タンパク質が十分の人は糖化しにくい!
「糖化を防ぐ食べ方の基本は、三大栄養素のPFCバランスをタンパク質2:脂質2:炭水化物6にすることです。このときの炭水化物には、糖質、食物繊維、アルコールなども含まれます。
一般的な食事、もしくはバランスが悪いと思っている人が意識するといいのが、糖質と脂質、アルコールを2~3割減らし、食物繊維とタンパク質を2~3割増やすことです。
血糖スパイクがあっても、アルデヒドスパークが起こりにくい※人がいます。それはタンパク質の摂取が十分で、血中アミノ酸濃度が高い人はアルデヒドを消去する能力が高いことがわかっています。逆に高脂肪食の人はアルデヒドスパークが起こりやすいので注意が必要です。
※血糖スパイクとアルデヒドスパークの関係は第1回参照。
私が考えるタンパク質の推奨摂取量は1日に男性75g、女性70gです。これを牛肉でとるとなると、350gくらいの量が必要に。これでは動物性脂肪も増えてしまいます。それを避けるために、肉類を減らして、魚介類、豆類、乳製品、ナッツなど、タンパク質を含むほかの食材からもこまめにとるように心がけます。
間食はスナック菓子をやめて、ナッツ類やさきいかなどにして、タンパク質量を稼ぐ方法もあります」(米井嘉一先生)
腸内環境を整える食材とハーブが糖化を防ぐ
「腸内細菌の善玉菌にはAGEsの生成を抑制する効果があります。そのため、善玉菌を増やす食事が糖化を防ぎます。野菜、果物、きのこ類、海藻類など食物繊維が豊富な食材、味噌やチーズ、ヨーグルトなどの発酵食品がそれを助けます。
果物では、手に入りやすいところではりんごが優秀です。特に皮部分にAGEsの生成を抑制する成分が豊富なので、よく洗って皮ごと食べるのがおすすめです。

味噌やしょうゆに含まれる茶色の成分はメラノイジンという食品AGEsです。これには抗酸化作用やAGEsの生成を抑える効果があり、腸内の善玉菌を増やし、塩分による血圧上昇を調整する働きもあります。料理に塩味が欲しいときは、塩ではなく、味噌やしょうゆを使うといいでしょう。
また、AGEsを分解・排出する効果が期待できるのが、ローズマリー、ざくろ、ひし、ニノ、くろもじなどです。これらはお茶などのドリンクだととりやすいと思います。玄米茶や緑茶、甜茶などもいいですね。
中でもローズマリーに含まれる成分には、アルツハイマー型認知症の原因といわれるアミロイドβの沈着を抑制する働きがあるという研究もあります。
ビフィズス菌を含むヨーグルトは、特に上澄み液にヨーグルトホエイ(乳清)を多く含み、AGEsを減らす効果が期待できます。上澄み液までしっかりとるのがポイントです。
おやつやデザートには、ケーキやアイスクリームなど、大量の砂糖が含まれるものは避け、ビタミンCや食物繊維もとれる果物にするのがいいでしょう。
【AGEs生成を防ぐ食材】900種類以上の食材からスクリーンニング。上位5位まで掲載
〇お茶類/玄米茶、緑茶、甜茶、くろもじ茶、どくだみ茶
〇野菜・ハーブ類/モロヘイヤ、新生姜、ヤーコン、ローズマリー、よもぎ粉
〇発酵食品/豆味噌、赤ワイン、ゴーダチーズ、うすくちしょうゆ、たまりしょうゆ
〇果物類/ライム、かりん、マンゴスチン、パッションフルーツ、りんご
出典:Ishioka Y, et al: Glycative Stress Research 2: 22-34, 2015
Parengkuan L, et al:Anti-Aging Medicine 10:70-76, 2013
Hori M, et al: Anti-Aging Medicine 9: 135-148, 2012
手に入りやすい食材を、日常の食事に加えてみてはいかがでしょうか?
【教えていただいた方】

1958年、東京都生まれ。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター/糖化ストレス研究センター教授。日本抗加齢医学会理事、糖化ストレス研究会理事長。公益財団法人医食同源生薬研究財団代表理事。抗加齢医学研究の第一人者として、研究・臨床に従事。近年の研究テーマは「老化の危険因子と糖化ストレス」。著書に『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因「糖化」の正体』(池田書店)など、多数。
『糖と脂で体は壊れる 疲労、病気、老化の原因 「糖化」の正体』著者・米井嘉一(池田書店)
イラスト/かくたりかこ 取材・文/山村浩子


