OurAge世代特有のニオイとかゆみについてお答えするQ&A企画。今回から、かゆみ編です。どうしてかゆくなるの?一度かきはじめるととまらなくなるのはなぜ?など、かゆみに関する疑問にお答えしていきます。
かゆみ/基礎編
かゆみは、体の異常を知らせるSOS!
かゆみは「引っかきたい」という衝動に駆られる不快な感覚。その謎に満ちたメカニズムを知って対策を!
Q54 そもそもかゆみってどんな現象?
A 皮膚の異常を取り除いてほしいというシグナル。
伝染病を媒介する虫や病原体の攻撃を、かゆみとして認知する生体防衛反応のひとつです。皮膚をかく搔破(そうは)行動を伴うのが大きな特徴。しかし搔破行動は皮膚を損傷し、皮膚疾患を悪化させることも。皮膚に異常がないのにかいてしまうこともあり、非常に複雑な現象です。(小林美咲先生)
Q55 かけばかくほどかゆくなるのは?
A 4段階の皮膚変化で炎症が広がるから。
肌をかくことで、①皮膚バリア機能が損傷。②細菌やウイルスから体を守るために、免疫細胞にバリア機能損傷を伝達するサイトカインを放出。③マスト細胞から、かゆみの原因ヒスタミンを放出。④「軸索反射」が起きて、炎症が広がります。かゆみはかかないでいれば自然に治まりますが、かくと皮膚病変が悪化 → さらにかゆみが増す → 搔破…という悪循環に陥ります。対策は、かゆくても"かかないこと"が一番です。(小林先生)
Q56 ストレスがあるとかきたくなる、私ってヘン?
A 普通の防衛本能といえます。
イライラして頭をかく、プレッシャーで鼻をかくなど。かゆくないのに無意識にかいてしまうのは、気持ちを落ち着かせるためのごく自然な反応です。(小林先生)
Q57 肌が乾燥するとどうしてかゆくなるの?
A 表皮のバリア機能が破壊されるから。
肌が乾燥すると角層がめくれ、バリア機能が低下して、ちょっとした刺激でも過敏に反応してかゆみを感じやすくなります。日頃から角層を保湿するケアを。(小林先生)
Q58 かゆい部位をかきはじめるとやめられなくなるのはどうして?
A 心地よい信号が脳に伝達されるから。
かくことで一時的に気持ちがよくなり、"快楽ホルモン"のドーパミンが分泌されます。これはいわば、"成功報酬"のようなもの。しかし、自分の意思で行動をやめられない「依存症」に陥ることもあり、皮膚疾患を悪化させる大きな原因に。(小林先生)
小林美咲さん
1951年生まれ。小林皮膚科医院院長。皮膚科専門医、漢方専門医。皮膚科心身症の第一人者で、学会講演発表や医療専門書の執筆も
次回は、人に言えないさまざまなかゆみついてお答えしていきます。
イラスト/伊藤美樹 構成・原文/山村浩子