自律神経に関するツボが集まる耳をねじって刺激
40歳を過ぎた頃から自覚することが増えてくる「耳鳴り・難聴」。その多くの原因は、ストレス過多による自律神経の乱れです。
※詳しくは第3回参照。
自律神経を整える方法としては、ウォーキングなどの有酸素運動が有効です。それ以外におすすめなのが、石井先生が考案した筋膜プリプリ体操の耳ねじり。略して筋プリ・耳ねじりです。
「耳のまわりには、自律神経に関係するツボ※1が集まっています。さらに、耳介軟骨筋膜、側頭筋膜、後頭下筋膜などの筋膜※2が集まっている場所でもあります。耳をひねって引っ張ることで、自律神経を効果的に刺激することができます。
※1 東洋医学の概念では、全身には経絡が張り巡らされていて、そこを生命エネルギーである「気」が流れているとされています。その経絡が合流したり分岐したりする点を「経穴(けいけつ)」といい、これをツボと呼んでいます。
※2 筋膜は筋肉、骨、関節、内臓器官、血管、神経などを包み込む、タンパク質の繊維でできた伸縮性のある薄い膜です。筋膜が健康なら、筋肉や関節、臓器の動きがよくなり、交感神経と副交感神経のスイッチの切り替えがスムーズになります。
私がかつて、東日本大震災の被災地にボランティアで訪れたときに、この体操を紹介しました。すると、ひと通りの動きを行ったあとは、1時間以上も、耳だけでなく体全体が温かくなったという人もいました」(石井正則先生)
これなら手軽なので、何かにストレスを感じたとき、手軽に実践できます。
【筋プリ・耳ねじり】
耳の上部をねじって引っ張ることで、自律神経を刺激するエクササイズです。これは耳の不調を自覚している人も、特に感じていない人にもおすすめです。
1 耳の上部をつまむ
両手で両方の耳の上部を、親指と人差し指でつまみます。このとき、親指は耳の後ろ側、人差し指は第1関節あたりの横の面を使うのがポイントです。
2 耳を後ろにねじる
耳の上部を斜め上に引っ張りながら、後ろに倒すように手のひらを返して耳をねじります。※イラストでは左耳だけ描いていますが、実際には左右の耳同時に行います(以下同)。
3 横に引っ張る
耳をねじりながら横に引っ張って5秒キープします。ひじを外に大きく広げるような要領です。
4 後ろに引っ張る
続いて、胸を広げるようにしてひじを後ろへ引き、耳を後ろに引っ張って5秒キープ。
5 下に引っ張る
ひじを下げて、耳を下に引っ張って5秒キープします。
ポイントは手先で引っ張るのではなく、耳をつまんだ手の位置を変えずに、ひじを横、後ろ、下に引く力で優しく行うことです。慣れてきたら、耳の中間部と下部(耳たぶ)をそれぞれつまんで、耳の3カ所を同様に行います。
「これにより、耳から首まわりの血流もアップして、全身がポカポカしてくると思います。自律神経も整って、耳の健康を守るのに役立ちます」
[教えていただいた方】
イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子