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「老化は病気」!? 実年齢より機能年齢を意識しよう

同窓会に行くと、年齢よりも明らかに若く見える人と、老けて見える人がいます。同じ年月を生きてきたのに、その差はどこから生まれるのでしょうか? 「老化は病気である」という新しい発想を提唱している、抗加齢医学、糖化研究の第一人者である米井嘉一先生に伺いました。

実年齢より機能年齢。人によって老化のバランスが違う

若い頃はそれほど年齢差がなくても、40歳ともなると、同じ年齢でも若く見える人と老けて見える人が顕著になってきます。

 

いったい「老化する」とは、どういうことなのでしょうか?

糖化 老化は病気 年を取る イメージイラスト
「予防医学の観点から見ると、老化に『実年齢』はあまり関係ありません。体の機能がどれだけ正常に保たれているかのほうが重要です。これを『機能年齢』と呼んでいます。

 

ちょうど、40~50歳くらいになると、それまでの生活習慣の蓄積が表面化してくるといえます。暴飲暴食をしていたり、栄養が偏っていたり、運動不足や睡眠不足、不摂生な生活をしていると、体のあちらこちらに不調、不具合が出てきます。これは『病的な老化』が進行している状態です。

 

こうしたことを見てみると、老化も生活習慣病のひとつと考えられます」(米井嘉一先生)

 

 

では、心身を老化させる危険因子とはどんなことなのでしょうか?

 

【老化の5つの危険因子】

〇酸化ストレス
過剰なフリーラジカルや活性酸素の作用で、体を錆びさせるものです。喫煙、食品添加物、紫外線、放射線などの影響が考えられます。

 

〇糖化ストレス
体内で過剰となった糖や脂質由来のアルデヒドと体のタンパク質が結びついて、AGEs(エージス)=Advanced Glycation Endproducts(終末糖化産物)を産生。体のタンパク質がAGEsに置き換わることによって、体の各所に機能不全を起こします。原因は食後の高血糖(血糖スパイク)と続発するアルデヒド生成、脂質や酒の過剰摂取、タンパク質摂取不足、運動不足など。

糖化が与える体の不調は第2回参照。

 

〇心身ストレス
仕事や人間関係などの精神的なストレス、不安や緊張状態が続くと、コルチゾールなどのストレスホルモンが分布され、血圧が上がります。これが続くと、高血圧や高脂血症の状態になります。

 

〇免疫ストレス
心身にストレスが過剰になるとリンパ球が減ったり、糖化ストレスがかかると抗体を生成する機能が落ちます。これらにより、体を守る免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなったり、重症化しやすくなります。

 

〇生活習慣
食事、運動、睡眠の3本柱が乱れると、体の機能に悪影響が表れます。また、喫煙は酸化ストレスを、飲酒は糖化ストレスを高めます。

 

「これらの危険因子はそれぞれリンクする関係にあり、連鎖的に問題が広がっていきます」

 

記事が続きます

人は弱いところから老いていく

「血管年齢」や「骨年齢」といった言葉を聞いたことはありませんか?

実年齢に比べて、こうした「機能年齢」が高いと判断されて、ショックを受けることがあります。

糖化 機能年齢 五角形 ダイアグラム

 

「私は『機能年齢』には5つあると考えています。
それが、筋肉年齢、血管年齢、神経年齢、ホルモン年齢、骨年齢です。

 

これらをつなぎ合わせると、上記のような五角形ができます。これを『機能年齢バランスチャート』と呼んでいます。実年齢よりも機能年齢の線が内側にあるほど若いことになります。外側にあると機能年齢の老化が進んでおり、あなたの弱点ということになります。

 

その人の弱いところから老化して、機能低下や衰えが現れます。例えば、甘いものが過剰な場合は、糖化ストレスにより骨が弱くなるかもしれません。喫煙がやめられなければ、酸化ストレスにより血管が硬くなっているかもしれません。これこそが『病的な老化』です」

 

これらの5つの年齢で、どれが特に老化しているのか?

簡単な質問に答えることで、機能年齢をチェックできます。その一部の質問をピックアップしてみました。

【機能年齢チェック】

立ち上がる時に、つい「よいしょ」と声が出る

歩いて15分以上の距離のところへはバスやタクシーを使う

会議などで1時間以上同じ姿勢でいると体力的につらい

いつも時間に追われているような気がする

こってりした肉料理が好き

時々、手足の先がしびれることがある

趣味にすぐに飽きて、熱中できなくなってきた

熟睡したと感じることが少なくなってきた

便が細めだ

旅行は嫌いだ

魚料理よりも肉料理のほうが好き

日中、外へ出る機会があまりない

出典/集英社新書『若返りホルモン』

 

いくつチェック(イエス)がつきました?

実は、これらにチェックがついた人ほど、機能年齢が高い可能性があります。もう少し知りたい場合には、下記の毎日新聞社プレミアのWebサイトを試してみてください。あなたの弱い部分が確認できます。

毎日新聞社プレミア

 

記事が続きます

【老化ポイントと対策法】

筋肉年齢が高い場合

長年にわたる運動不足の影響が出ているかも。なにもしなければ、筋肉は1年で1%減るといわれています。今からでも運動習慣をつけて、タンパク質をしっかりとって、筋肉維持を心がけましょう。

 

血管年齢が高い場合

酸化や糖化をしない生活を心がけてください。糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙を放置しないことが重要です。

 

神経年齢が高い場合

神経細胞が減少してすでに機能低下が始まっているかも。神経機能を刺激する生活を心がけましょう。それには全身を使う運動と細かい手作業を合わせることが有効です。

 

ホルモン年齢が高い場合

成長ホルモンやDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)※などの若返りホルモンの分泌を意識しましょう。栄養バランスのよい食事、適度な運動、良質な睡眠がとても大事になります。

 

※DHEA:ホルモンの親玉的存在で、別名「長寿ホルモン」と呼ばれています。免疫機能の維持、ストレスに対する抵抗力、生活習慣病のリスク低減などにかかわっています。

 

骨年齢が高い場合

特に女性ホルモンが低下する40代頃から骨が弱くなります。骨の材料となる栄養素、タンパク質、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガンなどを意識してとりましょう。骨に物理的な刺激を加えることも骨を丈夫にするのに役立ちます。おすすめはウォーキングやジョギングなどです。

 

糖化 機能年齢 五角形 編集者の結果

毎日新聞社プレミアより

 

上記は担当編集者がやってみたものです。まんべんなく老化していました。人によっては、神経年齢は年齢以下だったのに、骨年齢がぐんと高かったりします。

 

あなたはいかがだったでしょうか?

 

 

【教えていただいた方】

米井嘉一
米井嘉一さん
同志社大学 教授
公式サイトを見る

1958年、東京都生まれ。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター教授。日本抗加齢医学会理事、糖化ストレス研究会理事長。公益財団法人医食同源生薬研究財団代表理事。抗加齢医学研究の第一人者として、研究・臨床に従事。近年の研究テーマは「老化の危険因子と糖化ストレス」。著書に『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因「糖化」の正体』(池田書店)など、多数。 米井先生 著書 糖と脂肪で体は壊れる 書影 『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因 「糖化」の正体』著者・米井嘉一(池田書店)

 

イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子

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