必要以上に糖をとりたくなる負のスパイラルも抑えられます」

 

【教えていただいた方】

齋藤真理子
齋藤真理子さん
医学博士。日本形成外科学会専門医。分子栄養学認定医。
公式サイトを見る

医療法人社団山本メディカルセンター理事長。2010年に同センターに入職し、皮膚科・形成外科を立ち上げる。アンチエイジング分野にも取り組み、メディカルエステ、ドクターズコスメなどの開発・販売も手がける。2016年山本メディカルセンター2代目院長に就任。皮膚科・形成外科、美容皮膚科、内科、人間ドック、訪問看護ステーションを統括。分子栄養学の観点からメニューを考案しているカフェレストラン「桜山茶寮」も運営。著書に『「内臓脂肪がなかなか減らない!」という人でも勝手に内臓脂肪が落ちていく食事術』(アスコム)がある。

 

 

写真/Shutterstock   取材・文/和田美穂

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