10年間ホルモン剤を飲み続けることに
私の乳がんは、一番ポピュラーなホルモン受容体を持つタイプです。乳がんの種類については、後程ご説明したいと思いますが、このタイプの乳がんの場合、手術とは別に、転移と再発防止のため、10年間毎日ホルモン剤を飲まなければいけないと言われました。
はい、10年、毎日、です(涙)
ホルモン剤と聞いてまずみなさんがイメージするのは、更年期障害の治療のひとつである、ホルモン補充療法(HRT)に使われるホルモン剤ではないでしょうか。
でも、実はこれが全然別物なのです。
更年期障害には微量の女性ホルモンを投与します。私の乳がんの場合は、女性ホルモンを人為的に減らすイメージです。なぜならホルモン受容体を持つタイプの乳がんは、女性ホルモンこそがんが喜ぶものだからです。
ホルモン受容体陽性タイプの乳がんは、がん細胞内に「ホルモンを取り入れるための口」であるホルモン受容体(エストロゲン受容体もしくはプロゲステロン受容体)を持っています。つまり、女性ホルモン(エストロゲン)を抑制すれば、がんの増殖が防げるという仕組みです。
具体的には、女性ホルモンを抑制する薬を投与してその受容体の口をふさいでしまい、エストロゲンやプロゲステロンを取り入れられなくします。
なお、乳がんの多くはこのホルモン受容体タイプですが、他にもいくつか種類があります。HER2タンパクを持つタイプ(HER2陽性)や、どちらでもない乳がん(トリプルネガティブ乳がん)も存在します。
HER2陽性やトリプルネガティブ乳がんの場合は、ホルモン剤投与はほぼ行いません。HER2陽性であれば抗HER2薬を、トリプルネガティブ乳がんの場合はホルモン剤と抗HER2薬のどちらも効果が期待できないので、当初から抗がん剤治療を行うケースが多いのだそうです。
強制型更年期障害、これが結構キツイんです(私の場合)
前述した通り、私のがんはホルモン受容体タイプです。再手術になったこともあり、一度目の手術の後からホルモン剤投与を開始することになりました。
これがどういうことかというと、女性ホルモンを抑制するのですから、シンプルに言えば強制的に更年期の状況を作り出していることになります(涙)
実際にどうなったかというと・・・。
私の場合、年齢の割にはもともとそこまで強い更年期障害の症状はありませんでした。しかし、ホルモン剤を投与するようになって明らかに暑がりになりました。いわゆるホットフラッシュです。
寒いと思って上着を羽織る、その30分後には暑くなってまた脱ぐ、といったことを毎日繰り返しています。オフィス内で女性が数人「今日、寒くないですか?」と話している横で、「暑い~」とセーターを脱いだりしているので、ほんのりけげんな目で見られているような・・・。特に冬の暖房の時はつらいですね。
また、ずっと暑いならそれはそれで対処ができますが、薄着になってしばらくすると今度は寒くなったりと安定しないのも困る部分です。
厚手のコートなどだと電車の中で困ることが増えたので、ポケッタブルのダウンコートや重ね着を駆使するようになりました。若い女性のようにおしゃれ目的ではない重ね着なのが悲しいところです(笑)
それ以外の影響としては、少しお腹が出てきた気が・・・。
女性ホルモンが減ると、男性のように内臓脂肪がつきやすくなるのだそうです。
体重も増えやすくなるそうで、実際にサイズ感はそこまで変わらないのに体重自体は増えました(泣)
あと、これはどういう影響なのかわからないのですが、おでこなど、顔の一部がやたら乾燥するようになりました。もともと乾燥気味の肌ではあるのですが、以前にはなかったレベルでがさがさしているのがわかります。(たまに皮がむけます。)
女性ホルモンが減ると肌の保水量も減るそうなので、やはりその影響なのでしょうか。クリームを塗ってもあまり効果はないみたいで、今はよい方法を探しているところです。
この手の症状は、更年期障害と同様、ある程度身体が慣れれば軽減されるそうなので、時間が解決するのを待つしかないのでしょうね。
そうそう、私が投与を受けているホルモン剤だと、閉経後に子宮体がんになる危険性が2~3倍に増えるので、定期的に婦人科の検診も考えなければいけないと主治医に言われました。
以前書いた通り乳腺科と婦人科は異なりますから、こちらもよい主治医を見つけておく必要があるので現在リサーチのまっ最中です。